日産はジュネーブモーターショーで「ハイクロスコンセプト」と名付けられたクロスオーバーカーを披露した。 ハイクロスは、ジューク、キャシュカイ(デュアリス)、ムラーノという現在の日産のクロスオーバーのラインアップを拡充することで、日産の同市場におけるリーダーシップを発展、強化することを目的としている。日本で作り出された「ハイクロスコンセプト」は、コンパクトながら驚くほど広く、エレガントなデザインでありながら機能的な役割を持っており、日産ブランドを体現したスマートなクルマといえる。
ハイクロスコンセプトのスマートには二つの意味がある。そのひとつは、エレガントな外観に関わらず、3列シート、7人乗りという効率の良い室内空間を確保していること。もうひとつは、ハイブリッド・エンジンだ。日産が開発したコンパクトなリチウムイオン電池を搭載したモーターと、2.0Lの直噴ガソリン・エンジンを組み合わせることで、2.5Lエンジン並みのパフォーマンスを実現しながら、燃費と排出ガスはよりコンパクトな車両と同等レベルに抑えている。
日産副社長のアンディ・パーマーは、「日産は、ムラーノでクロスオーバーセグメントを作り出し、キャシュカイ(=デュアリス)やジュークでこのセグメントを拡大してきました。ハイクロスコンセプトは、日産が現在の座に満足することなく、新たなアイデアを探求することでクロスオーバーにおけるリーダーシップをさらに強固なものとする表れです」と語っている。
ハイクロスコンセプトのハイブリッド・パワートレーンは、FF駆動のために開発された新しい技術を、4WD用に変更したものだ。この新しいシステムは、手頃な価格とパッケージングを実現するために、革新的な手法を取り入れている。それは、新世代エクストロニック CVT(無段変速機)と組み合わせた1モーター2クラッチ方式を採用したことだ。
この新世代エクストロニック CVTは、従来のCVTと比べると10%の燃費改善を実現。シャフト径の小さいプーリーと新しいチェーン式ベルトを使うことでフリクションと大きな変速比幅を実現しさらなる効率化を目指している。
このハイブリッドパワートレインは、日産リーフ用に開発されたバッテリー技術を活用し、高出力かつ、短時間で充電可能なコンパクトなリチウムイオン電池と高次元のモーターコントロール技術を組み合わせている。必要なときに加速をサポートし、ガソリン・エンジンの小型化とともに、最適な燃費と排出ガス性能を実現するというものだ。
都市部での運転では、モーターとリチウムイオン電池を多用することでエンジン使用の頻度を最小限にし、減速時にはエネルギーを効率的に回生するユニットだ。
ハイクロスのホイールベースは2780mm×全長4660mm×全幅1850mm×全高1670mmというボディサイズで、Cセグメントに位置している。
エクステリアは、日産のデザイン・アイデンティティに、新しい要素を組み合わせたもので、21インチの軽合金ホイールが特徴となっている。フロントはスタイリッシュな新型ヘッドライトにより、特徴的なV字型グリルデザインとしている。
新しいデザイン・アイデンティティは、特にエンジンフードからDピラーへと通じる際立ったキャラクターラインで表現され、リヤはスタイリッシュなリヤ・コンビネーションランプによってフロントデザインと同様に特徴的なものになっている。7人乗りのキャビン内部は、新しいT字型デザインのダッシュボードが特徴的である。
なお、このハイクロスコンセプトは、コンセプトの名が付けられているものの、量産仕様に限りなく近い完成度で、発売時期はそれほど遠くないと予想できる。
日産は、ジュネーブショでは、この他にBセグメントの「インビテーション」、インフィニティ「エマージュ」を初披露している。インビテーション、インフィニティ・エマージに関してはジュネーブショー・日産第1報をご覧頂きたい。
追加情報として、エマージのレンジエクステンダー・スポーツカーの動力性能やスペックが公表されている。
インフィニティ・エマージは、ブランド・フィロソフィを体現する究極のモデルとされ、全長4.464mのインフィニティ・エマージ2人乗りで、ツインモーター、リチウムイオンバッテリーパック、4つのインバーター、レンジエクステンダー付きの3気筒エンジンを搭載している。
出力402bhp(300kW)のツインモーター搭載スポーツEVは、4秒で停止状態から時速60マイル(約96km/h)まで加速し、30秒で130マイル(約209km/h)/hへ加速。また、30マイル(約48km )程度の距離までばゼロエミッションの都市部向け移動手段としても使うことができる。レンジエクステンダー付きのガソリンエンジンがツインモーターと連動した場合は、CO2排出量はわずか55g/kmだ。
↑インフィニティ・エマージE