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また、新規搭載となった8速ATがいい仕事をしていると感じる。MC前の6速ATから多段化されたため、ギヤ比がクロスになりつつ、低回転でのシフトプログラムが心地いい。無駄にエンジンが高回転側に回らないため、静粛性を保ちつつ、力強い低速トルクが味わえるのだ。
車内の広さでは昨今、キャビンスペースの拡大がエキサイトしており、さすがにデリカD:5は広大なスペースがあるとは言えないが、Cセグメントサイズのミニバンとしてはクラスレベルの広さはもちろんある。
そして今回新装備された電動のサイドステップは、高齢者や子供に限らず「便利」だった。単純にドアを開けるとスッとステップが自動で出てくるので、素直に踏み台として降りる。またドアを開けて乗り込む時も足を大きく上げることなく乗り込めるので、誰でもがその有効性を感じる新装備だと思う。
今回三菱が得意とするAWDが特に活躍する場面はなかったが、三菱は「AWC(all wheel control)といって常に4輪をコントロールする制御を組み込んでいる。
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デリカD:5のAWCは、FFをベースとしたもので、前輪のトルクを後輪に伝えるためのクラッチ(カップリング)を装備してトルクを配分している。そしてこのカップリング式では、エンジントルクを効率よく後輪にトルク移動できるのは、フロントタイヤが後輪より速い速度で回転している時だけに限られる。そのための、一般的には、そうした状況になるとアンダーステアとなるため、クラッチを切り100:0の駆動配分としてアンダーステアを解消している。
だが、三菱ではそうした考え方ではなく、こだわりとしてヨーレートセンサーからの情報をもとに後輪の駆動力をゼロにすることなく、四輪を制御するというのが特徴でありこだわりでもある。そのため、泥濘地に限らず、雨の高速道路やスポーツドライブなどでもその威力を感じることができるのだ。もちろん、FFを選択すれば前輪駆動で走行し、4WDを選択すれば、雪道などの滑りやすい路面で絶大な安心感が得られるのは言うまでもない。
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ミニバンなのにSUVレベルの走破力を持つデリカD:5は、ライバル不在という魅力もある。だから根強いファンは多いし、この先もユニークなデザインと性能を持ち合わせるデリカD:5の人気は継続していくのだろう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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