日産リーフニスモ 20MY 環境性能とドライビングプレジャーの両立 試乗記

リーフニスモの20MY(モデルイヤー)に試乗できた。ご存知のように日産リーフは100%電気で走る電気自動車で、排気ガスはゼロで、事故ゼロを目指す日産の次世代車だ。そのリーフをニスモがチューニングすることでドライビングプレジャーの魅力もプラスし、環境性能とドライビング性能の両立に価値がある、という位置づけなのがリーフニスモだ。

ダイナミック性能、とくにハンドリングをクイックにしたリーフニスモの20MY

試乗は日産のテストコースで、パイロンを使ったスラロームなど特にハンドリング、サスペンションなどのレベルアップの確認がしやすい環境での試乗テストだった。また、試乗車はこの新型の20MYと比較用に18MYも用意され、よりわかりやすく体験できる環境でもあった。

ポイント

18MYに対して変更したポイントは、ダイナミック性能の変更が中心だ。特にハンドリングでは、ステアリングギヤ比をクイックにすることで小舵角でも位相遅れをなくしている。そうした変更に伴うサスペンションやブレーキも最適化が行なわれている。

また、Bモード、Dモードでの加速立ち上がりなど、ニスモ専用のチューニングが行なわれており、意のままの走行が楽しめるというわけだ。

環境車でありながら、ルックスはかなりスポーティにし両立をねらっている

具体的に見ると、ステアリングのギヤ比は、18MYはノーマルリーフと同様の18.3:1だが、20MYではそこを14.9:1までクイックにしている。これは日産でいうとフェアレディZと同等の数値ということだ。

またBモード、Dモードはこうしたクイックなハンドリングに呼応できるように、加速度をあげ、加速レスポンスを向上させている。性能曲線の立ち上がりを急峻にした制御というわけだ。また、インテリジェントトレースコントロールも制御定数を変更している。

これはS字コーナーなどステアリングの切り返しをするシーンでの初期応答の向上と巻き込み向上により、よりよいロールダンピングにしている。これはコーナリング中にブレーキをつまみながらよりニュートラルステアの挙動になるような制御イメージでアンダーステアを感じることなく、回頭性をあげ旋回性をあげていく。

空力は空気抵抗をへらしダウンフォースを増やす方向のエアロパーツを装備

そしてVDCの制御変更も行なっている。主にTCSトラクションコントロールで、18MYでは長く作動して安定傾向に制御を行なっていたが、アクセルオンした時に、介入を短くし車両本来の動きが体感できるように味付けを変更している。

これらの制御変更はテストコースのパイロンコースやS字セクションで体験できた。ステアリングのクイックなレスポンスは、思ったほどクイックではなくいわゆるスポーティなハンドリングだった。クイックという言葉からピーキーなイメージを抱きやすいが、その心配は不要だ。小舵角でクルマはよく動き、コントローラブルに感じる。

そして素早く、大きくステア操舵するパイロンコースでは、旋回出口でのリヤの存在感がよく分かるようになった。これはVDCの制御変更というより、トレースコントロールによりニュートラルステアからの立ち上がりがより素早くできるようになったためだ。そしてBモードの制御変更による立ち上がりの素早さも手伝って、スポーティさを体感するわけだ。

ワンランク上のタイヤに変わったのか?と思えるほどシャシー性能の向上が感じられる。225/45R18コンチネスポーツコンタクト5を装着

一方、サスペンションでは、ダンパー、スプリングともに変更されている。18MYに対してダンパーはフロントで10%、リヤで30%減衰を高めている。スプリングは同様にフロントを28N/mmから32N/mmへ14%、リヤは48N/mmから60N/mmへ25%バネレートをアップしている。プラスしてバンプラバーもゴムからウレタンへ変更した。

こうしたシャシー性能の向上で注意したポイントは、硬めのサスペンションとしながら乗り心地を損なわずフラットライドできること、高いスタビリティとすることだという。

これらの足回りの変化では、装着タイヤが18MYから変更されていないにもかかわらず、ワンランク上のスポーツタイヤを装着したかのような、スポーティで高いスタビリティを感じる出来栄えになっていたのだ。テストコースでのハンドリングやスラロームでは顕著にその違いを体感できた。

純正のシートヒータースイッチと連動しているので、後付け感がないレカロシート

もう1点注目はレカロシートだ。オプション設定となるスポーツシートで20MY用としては、とくに肩甲骨がフラットに面で支える形状へ変更しているという。いうまでもないがサポート性能は高く、かつ乗降性も加味したタイプのシートで、これらのスポーティなチューニングされたパワー制御、サスペンション、シャシー性能には是非欲しいシートだと感じる。

ちなみに助手席との2脚セットになっているが、ノーマルリーフにあるシートヒーターのスイッチはそのままこのレカロシートでもシートヒータースイッチとして使えるあたりの配慮もある上級シートだ。

リーフニスモはサスティナビリティと自己満足の両立を謳っており、電気自動車だからできるレスポンスのいいスポーツドライブが楽しめるモデルになっていた。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

リーフNISMO諸元

COTY
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