【日産】11年ぶりフルチェンジ! 新型NV350キャラバンで打倒ハイエース

新型NV350キャラバンの画像
バン・プレミアムGX ロングボディ/ 標準ルーフ/5人乗り/低床

2012年6月15日、日産はキャラバンを11年ぶりにフルモデルチェンジし、「NV350キャラバン」として発売を開始した。キャラバンは1973年に登場して以来、今回のニューモデルで5代目(E26型)となるが、このカテゴリーはトヨタと日産の2社による寡占市場で、年間6万台という安定したマーケットだ。しかし近年はトヨタ・ハイエースが80%のシェアを占め、一人勝ちの状態になっている。90年代まではキャラバンは25%程度のシェアであったが従来型のE25型のモデルライフ中期には20%を割り込む状態に陥っていた。したがって、新型NV350キャラバンは、ハイエースに一矢を報いることが使命である。なおNVの名称は、新世代の日産商用車の共通ブランド名で、当然ながらNVシリーズは世界80カ国以上の市場を狙うワールドワイドな展開を想定している。

新型NV350キャラバンの画像新型NV350キャラバンの画像

なおNV350キャラバンは、「平成27年度燃費基準+10%低減レベル」、「平成27年度燃費基準+5%低減レベル」、「平成27年度燃費基準」のいずれかを達成。ディーゼルAT車に加え、ガソリン「QR20DE」エンジン全車が「平成21年基準排出ガス50%低減レベル」認定と合わせ、「エコカー減税)による減税新型となり、NV350キャラバンは、バン全車がエコカー補助金の対象となる。

NV350キャラバンの開発コンセプトは、「使い勝手をとことん突き詰めて進化した新世代の本格商用バン」である。つまり次世代のビジネスバンユーザーのために、商用車の基本性能をさらに向上させ、さらに仕事だけでなく、趣味やレジャーなど幅広く多目的に使える新世代の本格商用バンとして開発されている。

NV350キャラバンの特徴は、クラストップの燃費、堂々とした存在感のあるデザイン、クラストップの広くて使い勝手の良い荷室スペース、従来の商用車にはない先進装備といった点だ。

新型NV350キャラバンのパッケージング画像

新型NV350キャラバンの荷室寸法画像

搭載するエンジンは、ガソリンが2.0LのQR20DE型、2.5LのQR25DE型、新開発のディーゼル、YD25DDTi型の3種類で、ワイドレシオにした5速AT、または5速MTが設定されている。その結果、QR20DE型/5速ATの組み合わせで、9.9km/L(JC08モード)、YD25DDTi/5ATでは12.2km/Lと従来型はもちろん、ハイエースを大幅に上回る燃費を実現している。

新型NV350キャラバンのエンジン画像新型NV350キャラバンの画像

QR型シリーズは従来型を踏襲しながら、オルタネーター回生制御の採用やカムのチェーンドライブ部のフリクションを低減。さらにアイドル回転数の低減を行い燃費を向上としている。

新開発の2.5L,クリーンディーゼルのYD25DDTi型の画像
新開発の2.5L,クリーンディーゼルのYD25DDTi型

新開発のYD25DDTi型ディーゼル(7月13日から発売)は、NV350キャラバンの主力エンジンのため、新技術を投入し、ポスト新長期規制(商用車カテゴリー)をクリアしたクリーンディーゼルである。

開発コンセプトは、環境性能と走りの両立で、従来型に比べ大幅に性能を高めている。性能面では、3.0Lエンジンを凌駕するトルクを発生し、走り出しのスムーズさと加速性能を向上、さらに騒音・振動レベルをクラストップレベルに抑え込むことだ。

新開発の2.5L,クリーンディーゼルのYD25DDTi型の画像

新開発の2.5L,クリーンディーゼルのYD25DDTi型の画像

このエンジンの諸元は図の通りだが2000barのコモンレール/ピエゾ・インジェクターシステムを採用。圧縮比15.0、電子制御の可変ジオメトリー(VG)ターボとしている。排気量2.5Lでトルクは356Nm/1400rpm?2000rpmで、5ATとの組み合わせを考慮してやや抑え気味にしてある。ポスト新長期規制をクリアするためバイパス機能付きクールドEGR、リーンNOXトラップ触媒(商用車初)、大容量のDPFを装備する。バイパス機能付きクールドEGRは、燃焼温度を低減させる役割を担うが、始動直後は冷却しない排ガスを還流させるバイパス回路を備えている。

なお吸気ポートはパラレルポートで式で、ヘリカル流の生成とバルブ周りの空冷を考慮した設計である。性能としては、発進加速、追い越し加速で従来型はもちろんライバルを凌駕するレスポンスのよい加速となっている。これはエンジン性能以外に5速ATを採用したメリットで、高速走行ではエンジン回転を低減できるため、騒音レベルも向上している。

新型NV350キャラバンの画像新型NV350キャラバンの画像

新型NV350キャラバンの画像

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エクステリア・デザインは、クリーンでモダン、安定感、シャープで存在感、個性的なフロントデザインといったキーワードでまとめられている。ヘッドライトはバイキセノン+LEDがオプション設定されている。またパッケージングでは、従来型はショートノーズを備えていたが、このため荷室長がわずかに短くなっていたため、今回は完全なキャブオーバータイプで、最大荷室長3050mm(従来型よりプラス250mm)を実現している。このため、フロントオーバーハングが140mm短縮され、ホイールベースが140mm延長されているのだ。

新型NV350キャラバンの画像

新型NV350キャラバンの画像

新型NV350キャラバンの画像

インテリアは、モダンで質感のある、すっきりしたデザインとしている。インスツルメントパネルは、水平基調で、上下2段のブラックとグレーという構成に、また要所にはシルバーやメッキ装飾を採用している。

ラゲッジルームは、自在にアレンジできるシート、棚を設置しやすい上面が平らなホイールハウス、バン仕様には荷物用の棚を設置しやすいラゲッジユーティリティナットも装備している。

新型NV350キャラバンの画像新型NV350キャラバンの画像

新型NV350キャラバンの画像新型NV350キャラバンの画像

↑ワゴンGX                    ↑マルチセンターコンソール

サスペンションは、従来通り、フロントはトーションバースプリングを使用したダブルウィッシュボーン、リヤはリーフスプリングによるリジッド・アクスル式。フロントは大径スタビライザーを採用し、ブッシュ、サスペンション・ジオメトリーも改良されている。リヤはサスペンション・ストロークを増大させ、リーフスプリングのフリクションを低減し、乗り心地を向上させている。

新型NV350キャラバンの画像

装備では、バン・プレミアムGX、ワゴンGXには商用車初のインテリジェントキー、プッシュ式エンジンスターターを標準装備。またバン・プレミアムGX、ワゴン全車に標準されるのがマルチセンターコンソールで、ノートPCの操作ができる広さがあり、A4型のノートPCを収納することも可能だ。また、2列目シート側にカップホルダーとテーブルが付いているので、食事をする時に便利といった装備になる。この他に弁当を置く場所としても便利なアームレストは、ドア側アームレストと高さが揃っているので、両肘をついてゆっくり休むこともできる。またAT車は足踏み式パーキングブレーキを標準装備。バン・プレミアムGX、ワゴンGXにはファインビジョンメーターが装備される。またメーターの間には車両情報カラーディスプレイ、またはメーカーオプションのバックビューモニターが設置されている。

新型NV350キャラバンの画像新型NV350キャラバンの画像 ←荷室に標準装備されるナット

NV350キャラバンの車種展開は、ロングボディのバン(QR20DE、YD25DDTi、YD25DDTiには4WDも設定)とワゴン(QR25DE型を搭載)、7月13日に登場する1ナンバーのスーパーロングボディ/ハイルーフにも同じくバンとワゴンの設定があり、エンジンラインアップも同じである。

また標準モデル以外に、オーテック仕様の独自のグリルやバンパー、内装が装備されるライダー・バージョン、福祉車両のライフケアビークル仕様としてアンシャンテ送迎タイプ、車椅子をリヤから搭載するチェアキャブ・タイプなども設定されている。

NV350_主要諸元1 NV350_主要諸元2 NV350_主要諸元3

新型NV350キャラバン価格表の画像

日産公式サイト

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