日産リーフが2025年10月に3代目へとフルモデルチェンジしている。登録前の事前試乗ではテストコースで走行し、フランス車のような方向へ乗り心地が変わっていることをお伝えしている。しかし、公道で試乗すると印象が変わることもままあるので、年末に行なわれた日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考では評価の対象から除外していた。
関連記事:【日産】新型リーフはモーター音も静かでゆったりと気持ちいい乗り心地[試乗レポート]
関連記事:【日産】3代目リーフの受注開始は10月17日 フル充電で702km走れる
関連記事:【日産】リーフにエントリーグレードB5を追加309万9000円から自治体補助金も使えば300万円切り?!
年が明け2月に入るとようやく公道で試乗をすることができ、その時の評価は間違っていないのか確認することができたので改めてお伝えしよう。

まずは3代目が目指したものは、抽象的な表現だが「どんなクルマよりも気持ちよくドライブできるクルマ・一度乗ったら戻れない!」と「EV性能を磨き上げ、誰もが安心して乗れるEV」と日産は説明している。
これはEVに乗り慣れるとICEには戻れなくなる気持ちを表し、つまりはドラビリがICEより気持ちいいと言いたいわけだ。そして誰もが安心とは、航続距離や充電時間、充電インフラへの不満を指し、それらの不満や不安を解消したのが3代目リーフだというわけ。



そうした日産からのPRを受けて公道で試乗してみると、テストコースで感じたように乗り心地が従来の日産車とは異なり、フランス車のようなベクトルにあったのだ。それは、ストローク感があり、優しいふわりとした乗り心地になっている。そしてシートも含め、乗り心地が優しいと感じるモノだった
それにプラスして直進の座りの良さもフランス車系のどっしり感だ。ドイツ車とは異なるアプローチで同様の安定感と安心感がある。さらにステアした時のフィーリングの確かさも安心感につながる。特に微小舵で反応するレベルは欧州レベルで、わずかに操舵した時のやや重めの手応え、切り足ししたときのフィードバックがしっかり伝わってくる。

それにプラスしてアクセルペダルのレスポンスにも気持ちよさがある。ほんのわずかのペダルワークにモータは反応する。決してドカンと反応するのではなく、リニアな反応だ。わずかに軽く踏み込むと、クルマはわずかに、そして静かに動く。
中間加速などの踏み増しではペダルを踏み込む速度と量を正確に捉え、ペダルとタイヤがリンクしている。ステアリングはタイヤを持ってコーナリングしている気になるし、アクセルペダルはペダルでタイヤを押している感覚だ。
さらに、横Gや旋回Gが出た時のボディ剛性の確かさも安心感がる。本当に従来の日産車とは異なるフィールなのだ。
さて、制御系でも進化があった。そのひとつがディスタンスコントロールだ。先行車との車間距離を自動調整する機能で、プロパイロットとは別に稼働するもので、デフォルトはオン状態。任意でオフにはできる設定だ。



この機能は先行車との車間距離が自身の判断とマッチするかどうか?が重要になり、また減速する際も滑らかな減速が求められる。それが実際の公道ではじつに的確な制御がされていて、同乗者であれば、ドライバーが減速していると思うレベルなのだ。
こうした制御のレベルアップはプロパイロット2にも活かされていて、運転が上手い人が操作しているように感じられるレベルだった。こうした制御によって動かす領域を人が操作しているように感じさせるレベルになると、自然な運転行為に感じられ、それが当たり前になってくるから人は贅沢なものだと思う。
3代目リーフの技術レベルを高評価した理由について、技術面から見てみたい。
まず乗り心地がフランス車系になった要因は、もちろん開発の狙い通りなのだがサスペンションは日本専用のサスペンションになっている。ダンパーはKYBのHLSバルブ付きダンパーで、HLSバルブは速いピストン速度(突き上げ)では減衰力を下げて乗り心地を確保し、遅い速度(ロール・ピッチング)では減衰力を上げて、操縦安定性を向上させスポーティな走りを両立させる狙いのダンパーだ。


そしてシートクッションもウレタン密度を30%アップさせ、人間に伝わる振動を低減している。またリニアな操舵フィールにおいては、ボディ、シャシー、モータに秘密があり、それぞれが高度に進化した結果なのだ。
そのボディでは車体ねじり剛性を+86%も向上させているのだ。とくにフロント部のラジエターコア部、バルクヘッドなど各部位にブラケットや締結点を追加し、リヤのCピラーからリヤエンドにかけては構造用接着剤を使って剛性をアップさせている。




もっとも大きいな影響だと感じるのはバッテリーパックだ。フロアに敷き詰めるというよりバッテリーケースがボディ骨格の一部のようなセル2ボディと同じ効果を生み出す構造とし、前後サブフレームがバッテリーケースに直接結合しているのだ。
そしてリヤサスペンションはマルチリンクへと構造変更し、リヤサブフレーム後端ブッシュのすぐり角を考察し、最適化した。こうしたボディの剛性といなしは、入力エネルギーの流れをコントロールしている構造であり、さらにリヤサスペンション自体の剛性も+66%アップさせているため、静粛性、ハンドリング、乗り心地に効いているのだ。
またステア応答の見事さはEPS制御とシステムの変更がある。モータはラックアシスト式へとグレードアップし、ステアリング剛性も+48%と大幅に向上しているのだ。そして制御では日産の電動パワーステアリングのノウハウを結集し、微小舵時に敢えて重めの領域を作ることで、人はリニアな反応だと感じるらしい。それをデータ化したウエーバー曲線というが、その曲線に沿ってモータアシスト制御プログラムを作っているのだ。




モータ本体は今回3in1タイプとなり、減速機、インバータを内蔵しコンパクト化したユニットを搭載している。PTがコンパクトなったことで、マウントブラケットの長さが短縮することができたという。つまり支持アーム長が長いのと短いのでは短いほうが振動は小さく有利であり、その結果マウントブラケットやサスペンションメンバーの高剛性化ができたというわけ。
それとモータ本体が発生するノイズを低減していることも静粛性、低振動につながっている。これはローターの溝を軸方向に対して斜めに配置する構造へと変更したことで、振動が抑えられているのだ。正確には従来の2分割だったものを6分割スキューにしている。
こうすることで、全速度域でモータノイズは低減でき、特に中速では10dbほど低減できているという。したがってEVに乗ると電車のような音がする、というアレは見事になくなっており、高い静粛性が維持されているのだ。
走行中にモータやインバーターの音を聞くことは不可能なほど高い静粛性があり、現在市販されている量販型EVではひと世代先行した技術が搭載されていると感じた。
もうひとつ魅力があるのはバッテリーサイズが選択できることだ。B7とB5と呼ぶバッテリーサイズがあり、B7が78kWhでB5が55kWhの容量だ。航続距離ではB7が702km、B5は521kmとともに十分な航続距離がある。当然車両価格に反映されている。

そしてバッテリーの進化にとも充電時間の短縮もできている。SOC10%から80%への充電時間は150kWの急速充電器の場合、B7、B5ともに35分。90kWの出力器だとともに45分となっている。ちなみに6kWの普通充電の場合、B7が14時間、B5が10時間で10%から100%のSOCになる。





もうひとつ特筆すべき不安解消機能はナビゲーションだ。これは行き慣れた、道順を知っている場所へ出かける時もナビをセットすると、今の充電状況でたどり着けるのか計算してくれる。もし届かない場合は、急速充電の場所が表示され、かつ出力器の大きいものが優先的に示され、かつ満空情報も見ることができるのだ。

だから航続距離への不安は一気に小さくなると思う。また自宅充電できる環境であれば、ICEに対してネガ要素は見当たらないのだ。
政府も購入補助金を増額しているし、市町村も補助金のある自治体もある。EVが特別なものではなく、自身のクルマの使用環境を冷静に分析し、ガソリンスタンドへ行く必要のない、またメンテナンスコストも非常に安いことも踏まえ検討するタイミングだと思う。
本音のコメ
新型リーフのレベルの高さには驚かされ、物欲が湧いたのは事実だが、デザインがどうにもいただけない。購入まで踏み込むにはデザインのかっこよさが不足していると思う。同様に感じた人にはオーテックバージョンがある。デザインだけひっかかった人には、オーテックをお勧めする。
B5価格

B7価格

B5諸元

B7諸元

オーテック諸元・価格















