三菱、電気自動車をパワープラントのリソースとして活用するV2G実証事業に参加

三菱は2018年6月6日、多数の電気自動車(以下「EV/PHEV」)の蓄電池機能を活用し、EV/PHEVと電力系統の間で双方向の電力需給調整を行なうV2G(Vehicle to Grid)の構築と、それを通じたビジネスモデルの実現を目的とした本実証を開始したと発表した。

三菱 V2G(Vehicle to Grid)実証事業を開始
実証サイトのイメージ(一例)

これは東京電力ホールディングス株式会社、東京電力エナジーパートナー株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社日立システムズパワーサービス、静岡ガス株式会社、株式会社日立ソリューションズの6社とともに行なわれる事業。経済産業省が一般社団法人環境共創イニシアチブを通じて公募する実証事業「平成30年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金(V2Gアグリゲーター事業)」に申請し、採択されたものだ。

わが国では、温室効果ガス削減対策として、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)の導入拡大が進められている。しかしながら、太陽光発電などの再エネが急速に導入された結果、再エネによる出力変動や余剰電力の発生といった、電力系統の安定運用に影響を及ぼす様々な課題が顕在化しつつあるのも事実だ。

電力系統の安定化のためには、火力発電などによる調整力が必要だが、火力発電設備を保有・維持するためには高いコストが発生する。そこで継続的な再エネ導入と、電力系統安定化を低コストで両立させる新たな社会的な仕組みとして進められているのが、分散するエネルギーリソースを統合的に制御し、あたかも一つの発電設備のように機能する仮想発電所、バーチャルパワープラント(以下VPP)だ。

今後急速な普及が見込まれるEV/PHEVの蓄電池は、VPPのリソースとして有効活用することが大きく期待されている。しかし、多数のEV/PHEVを使ったV2G技術の確立、制度の整備、EV/PHEVのモビリティニーズとの両立などには、解決すべき課題も多く残されている。

そうした現状を踏まえ、7社は実証事業を通じ、将来にわたる継続的な再エネ導入と電力系統安定化の両立を目的として、V2G事業モデルの確立に取り組んでいく。2018年度は、そのための実証環境構築と、V2Gにより実現できる効果の検証が実施される。

三菱 V2G(Vehicle to Grid)実証事業を開始 実証試験用システムの範囲
2018年度に構築する実証試驗用システムの範囲

V2Gアグリゲーター事業は、EV/PHEVの蓄電池を有効活用することによって、再エネの導入を促進。そして、それをエネルギー・環境問題の解決に繋げるべく、V2Gを社会で機能させるためのビジネスモデルを構築するものとなっている。7社は、EV/PHEVの蓄電池を効果的に機能させるシステムの構築を通じて、V2Gアグリゲーション事業の確立を目指す。

実証内容としては、まず実証サイトにV2Gに対応した充放電器の導入を行なう。多数のEV/PHEVの充放電を制御するための技術要件を明確にするとともに、技術検証向けの実証試験用システムを構築し、実証を通じて電力系統安定化に向けた検討を進めていく。

具体的な実証の一例として、特定需要家の構内において、EV/PHEVおよびEV/PHEV用充放電器を集中して配置した充放電ステーションを構築。そのうえで、構内の高圧線路を仮想配電線として想定し、電力系統安定化に向けた制御検証を実施する予定だ。

あわせて、従来のEV/PHEVが持つモビリティニーズとの両立を見据えて、サービス提供に必要な要件を検討する。

なお実証サイトとして、愛知県岡崎市の三菱岡崎製作所および静岡県東部地域の静岡ガス事業所などが予定されている。

【平成30年度需要家側エネルギーリソースを活用した
バーチャルパワープラント構築実証事業参加会社】

●アグリゲーションコーディネーター

・東京電力ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表執行役社長:小早川智明)

●実証協力事業社

・東京電力エナジーパートナー株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川崎敏寛)
・東京電力パワーグリッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子禎則)
・三菱自動車工業株式会社(本社:東京都港区、取締役CEO:益子修)
・株式会社日立システムズパワーサービス(本社:東京都港区、代表取締役 取締役社長:坂井章)

●リソースアグリゲーター

・静岡ガス株式会社(本社:静岡県静岡市、代表取締役:岸田浩之)
・株式会社日立ソリューションズ(本社:東京都品川区、取締役社長:星野達朗)

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