【ABB FIAフォーミュラEシーズン11】ラスト2戦 日産はタイトルが取れるか「第15戦イギリス・ロンドン結果レポート」


フォーミュラEシーズン11もいよいよラストレース。土曜日に第15戦、日曜日に第16戦がイギリス・ロンドンのエクセル展示会センターで開催される。

例年どおり2.080kmのコースを室内と建物周囲の一般道路を使ったユニークなレイアウトの会場だ。またブリティッシュ・ウエザーと言われるように雨が降ることも多く、外はウエット、室内はドライという、世界でもこのフォーミュラEだけのコンディションになるケースもあるが、第15戦はドライ路面の状態で行なわれた。

ドライバーズチャンピオンシップは第14戦のドイツ・ベルリンでニッサンのオリバー・ローランドがすでにチャンピオンを決めており、このロンドンでのダブルヘッダーはチームランキングとマニファチャラーランキングの争いに焦点が絞られる。

第14戦終了時点でチームランキングはトップがタグホイヤーポルシェで228点、2位がニッサンで205点となっている。3位はDSペンスキーで168点と差があるため、ポルシェとニッサンの争いに絞られる。また、マニファクチャラーではポルシェが342点で、2位ニッサンが335点と僅かな差だ。ただ、ポルシェパワートレインは、タグホイヤーポルシェ、アンドレッティ、そしてクプラキロの6台のマシンが採用し、ニッサンはニッサンとネオムマクラーレンの4台と台数では不利な状況でもある。

それとジャガーのニック・キャシディが今季限りでチームを離れることがリリースされた。ただ、フォーミュラEには残ると発言しており、チームの移籍ということになる。キャリアとしてはエンビジョン・チームで好成績を残し、ジャガーのワークスチーム入りをし、2シーズンを戦っている。通算9勝をあげているが、チームメイトのミッチ・エバンスとは良いライバルであり、ダブル・エースドライバーという体制でもあった。

ニッサンのノーマン・ナトの成績は振るわず、また日本にも馴染みのあるニッサンの可能性もなくはない。ローランドとキャシディというダブルエース体制は無敵かもしれない。また、マクラーレンも今季限りで撤退をするため、新たなチームの参画もあるはずだ。特に20歳の若さで大活躍しているテイラー・バーナードはお宝の存在なわけで、各チームの食指も動くと想像できる。

予選

さて、第15戦のグループA予選は、そのキャシディがトップで、次いでギュンター、デ・フリース、ティクタムの4名がデュエルスに進出。グループBではランキング2位のヴェアラインがトップで、エバンス、ヒューズ、ヴァンドーンの4台となった。

ニッサン勢では、ローランドは6位でナトもいない。またマクラーレンのバーナードも8位、バードも下位に沈み、ニッサンPTは1台もデュエルスに進出できなかった。一方でポルシェはティクタムとヴェアラインの2名が進出し、またジャガーのキャシディとエバンスが揃って上位に入った。

デュエルスの注目はキャシディとティクタムの戦いで、急に調子を上げてきたジャガーと、シーズン中盤から常に上位争いができるようになったクプラキロのティクタムとの戦いで、そのティクタムがキャシディに勝利をしている。またヴェアラインとヴァンドーンという元F1ドライバーかつ、フォーミュラEのシリーズチャンピオン経験者同士の戦いはシーズン2位ヴェアラインが勝利した。

デュエルスの決勝はデ・フリースとエバンスになり、エバンスが第13戦のベルリンに続いてポールポジションを獲得した。

決勝

さて決勝では、2.080kmのコースを37周で争うが、シリーズで最もコース幅が狭くタイトなコースレイアウトになっているため、オーバーテイクが難しいコースと言われている。だからアタックモードを使ってもオーバーテイクできるポイントは限られているため、トラックポジションが重要だという。

そのせいなのか、オープニングラップでは多重クラッシュが発生し、すぐさまSCが入る展開で始まった。4周目に再開されたが、今度は一転して何も起こらない静かな展開となったのだ。ラップタイムも1分14秒付近で、予選タイムより6秒も遅いタイムで周回を重ねていた。

そして14周目になっても何も起こらないし、誰もアタックモードを使わない、ただトレインで走行し周回数を消化する展開が続いたのだ。ある意味、ここがフォーミュラEの抱えるエンターテイメントとしての課題と言えるだろう。

16周目になるとピットブーストが使えるようになり、5番手からスタートしたキャシディは早めのピットブーストを行なった。こうしたアンダーカット作戦を取るチームは少なく、ナト、ヴァンドーン、ブエミ、ヴェルニューが入るものの、チームメイトのエバンスもピットには入らない。一方トラックでは、アタックモードを各マシンが使い始め、順位は混沌とし、落ち着くまで展開が見えない状況に変わった。

キャシディはアタックモードもうまく使い、ピットブーストを済ませた中ではトップを走行している。ときより2位のデ・フリースと順位を入れ替えながら実質のトップ争いをしていることになる。

レースは残り3周となったところで、キャシディ、デ・フリース、ヴェアライン、ヴァンドーン、デニス、ヴェルニューという順になり、キャシディ以外の6位までが、過去シリーズチャンピオンに輝いたドライバーが上位を占めたのだ。

そして最終ラップもキャシディが後続に2秒ほどのギャップを築き、余裕を持ってチェッカーを受けた。キャシディは今季通算3勝目で前戦の第14戦に続いての連勝となった。またジャガーは3連勝であり、終盤にきて5戦で4勝というかつての強さを取り戻していたのだ。

次戦は翌日の最終戦。チームランキングとマニファクチャラーも決まっていないので、この最終戦で決まることになる。

Teamランキング

Team第14戦終了時点第15戦終了時点
タグホイヤーポルシェ228244
ニッサン205207
DS ペンスキー168191
ジャガーTCS165178
ネオムマクラーレン143143
マヒンドラ142168
アンドレッティ125129
マセラティ90102
エンビジョン8692
クプラキロ8282
ローラヤマハアプト3030

マニファクチャラーズランキング 第14戦終了時点

ポルシェ342ポルシェ、アンドレッティ、クプラキロ
ニッサン335マクラーレン、ニッサン
ジャガー279ジャガー、エンビジョン
ステランティス242マセラティ、DS
マヒンドラ169マヒンドラ
ローラ47ローラヤマハ

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