2016年8月14日、日産・インフィニティは2016年9月29日から開催されるパリ・モーターショーで、実用エンジンとして新開発された世界初の可変圧縮比エンジン「VC-T(バリアブル・コンプレッション・ターボ」を公開すると発表した。
日産は20年以上前から、内燃エンジンの革新技術として可変圧縮比エンジンを研究していたが、ようやく市販エンジンとして実現することになった。
可変圧縮比エンジンは、ピストン位置を運転状態に合わせて変化させることで、圧縮比14.0~8.0まで変化する。ターボによる高過給圧時には圧縮比は8.0を使用し、燃費を追求する低負荷時には圧縮比は14.0まで上げられるというものだ。
構造的には、通常のクランクに固定されるコネクテッドロッドの大端部に「マルチリンク」と呼ばれるリンクが結合されている。このマルチリンクを位置決めするコントロールシャフトがあり、コントロールシャフトはハーモニックドライブ機構によりマルチリンクの位置を変化させる、つまりピストンの上死点を変化させる仕組みだ。
ハーモニックドライブは、楕円と真円の差動を利用した波動減速機だ。小型軽量な減速システムで、しかも高精度な位置決めができる特徴を持っている。このハーモニックドライブをモーターで駆動することで、コントロールシャフトの位置を精密に制御できる。
可変圧縮比エンジンで最も重要なポイントとなるコンロッドのリンク機構がイラストで明らかになり、リンク機構の位置決めは工業ロボットなどで多投されている小型軽量で精度の高いハーモニックドライブを採用していることもはっきりした。
しかしより詳細な発表はパリ・モーターショーを待ちたい。