三菱「eKクロスEV」試乗記 NMKVから生まれた兄弟が電気自動車をグッと身近に

三菱自動車の電気軽自動車「eKクロスEV」に試乗してきた。こちらは既報した日産「サクラ」と兄弟車だ。違いはエクステリア、インテリアデザインとインパネの表示方法などが異なるだけで、走行性能は同一のプラットフォーム、駆動システムを採用し同等としている。従って、静粛性の高さや195Nmの大トルクがもたらす駆動性能、運動性能は同一のものと考えていい。

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ダイナミックシールドでSUVテイストのデザインに

兄弟車というと最近ではbZ4Xとソルテラというトヨタとスバルの共同開発があり、GR86とBRZも同様だ。これらは細部のデザインは異なるもののエクステリア、インテリアは同じデザインを採用し、ダイナミック性能では走りの味付けをそれぞれが行ない、異なる乗り味になるという手法をとっている。同様にEVでもbZ4XのFWDとソルテラのAWDはトヨタとスバルの味付けになっており、乗り心地や操舵フィールがそれぞれの味になっている。

一方のこのeKクロスEVとサクラは見た目が全く異なり、逆にダイナミック性能が同じというトヨタ/スバル方式とは違う手法でプロダクトづくりをしている。この点について不思議に思われる方もいると思うのでお伝えしておくと、三菱と日産はご存じのようにアライアンス関係にあるが、軽自動車企画に関しては「NMKV」という三菱、日産の合弁会社が存在している。

これは2011年に創立した合弁会社で、近年ではデイズ、ルークス、ekワゴン、eKクロスシリーズが造られている。

「NMKV」の役割とは?

ではNMKVの役目は何か。これが共同開発やアラアインスと異なる点で、NMKV社にはそれぞれから社員が出向し、商品企画を検討している。その際に、両社でもっとも合理的で効率的な開発を目指すことが根底にあり、今回の軽サイズ規格のEV車に関してはNTC(日産テクニカルセンター)を中心とした日産の先進技術を含めた設計開発と三菱の水島工場の量産化開発を合わせてコントロールしているのがNMKVなのだ。

だから、大前提としてそれぞれの個性を大事にする以前に、軽自動車としてどうすべきかを論ずるのがNMKVであり、そのNMKVの考えを元にして最適解を出すというプロセスになっている。つまり開発するには予算と時間がかかり、それら全ての課題をNMKVが持つテーブル上で検討し、全てのプロセスにおいてNMKV内で合意したものを三菱、日産へ情報を渡すという流れなのだ。

そこには両社がコスト情報を持ち合うことができ、その数字情報をもとにビジネスとして成立するかを検討しているのだ。そして成立できると判断されたものが両社の開発責任者のもとへ情報が渡され、それぞれのブランド力を向上していくというスキームになっているわけだ。

したがって、ダイナミック性能は同一になり、デザインによってその違いを表現していく結果になっているわけだ。そのほか、基本的なパワーユニット、電池容量、サスペンション、シートアレンジなども共通である。

これが共同開発やアライアンス関係の中で進めようとすると、どうしても秘匿部分がお互いに出てきて壁ができる。それでもお互いが要求し合うという難しい開発になるが、合弁会社があることで、そうした苦労がなくなるという非常に重要な役目を持ったポジションにNMKVはいるわけだ。

ということでeKクロスEVは「サクラ」と同じであり、大きく異なるポイントとしてメーターパネルとセンターディスプレイが一体型になっているサクラに対し、それぞれが独立した液晶パネルを採用している点だ。ちなみにサイズに違いはなく7インチのメーターパネルと9インチのディスプレイだ。

また機能の見せ方の違いではeKクロスEVには「グリップコントロール」という項目があり、これは駆動輪がスリップしたときにVDCでタイヤを摘んでいる状況を液晶パネルに表示させている。VDCの制御、機能に違いはないが車両がどういう状況かをドライバーに伝える見せ方が違っているという一例だ。

販売方法では、三菱はサブスクリプションを含めた所有方法のバリエーションが豊富だ。三菱は通常販売、残価設定型クレジットの「スーパーマイカープラン」、そのプランに自動車保険や付帯サービスも含めた「ウルトラ・マイカープラン」といった一定期間サブスクリプションを用意し、ニーズに応じた所有方法が選択できる。

現在、国の補助金が55万円あり、東京都独自の補助金が45万円ある。さらに足立区でも10万円の補助金があり、装備が簡略化されたGグレードでは130万円を切る価格になる。上級グレードにメーカーオプション、ディーラーオプションを装備したPグレードでも226万円という価格になりEV車のネックだった価格面も相当な競争力をもった商品だとわかる。

だから、お住まいの自治区でのEV補助金次第で価格が大きく下がる可能性もあり、また自動車税に関しても東京都と愛知県は5年間免税であったり、環境性能割も非課税であったりと所有するのも登録車とは大きく優遇されている違いもあるのだ。

サクラは次世代のモビリティに求められる新しい価値創造に応えるべく取り組んでいるインテリジェントモビリティの中に位置付けていることに対し、eKクロスEVは既存のeKシリーズのラインアップに追加することでpower of choiceと位置付けていることは興味深い。

だが、いずれもEVの普及に対する役割は大きく、すでに両社で2万台ほどの受注を獲得しており大きなマーケットニーズであることがわかる。現行リーフの発売でEV普及期に入ったが、その後押しをする強力な商品になることは間違いなさそうだ。


The Mortor Weekly

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