日産 3代目新型リーフをワールドプレミア クロスオーバースタイルに変身【公式動画】

日産自動車は2025年6月17日、電気自動車(EV)の新型3代目「リーフ(2026年型)」のワールドプレミアを行なった。市場導入は、2025年秋にまず北米で販売を開始し、その後順次他のマーケットにも展開予定で、日本への導入は2025年内とされている。

モデル概要

3代目リーフは、従来どおりCセグメント・サイズだが、これまでハッチバックだったボディはクロスオーバーに変貌している。プラットフォームは、アリアと同様のCMF-EVプラットフォームを採用。生産は、栃木工場とイギリスのサンダーランド工場で行なわれる。

開発コンセプトは、効率至上主義を追求し実用性能を向上すること、EVの高品質な走りの革新、効率至上主義の合理的な車両パッケージの3点だ。

ボディサイズは全長4360mm(従来型比-120mm)、全幅1810mm(従来型比+20mm)、全高1557mm(欧州仕様は1550mm。従来型は1560mm)、ホイールベース2690mm(従来型比-10mm)となっている。全長は短くなり、フロント・オーバーハングは1040mmから840mmへと短縮されている。

プラットフォームの変更によりサスペンションはフロントがストラット式、リヤは従来のトーションビーム式から4リンク式に変更されている。

また、最小回転半径も5.4mから5.3mへ縮小され、ショートオーバーハングであることと合わせて、取り回しが向上した。また、ルーフラインはクーペ風のデザインだが、電子調光式ガラスルーフを採用することで、後席でも十分なヘッドクリアランスとし、ラゲッジ容量も420L(欧州仕様は437L)を確保。全長/有効室内長の比較では競合モデルより優位に立っている。

クーペ風のルーフラインの採用を始め、空力性能を徹底追求し、Cd:0.26(欧州仕様は0.25)とトップレベルの低い抵抗係数を実現している。これは航続距離の伸延にも貢献しており、B7モデルは600kmを超える航続距離を可能にしている。

なお、搭載するバッテリー容量はB5モデルが52.9kWhと、B7モデルが75.1kWhという2種類。当初は前輪駆動モデルのみと推測されるが、4WDも追加されることになるだろう。

3-in-1 パワートレインとバッテリー

パワートレインは、アリアが巻線磁界式動機モーターを採用していたのに対し、新型リーフは新世代の永久磁石同期型モーターを採用。そして新世代e-POWERとのモジュール化を前提にした「3-in-1 EVパワートレイン」を初採用している。「3-in-1 」は、モーター、インバーター、減速機の3ユニットを一体化させたという意味で、よりコンパクトで高剛性を実現している。

モーター出力はB5が130kW(177ps)/345Nm、B7が160kW(218ps)/355Nmだ。バッテリーは、アリアはCATL製を採用していたが新型リーフはAESC製で、バッテリーセルの改良により17%エネルギー密度を向上させ、電極の改良、さらに最新の温度マネジメントを採用することで、急速充電性能などを大幅にアップグレードさせている。

なお、モーター内のローターの磁石を位相がずれるように配置することでトルク変動を従来より少なくし、モーターのマウントに高剛性のブラケットやインシュレーターを用いることで、従来比75%も振動を低減させ、スムーズで静粛な回転を実現したとしている。

急速充電は、日本はCHAdeMO、ヨーロッパはCCS2、アメリカ市場はNACS(テスラ)方式を採用。急速充電の性能は、バッテリーがB7のヒーター付き温度コントロール・システム装備の場合は、バッテリー温度25度であれば15分間の急速充電で約250km走行分を充電できるという。

なお、バッテリーの温度管理のみならず、車両全体の熱エネルギーの統合管理システムが新採用されており、ヒーター、クーラー、モーター、ラジエーターをすべて、つまり暖房を含むエアコンとパワートレインの熱を統合管理し、例えばモーターの発熱を暖房やバッテリーの加熱などに使用する、急速充電時の車載充電器の発熱をバッテリーの加熱に使用するなど熱エネルギーの高効率化を実現している。

さらにナビゲーションとも連携するナビリンク・バッテリーコンディショニングも採用しており、予定ルートの負荷(道路の勾配や高速道路の長距離走行など))を推測し、最小限のエネルギーにより最適なエアコン、バッテリー温度管理が行なわれるようになっている。これらにより電費性能は向上し、特にB7はEVでトップレベルに達しているという。

デザイン

新型リーフのデザインは、日産グローバルデザインセンターが担当し、アリアから導入さた「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」をより発展させたものとなり、シンプルで力強く、モダンな表現により日本の美意識をデジタルな時代にマッチさせたデザインとしている。

Aピラーからルーフへとつながるウィンドウラインのアクセントは、日本刀に着想を得ており、リヤ・ランプ、充電口リッドや、ホイールなど、車両の各所に2本のラインと3本のラインを組み合わせたデジタル調の「Ⅱ三(ニッサン)パターン」を採用して個性を表現している。

ランプ類も特長的で、フロントは片側6連の四角いシグネチャーランプによって、ワイド感のある「Vモーション」のフロントマスクを表現。イルミネーションタイプの日産エンブレムや、フロント上部を横断する横一文字のLEDライトバーも組み合わされている。リヤは、奥行きを感じさせるLED 3Dホログラフィック・リアコンビネーションランプを採用。「デジタル“禅”」を表現している。

インテリアは、キャビンを一周するような横基調のトリムを配置し、横に広がるフローティングデザインのインストルメントパネルや、プッシュボタン式のシフターなどでミニマルで開放感を生み出している。EVならではの完全にフラットな床面に加え、エアコンユニットを室外のモータールームに設置することで、広々とした足元スペースを実現。インテリアカラーはブラックとホワイト、そして日本専用に、薄緑のアクセントを効かせたライトグレーが用意される。

オーディオ&インフォテインメントは12.3インチと14.3インチのデュアルスクリーンを統合した、モノリススタイルのデザインを採用。メーターの背景デザインは最大5種類を用意しており、その中にはリーフ専用の「Engawa(縁側)」デザインも用意されている。日本の建築思想である縁側は、内と外の空間を自然に繋げることを目的としており、その哲学がディスプレイにも反映されているという。64色から選択できるアンビエント照明も装備されている。

Googleビルトイン機能を搭載した最新のニッサン・コネクトは、ワイヤレスApple CarPlay、Android Auto、コネクト・サービス、車内Wi-Fiが利用可能で、サードパーティのアプリも使用できる。それ以外にもワイヤレス・スマートフォン充電、最大4つのUSBポートを搭載。さらにボーズ・パーソナル+プレミアムオーディオ(10スピーカー、前席ヘッドレスト内蔵スピーカー含む)を搭載している。

ルーフは、電子調光パノラミック・ガラスルーフを初採用した。電子調光技術を採用し、ガラスの透明度を変えることで室内に入る光の量をボタン1つで調整でき、ガラス部には赤外線(IR)反射コーティングを採用することで高い遮熱効果を実現。さらに日本の伝統的な「霞(かすみ)」模様からインスピレーションを得たシェードパターンをデザインするとともに、調光ルーフが作り出す影には小さな「LEAF」のロゴが浮かび上がる遊び心も加えられた。調光はフルシェード(全閉)、フロントシェード(前側のみ)、リヤシェード(後側のみ)、シェードレス(透明)から選択できる。

運転支援システム

新型リーフの日本仕様はプロパイロット1.0、2.0の2種類を設定している。そして新たに、新開発された「インテリジェントディスタンスコントロール」を採用。この技術は、プロパイロットを起動した状態では、前のクルマが減速した際にドライバーがアクセルペダルを戻すと、システムがなめらかにブレーキを制御して速度を落とす。先行車がゆっくりと停止した場合には、自車もそれに応じて停止、再発進まで可能となり、加減速を繰り返すシーンでドライバーの負荷を大幅に軽減することができる。

その他に、カメラ技術を使用した「インテリジェントアラウンドビューモニター」を搭載しており、車両周囲を車外のさまざまな仮想視点から確認できる「3Dビュー」、クルマの前方や交差点などの見通しの悪い場所で左右を確認できる「フロントワイドビュー」や、ボンネットで隠れた路面の映像を表示する「インビジブルフードビュー」といったビューモードが表示できる。

V2X

新型リーフは、「V2L(Vehicle-to-Load)」機能を備え、米国仕様では室内と荷室にそれぞれ120Vのコンセントを搭載。合計最大1500Wの電力を使うことができ、キャンプなどで電化製品が使えるようになっている。また、充電ポートに接続するV2Lアダプターからの電力供給も可能で、日本では最大1500W、米国では1800W、欧州では最大3.7kWを出力することが可能だ。

また日本仕様では「V2H(Vehicle-to-Home)」機能も継続して採用されており、V2H機器と接続することで車両のバッテリーから家庭へ電力を供給したり、太陽光発電の電力を車両に充電し、また、家庭用蓄電池として機能させる事もできるようになっている。

さらに2026年からは、英国を皮切りにクルマが社会の電力網につながる「V2G(Vechicle to Grid)」の技術も実装されることになっている。

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