日産自動車、三菱自動車は2022年6月30日、MCリテールエナジー、五島市民電力、SBエナジー、シェルジャパンなど6社とともに、経済産業省が公募し、一般社団法人環境共創イニシアチブから「令和4年度ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業」として採択された「ダイナミックプライシングの実用化に向けたEV・PHEV向け充電調整実証事業」を、採択日の6月9日から2023年2月17日まで実施すると発表した。
ダイナミックプライシングとは変動価格制度の意味だ。将来のBEV、PHEVなどバッテリー容量が大きな電動車の大幅な普及にともない、充電時間帯の集中による電力系統への負荷増大が懸念されている。
今回の実証では、電力負荷の低減や平準化を目的とし、電力需給状況に応じて電気料金が変動させるダイナミックプライシングにより、より効率的な充電時間のシフトの効果を検証することになる。
ダイナミックプライシングの導入が成功すれば、電動車を活用した効率的な電力システムの構築、再生可能エネルギーの拡大、調整力の確保、系統増強を回避することによる社会的コストの低減などにつなげることが可能になるのだ。
今回の実証では、MCリテールエナジーをリーダーとするコンソーシアムが2020年度から実施してきた実証に引き続き、協力事業者と共同でさらなるダイナミックプライシングにおける充電行動の変化の分析を行なう。
また、実証の対象エリアを2021年度の東京電力、東北電力、中部電力、関西電力、四国電力各エリアに、新たに九州電力エリアを加えて拡大するほか、調整力活用を目指した放電制御やアプリケーションサービスを活用した充電遠隔制御によるユーザビリティ向上など、本実証の事業化に向けたサービス展開の検証を実施する予定だ。
この実証事業では、充電対象日の前日に、日本卸電力取引所(JEPX)の電力量単価で最も安い時間帯の4時間をEV・PHEVへの充電無料時間として、実証に協力するユーザー(モニター)にメールまたは「EV充電シフト実証」、LINE公式アカウントから通知。
参加モニターは通知された対象時間帯にEV・PHEVに充電することで、充電電力量料金が無料となる。また、一部の車両を対象に、アプリによる遠隔制御サービス提供の仕組み作り検討や、新たに需給調整市場に連動し放電してもらうことで、ユーザーはPayPayポイントの付与を実施し、将来的にEVを活用した調整力の仮想取引の実現性を検証する。
なお、対象エリアは、東京電力・東北電力・中部電力・関西電力・四国電力・九州電力の管轄エリアとなっている。