STIチューンの新型スバル・フォレスターtSモデル解説と桂伸一動画試乗記

マニアック評価vol26
2010年12月24日から発売されるSTIフォレスターtS。全国のスバル特約店で販売されるのだが、受注開始は10月25日からと、すでに始まっている。受注受付期間は2011年3月31日までで限定300台のプレミアムモデルだ。

 

SH型のフォレスターにS-EDITIONが追加され、そのモデルをSTIがチューンしたのがこのtSモデルだ。tSモデルとはSTIが走りの本質を追求したモデルに与える称号で、コンセプトは「Sport,Always すべての時、すべての道、クルマとの対話はいつも“スポーツ”だ」である。このコンセプトはSTIの企業コンセプトでもあり、詳細は既報のSTIフォレスターtS秘密のクルマ造りのページで開発者・辰己英治氏が語っている。動画もあるので参考にして欲しい。

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企業コンセプトとは別に、今回のフォレスターtSという車種コンセプトについては、SUVであるという言い訳をしないことであり、リアル・ドライビング・SUVである。期待を上まわる安心感やドライビングを愉しめる、強靭でしなやかな走りを実現するというものだ。

家族や仲間を乗せ、高速道でのレーンチェンジ、ワインディングや街中の交差点で感じる「グラッ」とするロールの不安を避けて運転していないだろうか? ということで「乗員に不安を感じさせない」ということを重要視して造られている。

STIチューンと聞けば、サーキット走行が快適になるとかタイムが出せるなどのイメージを持っているユーザーもいるだろう。しかしSTIの造るtSシリーズは、そのスポーツ性ではない。安心してクルマの運転が愉しめ、乗員みんなが気持ちいいことであり、その先にはサーキットもあるということだ。

そのためにフォレスターtSには、STIだからできることが施されている。量産車ではできない部分までSTIのノウハウがつぎ込まれ、欧州車SUVに匹敵する走りと乗り心地を実現しているという。そのベンチマークはBMW X3である。

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具体的には、SUVの車高がもたらすロールの不安や転覆の恐怖などを払拭し、ステアリングの応答遅れを小さくすることに注力している。そのためにタイヤへの接地荷重を安定させるチューニングを行っているのだ。つまりフロントでステア操作が行われも実際のコーナリングは4輪で曲がる。リヤタイヤが向きを変えるという意味ではなく、リヤタイヤにかかるフォースの向きを変えるということで、曲がろうとする動きをいかに速く、正しくリヤタイヤにまで伝えるかがポイントになる。リヤタイヤはこれまで直進していれば、フロントタイヤが切られた瞬間にも、まだ直進しようとする。これをフロントが切られた瞬間に、リヤはその切られた方向にフォースの向きが変わっていれば、理想的なハンドリングになるということだ。こうすることで、背高なSUVでもコーナリング時のロールに対する不安や転覆に対する恐怖はなくなるというわけだ。

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そのためにどうしたか? というと、これまでハンドリングをよくするために、緩みを嫌い固める方向のチューニングをするのが一般的であった。STIのノウハウでは固めながらも力を逃がすことが必要と考え、フレキシブルに動くストラットタワーバーとストラット取り付け部を補強するサポート、ストラット自体の剛性をあげるアップサイドダウン(倒立式ストラット)のサスペンションが組まれ、車高も15mmダウンしている。他にも、リヤサスペンションをマウントするサブフレームの前側取り付け部とボディに引っ張りテンションをかけるドロースティフナーがあり、リヤタイヤの応答性に大きく影響するパーツを装着している。もちろんダンパーの減衰やバネレートにもチューニングが施され、STI独自のスペックに設定されている。

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エクステリアでは空力と実用性を兼ね備えたフロントスポイラーを装備、リヤアンダースポイラーをディーラーオプションとしているほか、φ100×2のスポーツマフラー、STI製アルミホイール(17×7.5J)およびtS&STIオーナメントでエクステリアをチューニングしている。ボディカラーはサテンホワイトホワイト・パール、オプシディアンブラック・パール、スティールシルバー・マイカ、WRブルー・マイカの4色を用意している。

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インテリアでは、シックで落ち着いたブラック/グレーで統一され上品なスポーティさに仕上がっている。シートは本革+アルカンターラにSTIの刺繍ロゴがはいり、ステアリングにも本革でSTIのオーナメントが入る。メーター類では、専用スポーツルミネセントメーターが奢られ、240km/hの表示となっている。エンジンスタートボタンもSTIのロゴ入りのものに変更されている。

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こういったチューニングがされたモデルがtSグレードである。S-EDTIONの価格312万9000円に対しtSは362万2500円である。価格差46万3500円になるが、ハンドリングに対し特に敏感でない人でもtSグレードが運転しやすく感じるのではないだろうか。そして、敏感な人であればフラットライドなフィーリングを楽しむことができ、さらに限定モデルであることも考慮すれば十分価値あるモデルといえるだろう。

文:編集部 高橋明

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