【レース】三菱 パイクススピーク優勝報告会見を開催

三菱 パイクスピーク2014 
前列中央の増岡、トレーシーの両ドライバーと三菱の開発スタッフ

2014年7月3日、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの改造EVクラスで優勝し、1-2フィニッシュを達成した三菱チームの監督兼ドライバーの増岡浩が帰国し、報告会見を行なった。

今回のパイクスピーク・ヒルクライムでは改造EVクラスで優勝することはもちろん、総合成績でもトップタイムを狙ったが、結果的には総合トップに立った無制限クラスのポルシェのワークスドライバーであるロマン・デュマの駆るフランス製の市販レーシングマシン「ノルマ」に2.5秒及ばず、三菱MiEV EvolutionⅢは総合2位、3位となった。

三菱 パイクスピーク2014 Norma
9分05秒801で総合優勝したロマン・デュマ。マシンはフランスのノルマ

「ノルマは中腹までは圧倒的な速さを誇っていたが、頂上付近ではさすがにエンジンはパワーダウンし、思っていたよりはタイム差が小さくなった」(増岡談)。逆に言えばEVは標高が高くなってもパワーダウンしないという特長が活かされたとも言えよう。

三菱 パイクスピーク2014 三菱 パイクスピーク2014  増岡選手

一方、3度目の挑戦となる三菱MiEV EvolutionⅢは、2013年仕様のEvolutionⅡより、軽量化、モーター出力の向上(4モーター合計400kW→450kW)、タイヤの大径化(260/650-18→330/680-18)、空力性能の向上を行っている。さらに旋回性能を高めるために、S-AWCの制御も見直している。

三菱 パイクスピーク2014  MiEV EvolutionⅢ諸元表

三菱 パイクスピーク2014 空力モデル
初公開されたMiEV EvolutionⅢの風洞実験用の1/12モデル

三菱 パイクスピーク2014 空力モデル三菱 パイクスピーク2014 空力モデル

タイヤを大径、ワイド化したため、ボディのホイールハウスにはエクステンションが追加されている。タイヤがボディ幅よりわずかに露出するため、空気抵抗を減らす目的だ。なお、マシン開発を担当しているのは三菱・岡崎研究所のEV要素研究部と呼ばれるEVの先行開発チームで、スタッフはEV関連各部門から選抜され、通常業務の傍らでMiEV EvolutionⅢの開発に関わっているという。

三菱 パイクスピーク2014三菱 パイクスピーク2014

増岡の話では、昨年のレースは午後のスタート直前ににわか雨が降ったために、この雨より先にスタートしたマシンと比べ不利になってしまったので、スタート順が決まる予選をどうするか悩んだという。しかし結果的には主催者側のタイムスケジュールが一新され、午前中のスタート時間となったため、特別な作戦は使用せずに予選、決勝に臨んだという。

三菱 パイクスピーク2014三菱 パイクスピーク2014

改造EVクラス優勝、総合でもトップに2.5秒差まで迫まるという結果となったが、さらに総合トップを狙うためには「空力のさらなる改善、ストレートでの伸びをさらに追求するためのギヤ比の変更」が必要だろうと語っている。

三菱のMiEV Evolutionによるパイクスピーク・ヒルクライム計画は3年を予定し、2013年には優勝する体制を組んでいたが、天候の不運により1年遅れて今回の優勝となった。会見に出席したEVビジネス本部・本部長の岡本金典氏は、「市販EVのモーターやバッテリーなどのコンポーネンツを使って次世代のEVの研究を行うという目的でパイクスピーク・ヒルクライムに3年間挑戦するという計画でした。3年目にして優勝できましたが、今後の予定はまだ未定です」と語った。

我々としては、次のステージとして、EVによるコースレコード樹立を狙って、ニュルブルクリンク北コースに挑戦して欲しいところである。

2014 パイクスピーク・ヒルクライム・レース結果

パイクスピーク特設サイト
三菱自動車公式サイト
パイクスピーク・ヒルクライム公式サイト

COTY
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