【日産】セレナS-ハイブリッド試乗記 燃費向上のために尽くすあらゆるアイディア満載

マニアック評価vol150
セレナが4代目としてフルモデルチェンジをしたのが2010年の11月。そしてシンプル&スマートなSハイブリッドを搭載し、マイナーチェンジを行ったのが2012年8月だった。この約2年の間に変更された大きなポイントがマイルドハイブリッド・システムを搭載したこと。今回改めてSハイブリッドを試乗し、その乗り心地や実際の燃費、使い勝手などを再チェックしてみた。

このSハイブリッドのシステムは、いわゆるフルハイブリッドとはことなり、オルタネーターに相当するECOモーターによって駆動をアシストするタイプで、その出力も小さく恩恵が際立って感じるという類のものではない。しかし、必ず省燃費へと貢献しているシステムだけに、オーナーにはジワリとメリットが得られていることになる。

このSハイブリッドの詳細はコチラを参照してほしい。

ここでは簡単にその恩恵について振り返ると、20km/L以上になったときにECOモーターによる駆動アシストが稼動し、JC08モードで運転した場合、4回の駆動アシストが行われている。このとき、アシストなしと同等の速度で比較すると、アシストの分だけスロットル開度を絞ることができるため、燃費改善に役立っているというわけだ。その効果は約10%ということだ。ちなみに、ECOモーターがアシストする出力は1.8Kwで馬力に換算すると、約2.44psなので、体感することは難しいというわけ。

さて実際の走行は、スタートの段階でスムース発進アシストという機能が働く(全車標準装備)。これはECOモードのスイッチを入れておくと滑らかに発進し、無駄な燃料消費をさせないもので、アクセルの状態、CVTのレスポンス、変速スケジュールなどが自動で制御され、もっとも省燃費と思われるマップで運転される。

そしてメーターパネルではエコドライブナビゲーター機能でインジケーターランプの色でアクセルの踏み方をアドバイスしてくれる(全車標準装備)。また、瞬間燃費と平均燃費を同時に表示し、状況に応じたエコ運転の良し悪しを把握することができる。

また、カーウイングスナビゲーションシステムを装着すると、地図情報からコーナー手前での最適なエンジンブレーキや出力のコントロールで安定したコーナリングをサポートし、燃料カットも同時に行うこともできる。このあたりも実際の走行でエンジンコントロールが働いているという実感はなく、結果的に燃費がいい、ということでしか判断はつかない。

右側に2個の鉛バッテリーを搭載している。エンジンは2.0LのNA

交差点などで停止すればアイドリングストップが働く。今回のMCでサブバッテリーを搭載したこと電池容量に余裕ができ、これまでアイドリングストップしなかったような状況でも機能が働くようになり、燃費に貢献している。従来のECOモーターはアイドリングストップ用のモーターで出力は1.0Kwだったが、今回1.8Kwにアップされ、発電力も150Aから200Aに向上している。そして、鉛バッテリーを2個搭載することで蓄電量を増やし、減速時には運動エネルギーを利用して発電し、バッテリーへ充電。停止時には素早くアイドルストップし、再始動はECOモーターがベルトを介してエンジンを駆動する。そして加速時には蓄電してある余剰電力で駆動アシストをするという流れだ。

この時どの程度燃料を節約できたのか?というのがメーター内に表示され、アイドリングストップ時間と節約した燃料が表示されている。走行状況にもよるが、横浜から箱根エリアまで東名高速を使って約153km走り、その時のアイドルストップ時間がわずか4分。信号待ちが極端に少ないルートを選択してしまったためだが、節約量は43mlだった。けなげな節約だったが、ここから計算すると1L節約するには・・・

シフトレバー横に「スポーツ」モードのスイッチがあり、CVTはレスポンス良く反応する

また、セレナにはCVTのアダプティブコントロールシステム(ASC)が全車標準装備され、道路勾配、横方向のGなどから変速スケジュールを演算しドライバビリティを損なわないようにしている。箱根のワインディングを走る際も、反応が鈍くもたつくフィールはない。もっともECOモードを解除し、シフトレバー横のスポーツモードスイッチをオンにすると、かなりのレベルでスポーティ走行が可能になるので、オーナーは使い分けをすればよい。

Aピラーは大きな三角窓があけられ、視界確保している
100km/h付近でのエンジン回転数は1750rpm前後

一方高速道路では全車標準装備されるASCD(オートスピードコントロール)で、車速を一定速にコントロールされるので、エコドライブに貢献する。 こうして達成されるJC08モード燃費は15.2km/Lで、今回の試乗では箱根の往復、ワインディング、一般道、そして各状況でさまざまなモードテストをした結果、284.8km走行で25.3Lの消費、平均11.26km/Lだった。エンジン全開加速やスポーツモードでのワインディング走行などを考慮すると、エコドライブをそれほど意識しなくとも12km/Lから13km/L平均は走りそうな気がした。

↑↑  運転席の乗降性はよいが、長距離運転では腰に負担がかかる

サードシートの跳ね上げは片手でも可能。このあたりの使い勝手は良く研究し尽くしている

 

日産 セレナ 主要諸元表

日産 セレナ 公式サイト

ページのトップに戻る