【スバル】レガシィがビッグチェンジ。新しい武器はなんと直噴ターボエンジン!

レガシィ2.0GT DITの画像
新登場の300ps仕様、2.0GT DIT

レガシィの画像レガシィの画像

↑ツーリングワゴン2.5i EyeSight S Package      ↑アウトバック2.5i EyeSight

レガシィの画像レガシィの画像

↑B4 2.0GT DTI                     ↑アウトバック2.5i EyeSight

2012年5月8日、スバルはレガシィ・シリーズのビッグマイナーチェンジを行い、同日発売された。今回の大規模な年次改良によりレガシィの年改記号は「Dタイプ」となった。同時に車種の構成も変更され、自然吸気エンジンはFB25型を採用。新たにGTグレードと2.0GT DITグレードが登場した。

このモデルは新開発の2.0Lの直噴ターボを採用したFA20型を搭載し300psを発生するスポーツグレードだ。今回の変更で2.5GTという1機種にのみEJ25型が残されている。

レガシィの画像

今回のビッグマイナーチェンジのコンセプトは、全性能進化をテーマにしており、デザイン、環境・燃費、走り、安全と幅広い性能向上をめざすことになり、フェイスリフトだけではなくエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーにも改良が加えられている。

デザイン
スバルのアイデンティティを表現したヘキサゴングリルへの変更、ヘッドランプ、ワイド感を強めたバンパーなどエクステリアを一新。アウトバックは、より力強さを強調した専用グリルとバンパー、大型フォグランプを採用し、スバルのSUVシリーズのフラッグシップとしての存在感を表現している。

レガシィの画像
マルチインフォメーション・ディスプレイ付ルミネセントメーター

インテリアでは、インストルメントパネルの加飾パネルをダークメタリック調にするなど、インテリア全体をスポーティな雰囲気にしている。また全グレードで上質感のあるシート表皮に変更。電動パーキングブレーキやSI-DRIVEのスイッチの配置を変更し操作性を高めている。また2.5i以外は、マルチインフォメーション・ディスプレイ付ルミネセントメーターを新採用。メーター中央部にに3.5インチのカラー液晶を持ち、燃費情報の表示や、EyeSight(ver.2)の動作状況を表示するようになっている。

エンジン

レガシィの画像
新登場のFB25型自然吸気エンジン

今回のビッグマイナーチェンジで、シリーズのメインとなる2.5L自然吸気エンジンは、EJ25型からFB25型に変更された。

排気量2498cc、ボア×ストロークは94.0mm×90.0mm。ローラーロッカーアームによる狭角バルブ挟み角によるコンパクト・ペントルーフ型燃焼室、チェーンによるカムシャフト駆動、ピストンやコンロッドの軽量化など低フリクション設計がされている。

また、クールドEGRの採用など、技術的には先行したFB20型とほぼ共通である。可変バルブタイミング機構はFB20が吸排気カムに採用し、FB25は吸気のみだ。レギュラーガソリンを使用し、圧縮比は10.0。出力は173ps/5600rpm、最大トルク235Nm/4100rpmで、扱いやすさ、実用燃費を重視した低速型エンジンに仕上げている。また今回からアイドリングストップも装備されている。燃費は2.5i・Lパッケージで14.4km/L(JC08モード)。

従来から設定されている2.5GTには、これまで通りEJ25型エンジンにシングルスクロールターボを組み合わせており、出力285ps/6000rpm、最大トルク350Nm/2000rpm〜5600rpmと、パワーは抑え気味にして、ワイドかつ大トルク重視の性格が与えられている。

2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像
2.0Lの直噴ターボ、DITエンジン

2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像

2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像

そして注目されるのが新開発された2.0GT DITのエンジンで、名称はFA20 DIT型だ。なお、DITとは直噴ターボの意味である。改めていうまでもなく、ひとつ前の世代、BL/BP型レガシィまではポート噴射のEJ20型2.0Lターボ・エンジンが搭載されていたが、今回登場した2.0 DITエンジンは単にその後継ということではなく、次世代の高性能ターボ・エンジンとして再定義したものと位置付けられる。

したがって2.5Lターボからのダウンサイジング版というわけではなく、新しい高性能ターボ・エンジンとされ、当初から出力目標300ps、リッター当たり出力は150ps/Lを目標に開発されているのだ。ただし、従来のような出力重視の設計ではなく、より低回転から大トルクを引き出し、新CVTとの組み合わせで、きわめて高いギヤ比で走ることができ、優れた燃費性能と環境性能、そしてスポーツ性の両立を目指した新しい発想に基づいたものだ。

このエンジンのベースは86.0mm×86.0mmのボア×ストロークを持つFA20型で、すなわちBRZと同じである。もちろんターボを組み合わせるために、ピストンやコンロッドなど運動部品は強化され、共通のパーツはクランクシャフト程度である。

吸排気カムには可変バルブタイミング機構を備え、高圧過給を行うにもかかわらず圧縮比は10.6で、自然吸気エンジンのFB25より高い圧縮比をもっている。ピストンスカートはモリブデン・コーティングされ、ピストン冠面はタンブル流に対応したくぼみ形状になっている。また排気バルブは冷却性の高いナトリウム封入式だ。

吸気マニホールドにはTGV(タンブル生成バルブ)とポートセパレート板を備え、低負荷運転時にはバルブを閉じ、吸気ポート断面積を半減させることで吸気流速をアップし、燃焼室内でタンブル流を発生させる仕組みはFB系エンジンと同じである。

2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像2.0Lの直噴ターボ、DITエンジンの画像

FA20 DIT型の出力は300ps/5600rpm、最大トルクは400Nm/2000rpm〜4800rpmとワイドレンジで、最大トルクもEJ25ターボより大きい。つまり大パワー、大トルクを従来より低い回転数で引き出していることがわかる。同時に完全にフラットなトルク性能をつくり出し、現在の日本製エンジンの頂点に立ったといえる。JC08モード燃費は12.4km/Lで、低回転でのトルクとハイギヤ比のCVTとの組み合わせにより、実用燃費はモード燃費を上回るはずだ。

この新エンジンを支えているのが、新開発の直噴システムとツインスクロールターボである。直噴システムはコモンレール式の200気圧・直噴で、日立オートモーティブ製を採用。小型のツインスクロールターボはハネウェル・ギャレット製だ。高圧の2段噴射、ツインスクロールターボによる極低回転域からの高過給圧、高圧縮比の組み合わせが新たな性能をつくり出している。

このエンジンのシリンダー構造は、NAエンジンと同様の鋳ぐるみ鋳鉄ライナーを持つオープンデッキ構造であるのもポイントだ。シリンダーヘッド部への冷却水の大量供給と、シリンダー上部の流水量を確保するためには、水流を阻害するセミクローズドデッキ構造は適せず、オープンデッキにこだわって開発したという。またシリンダー下部は水流を滞留させるようにした2系統冷却システムにしている。

トランスミッション
トランスミッションは、EJ25ターボ・エンジンを搭載する2.5GTは従来通り5速ATを搭載しているが、FB25、FA20型DITを搭載するモデルはいずれも新世代のCVT(リニアトロニック)を採用している。マイナーチェンジ前のレガシィにもリニアトロニックCVTは採用されていたが、今回は新世代仕様へと変更された。

従来タイプのCVTは350Nmのトルク容量を持っていたが、今回からNA用とターボ用の2種類に特化させ、NA用はインプレッサと共通となる軽量タイプ、FA20型DIT用は400Nmに対応した大トルク容量タイプとしている。

レガシィの画像レガシィの画像
チェーンはLuk社製だが、従来よりチェーン・ピッチが狭められ、軸間距離の短縮が可能になるなど、NA用は従来より15kg軽量化されている。

ターボ用はトルクコンバーターとロックアップ・クラッチが強化されている。またSI-DriveのスイッチをS#にすることで、仮想8速マニュアルシフトができるようにもなっている。

変速比幅は6.3とこれまでの6.2よりさらに広げられ、CVTとしてはトップレベルに達しており、また400Nmというターボトルクと4WD(VTD-4WD)に適合した世界初のCVTということができる。もちろん名称の通り、通常のCVTとは異なり、アクセル踏み込みに対して遅れのないリニアな加速、素早い変速制御、低フリクションなどの特徴も備えている。

ボディ&シャシー
軽快で安心感の高いハンドリングと乗り心地の向上を目指し、路面に合わせてリニアに反応するシャシーを実現するため、シャシー、ボディの剛性向上を行っている。フロント、リヤのダンパー、スプリングの減衰力、バネ定数を変更。また、リヤにサブフレームの動きを抑えるサポートサブフレームを追加している。ダンパーは従来より縮み側を弱め、伸び側を強化したという。

ちなみにSパッケージと2.0GT DITに採用されているビルシュタイン・ダンパーも、それぞれが専用チューニングになっていることはいうまでもない。

レガシィの画像

レガシィの画像

2.0GT DITは専用チューニングを実施し、高速域での安定性を高めるため、サスペンションの剛性を強化。さらに、ダンパーの減衰力アップやスタビライザー径のサイズアップによりぐらつき感を抑え、車線変更時や連続コーナー走行時で安定した走りにしたという。

ボディでは、フロントのエンジンを支持するクレードルフレームの取り付け剛性を向上。ボディのフロアにはクロス・ブラケットを追加してフロアに対する横方向の曲げ剛性を高めるなどの改良を加えている。ブレーキは、今回からBOR(ブレーキオーバーライド)を採用している。

レガシィの画像

また、2.5Lの自然吸気エンジン搭載車のアクティブトルクスプリットAWDは制御が改良され、VDCと協調制御によりタックイン抑制補正(アンダーステア状態からのアクセルオフでの巻き込みスピンの抑制)、滑りやすい路面でのスリップ補正(発進時のホイールスピンを抑制し駆動性能を向上)、大舵角でのステアリング操作時補正(タイトコーナーブレーキング現象の抑制)などを盛り込んでいる。
アイサイトver2
2.5i、2.5GT系のアイサイト装備車に搭載されるアイサイトver2は、各種システムとの連携により、これまで以上に性能を高めている。カメラ画像認識処理の変更により、遅い車両への追いついた場合の応答性改善や、カーブ時の前走車認識性能を向上。またアイドリングストップ搭載車は、全車速追従クルーズコントロール中に前走車に続き停止した場合、ブレーキペダルを踏むことなくアイドリングストップが作動し、前走車の再発進時には、エンジン始動後に従来通りに追従走行が再開されるアイドリングストップ協調制御を採用している。

さらに、マルチインフォメーションディスプレイと連動させ、全車速追従機能付クルーズコントロールの制御状況や、注意喚起の警報をより分かり易く表示などの他に、オートクルーズの車速設定が従来の5km/h刻みから1km/h刻みへと改良している。なお、アイサイトは現状では2.0GT DITには搭載されていないが、9月頃には搭載モデルを追加するとしている。

また、今回ビッグマイナーチェンジを行ったことで、オールニューの次期型レガシィ登場は少なくとも2年先と予想できる。少し気が早いが、次期型レガシィは、本物のダウンサイジング・コンセプトを採用すると考えて差し支えないだろう。

レガシィの画像

レガシィの画像

スバル公式サイト

ページのトップに戻る