2013年6月21日、日産は2014年のルマン24時間レースに出場を目指し開発した、世界最速の電力駆動レーシングカー「Nissan ZEOD RC」を公開した。ルマン24時間レースにEVレーシングカーで参戦する計画は、NISMOグローバル新社屋の発表時にC.ゴーンCEOから発表されていたが、早くもそのEVレーシングカーのベールが剥がされた。
6月21日にルマン24時間レースが開催されているサルテサーキットのパブリックエリアで公開された「ZEOD RC (Zero Emission On Demand Racing Car)」は、2014年のルマン24時間のガレージ56(近未来レーシングカー)の枠でレースデビューを果たす。将来的なLMP1(ルマン・プロトタイプ1)クラス参戦に向けて実証的な技術検討のプログラムの一環として、主催者のACOの公認の下、日産の新たなレース用電動パワートレーン技術のテストという位置付けとされる。
日産/ニスモが運営する「Nissan ZEOD RC」の開発は、新たに日産のダイレクター・オブ・モータースポーツ・イノベーションに就任したベン・ボウルビーが指揮する。ボウルビーは2012年の日産デルタウィング・プログラムを統率したその人である。
「Nissan ZEOD RC」は来年のルマン24時間レースに参戦する予定で、日産は6月21日にサルテサーキットのパブリックスペースに「 ZEOD RC」を展示した。今後もその開発過程をYouTubeの「NISMO TVチャンネル」を通じて継続的に情報提供を行うという。
日産の副社長のアンディ・パーマーは次のように語る。「日産はゼロエミッション・モビリティのグローバルリーダーです。世界で最も歴史があり、最もタフで、最も有名な耐久レースにおいて、日産がこれまでバッテリー技術の開発で培ったことを皆さんにお見せできる機会を心待ちにしています。ガレージ56の枠での出場は、日産が将来的にルマン24時間レースのLMP1クラスに復帰を目指す上で、日産の技術力を今後どのように活用できるのかということを評価するための貴重な技術開発の機会となります。日産はレースの現場で非常に多くのデータを得ることができるでしょう」
「Nissan ZEOD RC」の設計者であるベン・ボウルビーは、このクルマの開発が将来のレースカーの「電気化」における重要な一歩となると確信していると語っている。
「日産はこれまで電気自動車の技術開発において学んできたことを、新しいレーシングカーの開発に生かしたいと考えています。『ZEOD RC』開発チームは、パッケージングと空力性能の開発にも注力してきました。これらは極めて高い走行性能を実現するだけでなく、高いエネルギー効率をも実現します」
「 ZEOD RC」は、リーフのバッテリー技術(リチウムエナジージャパン製)を活用し、最高速300km/hに達するパフォーマンスを実現する計画だ。また日産は「Nissan ZEOD RC」専用のタイヤを製作するため、ミシュランとパートナーシップを結ぶ予定。そして「Nissan ZEOD RC」は、今年の夏の終わりにテスト走行を開始する予定だという。