インプレッサWRX・STI tS ショートインプレッション

マニアック評価vol33
スペックCとtS tS

↑左がスペックC 右がtS

WRX・STI tSはWRX・STIをベースにさらにSTIが専用チューニングやスペシャル装備を加えた400台限定モデルだ。

ボールベアリングターボを装備したエンジン、ハンドリングのフィーリングをチューニングしたサスペンション設定、シャシーの補強、カーボンルーフ、専用ホイール、専用内装などマニアックな装備をし、価格は480〜500万円(2.5L/5速ATのAラインは約50万円安い)という高価格車である。

レカロシート

エンジンは過給圧アップにより中速トルクをさらに盛り上げ、ボールベアリングターボとすることでレスポンスもかなりアップしている。そのためアクセルペダルを踏み込んだ時の吹け上がり感は標準STIモデルより一段とシャープで強烈な加速感を味わえる。

いいかえれば、大きくアクセルを踏み込めば、ほとんどのクルマを一瞬で追い抜くことができる圧倒的な動力性能といえる。瞬間的には1.5気圧を超える過給圧がかかっていると思う。だからハイパワーエンジンとして動力性能としては文句なしで、回転のスムーズさも水平対向のメリットだが、唯一不満なのはスポーツカーらしいサウンドチューニングが希薄なことだ。もっともこの不満はベース車も同じだが。

ハンドリングはSTIが専用チューニングし、中立の状態(ニュートラル)から切り込み、初期から大舵角までリニアにつながる操舵フィールで、滑らかで軽快なハンドリングに仕上げられ、こうした点では価格相応の高質感があるといえる。

ダンパー減衰力は標準モデルよりアップされているようだが、その分だけフリクション感が出ているのがちょっと残念で、低速域で顔を出す。フリクションは走行距離に比例して低減はするのだが・・・・・・

タイヤはポテンザRE 050A。フロント2.3kgf/cm2、リヤ1.9kgf/cm2という相変わらずの指定圧だが、接地フィーリングを考えるともう少し前後のバランス圧の設定を考えたほうがよいと思う。

ポテンザRE050A

標準STIも同様だが、tSもせっかくの17インチローター、ブレンボ対向ポットキャリパーを備え、ブレーキ時の剛性感は高いのだが、ペダルを踏み込んだ時の制動力の立ち上がり感が乏しく、加速性能とちょっとアンバランスだ。要するにパッドの材質の問題ということだ。これもスバルはわかってはいるというのだが・・・・・・

tSはカーボン製のルーフパネルを装備しているが、そのパネル面の仕上げは想像以上に仕上がりレベルが高い。カーボンルーフはtSであることを端的に示す最大のシンボルにもなっているし、今年のニュル24時間レース参戦車もおそらく同仕様と考えられるので、その意味でもオーナーはニュルブルクリンク発のスポーツマシンというイメージに共感できるはずだ。

カーボンルーフ

WRX・STIはカルトカー的なキャラクターが強く、動力性能や限界性能の高さが注視され、乗り味にクレームはほとんどない、というのだが500万円台の価格となるtSに、あえていえば常用域でのドライビングプレジャーをもっと駆り立てるフィーリング、エモーション、高揚感の演出が欲しいと感じた。例えば加速サウンドや手応え、メーターパネルの専用の演出が欲しくなる。

文:編集部 松本晴比古

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