【日産】スマートハウスの第一歩「LEAF to Home」を公開。今年度内に販売予定

日産自動車は2011年8月2日、日産リーフに搭載されている駆動用のリチウムイオン電池から一般家庭へ電力を供給するシステム「LEAF to Home」を公開した。

この電力供給システムは開発中のパワーコントロールシステムと家庭の分電盤を接続し、リーフの急速充電ポートとパワーコントロールシステムを専用のケーブルで接続することで、リーフの24kWhの容量を持つリチウムイオン電池から一般家庭に電力を給電できるというもの。日産はこれを「LEAF to Home」と名付けている。

通常の電力網が停電している場合、このシステムを使うことで家電製品を使用している一般家庭に約2日間分の電力を供給することができる。これは、将来のスマートグリッド、スマートコミュニティといったフェーズにつながるスマートハウス構想(参照:スマートネットワークプロジェクト)のひとつだ。もちろんスマートハウスでは、屋根に設置した太陽光発電で得られた電力をリーフの電池に充電することもできる。

つまりLEAF to Homeでは、スマートな電力利用に貢献(夜間電力でリーフを充電して昼間に家庭に給電する)、非常時や緊急時のバックアップ電源として利用可能、家庭の太陽光発電との連携(太陽光発電で得られた電力をリーフの電池に蓄えて家庭に給電することで、既存の電力網からの電力を節約できる)…という以上3点がメリットとしている。

リーフのリチウムイオン電池は平均的家庭の約2日間分の電力を持っており、家庭電源に接続した場合には6kWの出力が得られるため、主要な家電製品を一斉に稼動させることが可能だ。家庭の分電盤と接続される新開発のパワーコントロールシステムを使用すれば、給電・充電の両方向に対応できる。

↑製品化される際には現段階よりコンパクトになる予定。

また現在発売中のリーフは、このパワーコントロールシステム用の新たなソフトウエアをインストールするだけで、適応できる。今回公開されたパワーコントロールシステムは、まだ試作品の段階で外観も今後変更されるが、今年度中には発売予定としている。システムの概要は定格6kW、電圧200V。急速充電ケーブルを使用し、急速充電または給電を可能にしている。急速充電コネクターや通信プロトコルは、CHAdeMOに準拠している。

なお、すでに三菱自動車がi-MiEVのリチウムイオン電池から一般家庭への給電できる試作給電ユニットを公開しているが、今後は規格の共通化など煮詰めた後、今年中に製品化されることになる。日産によれば、こうしたパワーコントロールシステムは日産や三菱といった自動車メーカーに限らず、電源メーカーや電池メーカーなどからも発売される可能性が高いという。

今回の公開デモンストレーションは、横浜市・新高島駅の近く、つまり日産グローバル本社からも至近距離にある積水ハウスのスマートネットワークプロジェクト実証実験住宅「観環居」のガレージで行われた。観環居(かんかんきょ)は、環境負荷の小さく快適な木造ベース(グリーンファースト・コンセプト)の次世代住宅で、この家屋一体型のガレージは、EV用のガレージを前提としたものだ。もちろん屋根には太陽光発電パネルが採用されている。

↑「観環居」は日産本社からもごく近いロケーションだ。

デモンストレーションではガレージの入り口にパワーコントロールシステムが置かれているが、製品化される段階ではより小型化される予定だ。

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