アウトランダーPHEVが2024年10月31日にビッグマイナーチェンジを行い、バッテリー容量を変更しEV走行距離の延伸など、走行性能のアップデート、質感の向上があった。
MCのポイントはまず質感の向上が挙げられる。上級セグメントやプレミアムモデルと比較するユーザーが多いことから、そうした改良点があるとしたわけだ。さらに欧州市場への再投入も視野に入れることで、より操縦性、PHEV性能、EV航続距離なども見直すことになった。
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まずはEV走行に関し、バッテリーが変更されている。これは容量アップだけでなくバッテリーそのものが変更されている。バッテリーセルを角形バッテリーへ変更し、冷却方式を変更したことでより高出力なバッテリーとなった。具体的には20.0kWから22.7kWへアップし冷却効果により急速充電時間も短縮できている。
そのため緩加速でアクセル開度50%程度であればEV走行するようになっている。そうしたことを踏まえ、高速道路と一般道、そしてワインディングで試乗してみた。
まず、全体的に静粛性が高くゆったりとした走行フィールが高級感を作り出していた。サスペンションはオーソドックスなタイプで連続可変式ではないが、十分高い乗り心地の良さがあった。そしてEVの緩加速を試してみるとずっとEVで走行している印象を受けた。
アクセルを踏み込みフル加速をさせるとエンジンは始動するものの、もともとの静粛性が高いため、エンジンの存在はそれほど気にならない。それどころか、力強い加速感に驚き、SUVではあるがスポーティというレベルを超え、スポーツカーレベルのレスポンスをするのだ。そのレスポンスの良さはやはりモーターの力であり、うまい具合にアシストしているように感じる。
これがワインディングへ入ると顕著だ。ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツでパワーユニットのレスポンスが変化する。ここはコストに反映するがぜひ電子制御ダンパーが欲しいと感じた部分だが、スポーツモードで走ると、上り坂を全く感じることなく加速し続ける。コーナーではS-AWCが働き、旋回ヨーモーメントをセンシングしてブレーキを摘んだり、前後トルク配分を変更したりと、さまざまなデータからの姿勢制御が働く。
具体的に何が働いているかまでは感じられないものの、制御によって姿勢が維持、あるいは変化できていることは感じることができる。特徴的なのはスラローム的な動きをするとリヤの動きが顕著に伝わってくるところだ。これは機械式AWDではこうした動きはしないので、モーターだからこその動きと言える。
さて、このスポーツカーのようなアウトランダーPHEVは、上質感をテーマに改良を加えている。エクステリアもフロントグリルが変更され、アルミからスチールに変更している。材料置換の理由は、アルミ材では高速での剛性不足だという。このあたりも欧州市場、つまりアウトバーンを想定していることがわかる。
インテリアも高級車だと感じる要素がたくさんある。まずレザーシートはヒーターだけでなくベンチレーションを備え、マッサージ機能もある。見た目のダイヤモンドステッチも高級感を出している。ナビは12.3インチサイズのスマートフォン連携のオーディオディスプレイでタッチパネルも扱いやすい。室内ランプも全てLED化され、そしてペダルをアルミするなど細かな変更点もある。
このように見た目での上質感はきちんと伝わり、所有する満足度もある。また目に見えない操作系やダイナミック性能の感性的質感でも上質を感じさせる味付けとパワーがあり、こちらも満足度が高いのだ。さらにPHEVという現在の国内の電力事情を考えると最適解と言えるパワートレインであり、そのアップデートも綺麗に仕上がっているので、こちらも美点のひとつに数えられるのだ。
もうひとつ注目なのが専用オーディオの搭載だ。前型はBOSE社のオーディを搭載しており、十分いい音で聴けていたが、今回はヤマハ製のオーディが搭載された。アウトランダーPHEVのグレードは上からエグゼクティブパッケージ、P、G、Mグレードとあり、すべのグレードに標準装備される。
装備されるオーディオはGとMには「ダイナミックサウンド・ヤマハプレミアム」が装備され、上級モデルのPとGにはオプションで「ダイナミックサウンド・ヤマハアルティメイト」が装備され、トップグレードには標準装備される。
その音の聞き分けだが、オーディオの素人だが、その違いは明確に聞き分けられたのでお伝えしたい。最初に前型のBOSEを聴き、そこが基準になる。次にヤマハプレミアムを聴くと、全体に音質がクリアに聞こえ、ボーカルの存在も感じられるのだ。そしてヤマハアルティメイトを聴くと、さらにボーカルの存在が明確になり、目の前で自分のために歌ってくれていると感じるほどの違いがあるのだ。
その違いはまずプレミアムとアルティメイトではスピーカーの数が違う。8スピーカーと12スピーカー。そしてアルティメイトはダッシュボードに3つのスピーカーを搭載しているという違いがあった。またプレミアムとアルティメイトに使われるツイータとウーハーは、スピーカー自体が異なっている。
さらに車両も音を良くするためスピーカーを埋め込むドアパネル剛性をアップするなど、音の追求を車両本体も取り組んでいる点が凄い。さらに走行中の騒音変化にも自動対応しているので、いい音がどんな状況でも変わりなく聞こえてくるというわけ。
よくロードノイズが大きくなると、それに釣られてボリュームが上がるモデルもあるが、そうした「変化」にまったく気づくことなく良い音が連続的に聞こえているので、その先端技術を見せびらかさないこともアウトランダーPHEVの価値を引き上げていると言えるのだ。
乗って驚け。