日産自動車は2015年10月28日、日産が目指す未来の電気自動車と自動運転を具現化したコンセプトカー「Nissan IDS Concept(日産IDSコンセプト)」を東京モーターショーでワールドプレミア。日産はこのコンセプトカーの開発で、自動運転車の実用化をリードしていくことを目指す。またこのクルマは次期型リーフにつながる点でも注目すべき存在だ。
日産IDSコンセプトは、自動運転のPD(パイロットドライブ)モードと、ドライバーが自ら操作するMD(マニュアルドライブ)モードの相互補完を図る。PDモードでもドライバーの好みを熟知したパートナーとなり、ドライバー自らが運転しているかのようにミスのない信頼できる走りを目指している。
一方でMDモードで自らクルマを操り、加速やコーナリングを楽しんでいるときでも、日産IDSコンセプトは密かにドライバーをアシストする。万が一危険が差し迫った場合には、クルマが最適な回避方法をアシストしてくれるのだ。日産はこれをクルマがもっとパートナーになる『Together We Ride』と名付け、目指すべき自動運転の方向性とした。
カルロス・ゴーン社長兼CEOは「このIDSはドライバーの認知/判断/操作をサポートすることで、交通事故の約9割の原因である人的ミスを補い、より安全で効率的かつ楽しいドライビングを実現します」と語っている。
日産IDSコンセプトはロングホイールベースの利点を生かして、ハッチバックでありながらも、天然素材やメッシュ調レザーのインテリアで、大人4名がゆったりくつろげる室内空間を確保している。PDモードを選択すると不要となるステアリングは姿を消し、インストルメントパネル中央は大型のモニターとなる。室内は柔らかく落ち着いた光で優しく照らされ、4つのシートは内側に少しだけ回転。すべての乗員が 同じ風景を共有することで、リビングルームでリラックスしているような心地よさで、乗員全員が豊かなコミュニケーションを取ることができる。
一方でMDモードにすると、インテリアはドライビングを楽しむための空間へと変貌する。すべてのシートは前方を向き、馬の手綱をイメージしたステアリングやメーター、ヘッドアップディスプレイが出現。室内照明も運転に集中できるブルーに変わる。このトランスフォームはフロントシートの間にあるPDコマンダーで操作。自動運転中にドライバーがフィジカルに操作できる唯一のスイッチでもある。あえて音声やジェスチャーでの操作としなかったのは、人間が責任を持って運転 することを明確にするためで、これも日産が考える自動運転の姿なのだという。
スタイリングやカラーはEVらしいクリーンさ、清潔さを表現している。ボディサイドには水平基調のLEDのラインを配置。インテンション・インジケーターと名付たこのラインは、周囲にいる人を検知すると青く発光し、さらに人に向けて白い点滅する光でクルマが相手を認識していることを知らせる。インストルメントパネル前方には、外向きのディスプレイを配置。車外の人たちに向けて、写真の「おさきにどうぞ」など、クルマの意思を伝えるメッセージが流れる仕掛けも用意されている。