2016年4月12日、三菱ふそうトラック・バスは、ドイツのシュトゥットガルト市と物流事業会社ヘルメス社に小型電気トラック「キャンター E-CELL」5台を提供し、1年間の実用供試を開始したと発表した。
三菱ふそうは排出ガスゼロの車両を提供する目標を掲げ、実際の厳しい走行条件下での実用実験を通じ、電気トラック技術を実証して行くプロジェクトを進めている。今回の実用供試もその一貫だ。シュトゥットガルト市に提供する4台のトラックのうち2台はダンプ仕様の道路、および都市景観工事車、2台はバン仕様で家財運搬とゴミ収集。また物流事業会社に提供する車両は都市内配送に使用される。
ドイツ・シュトゥットガルトで4月11日、実験車両の引き渡しイベントが行なわれた。「現代のディーゼルエンジンは高効率で環境性能に優れているため、長距離輸送で今後も引き続き使用される一方、都市内短距離輸送において一部の車両を数年以内に電気トラックに移行していくことは技術的・経済的に実現可能です。電気トラック技術のさらなる開発や実用供試を通じ、我々は都市モビリティに貢献していきます」とダイムラーAG取締役兼トラック・バス部門総責任者のウォルフガング・ベルンハルト氏は語っている。
三菱ふそうはダイムラーの商用車部門の中で、ハイブリッド技術の開発をリードしており、こうした経験を活かし電気トラック開発を担当している。「キャンター E-CELLは実用供試で、環境性と経済性に優れた車両であることが証明されると確信しています。ポルトガルでの試験では、ディーゼルトラックと比較して1万kmの走行で約1千ユーロを削減することができました」とダイムラー・トラック・アジア総責任者で三菱ふそう社長のマーク・リストセーヤ氏は語る。
2015年にはポルトガルで、「キャンター E-CELL」8台の配送実用供試を行なっている。電気トラックは短距離輸送や都市内配送に有用であることが1年間の実証結果で明らかになった。また運用コストは従来のディーゼルトラックと比べて最大で64%削減することができたという。
今回、実用供試で使用する「キャンター E-CELL」はポルトガル・トラマガル工場で製造され、50年の歴史を持つ同工場にダイムラーは2011年より累計約2700万ユーロを投資し最新の設備を誇っている。300人以上の従業員がふそうの小型トラック「キャンター」を生産し、そのうち約95%の車両が欧州約30カ国、イスラエル、モロッコ、トルコに輸出されている。