日産 エクストレイル・ハイブリッド試乗 HV化でハンドリングも向上

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日産・エクストレイルのハイブリッドモデルに試乗した

2015年5月13日より発売されたエクストレイルのハイブリッドに試乗する機会があり、横置きの1モーター2クラッチ式のハイブリッドをドライブしてみた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

日産は究極のエコカー「ゼロ・エミッション」とエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE」を2本柱としたCO2排出量削減に取り組んでおり、エクストレイル ハイブリッドもこのPURE DRIVEの1モデルである。

日産独自のハイブリッドシステムである「インテリジェント デュアルクラッチ コントロール」は、駆動と発電を一つのモーターで行ない、レイアウトとしてはエンジン>クラッチ>モーター>クラッチ>トランスミッションとなっている。これまでシーマやフーガなどにもこのレイアウトのハイブリッドが搭載されてきたが、今回のエクストレイルではエンジン横置きとしては国内初搭載ということになる。

エンジンはMR20DD型をハイブリッド用に最適化し、エクストロニックCVTと組み合わされ、JC08モードで20.6km/Lで全車「平成32年度燃費基準+20%」を達成し、全額免税適用になっている。2WD、4WDがありパワーユニットはすべて同じ。価格は280万4760円から324万円で、エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)を全車標準装備とした。

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ハイブリッドモデルは燃費20.6km/Lをマークする

 

試乗車はALL MODE4×4-iで、神奈川県横浜のグローバル本社を起点に首都高速、市街地を走行テストすることができた。車両サイズは全長4640mm×全幅1820mm×全高1715mm、ホイールベース2705mmとミッドサイズクラスながら20.6km/Lの低燃費はハイブリッドのメリットが最大に活かされているからだ。日立オートモーティブ製の円筒形高出力リチウムイオン電池を搭載し、デュアルクラッチのメリット活かした制御によりEV走行領域を広げている。

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◆インプレッション
エクストレイル ハイブリッドのシートの座り心地はソフトだ。走りだすとサスペンションの動きがしなやかなのが好ましい。すぐに首都高速に乗り、合流加速で踏み込むとすぐに本線の流れる速度まで到達するので、パワー不足などは感じない。

走行中は状況次第でエンジンが止まったりもするが、再始動する際も特に気にならない。エンジンは基本完全停止しているため、再始動でクラッチをつなぐ際、わずかなショックがあるということだが、意識しないと気付かないレベルだ。

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ひとつ気になったのは、減速しているときに、どこかのタイミングでエンジンとつながるシーンで、エンジンが車速より高い回転でつながるときがあった。これは駐車場での切り替えしの時に、前進とリバースのシフトチェンジでも起こることがあり、少し気になる。

また、ドライバーが意図的にエンジンブレーキを使いたいときなど、例えば下り坂などでスロットルオフのEV走行中では、エンジンにはガソリンが供給されずバルブも閉じたまま回転し、エンジンの摺動抵抗を利用する場合もあるという。

サスペンションはシートの座り心地と相まってソフトでしなやか。ロール感を感じさせずにロールしながらコーナリングし、ヨーも感じられる。このことをスタッフに話すと「ガソリン車はそこまでしなやかではないかもしれません」となんとも素直な回答で、どうやら、ハイブリッド化による重量増がプラスに働いた結果なのかもしれない。

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シートは座り心地がよく快適にドライブできる

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ガソリン車と比較しモーターやバッテリー、ボディ補強などもあり全体で130kg重量が増えているという。そのためか、その前後重量配分も50:50に近づきバランスがいい。いずれにしても好印象な乗り味で、高剛性でガッシリしたボディとダイレクトなハンドリングを特徴とするドイツ軍団とは違った印象だ。

しかし、ハンドリングでは、センター付近の座りはもう少しはっきりあってもいいか、という印象だが、応答遅れもなくソフトな乗り心地なのにダイレクト感があるので、好みの問題という程度だ。もうひとつ気になったのがブレーキタッチで、ファーストタッチがスポンジーに感じることと、ハイブリッド車にありがちな、同じ踏力なのに減速感が変化してしまうことがあった。

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全体の印象をまとめてみると、ハードで4×4のイメージの強かったエクストレイルがクロスオーバー方向へシフトしている印象。そして制御面では少し違和感がある部分もあるが、アップデートレベルの対応で解決できそうだ。ただ、このあたりのクルマの造りを考えてみると、エクストレイルのメインマーケットはアメリカや欧州であり、グローバルマーケットを主戦場とするモデルだけに、100km/hの速度制限の国内仕様では、グローバルで通用しないことをしっかり理解し、ソフト面でもマーケットニーズをうまく取り込んできているモデルという印象だった。

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