三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は2012年4月5日、大型トラック向けの低燃費技術を導入した「FUEL EFFICIENT TRUCK」を開発し、同社の川崎製作所で実車を公開した。試作モデルでは空力の最適化、ボディ軽量化、電力マネージメント、低転がり抵抗タイヤ採用などの技術を総合。従来型ディーゼルトラックと比較して、社内実験では約10%以上の燃費改善効果を得ている。MFTBCでは今回の試作モデルで開発した技術の一部を、市販量産モデル「スーパーグレート」にも採用していく予定だ。
今回採用された新技術を空力面から見ていくことにしよう。まず、空気抵抗を従来型より改善したドラッグフォイラーを新開発。これによりサイドディフレクターの装着なしで空気抵抗を減少させるとともに、燃費を向上。このアイテムは子会社のパブコより、用品として商品化される予定だ。次にホイールベース間に装着するサイドスカートの形状を見直し、スカートなしの車両に比べて空気抵抗を低減し、燃費を向上させている。またサイドガードと一体成型することで、重量も大幅に軽くすることが可能になったという。さらに小さいながらもリヤスポイラーを装着することにより、ボディの負圧が低減して燃費向上を確認。これも商品化を予定している。
次に電力マネージメントに関わる部分では、新開発で商品化も検討しているPWM(パルス ワイド モデュレーション)制御オルタネーターを採用。通常のオルタネーターでは常に一定の割合で発電を行うが、PWM制御オルタネーターではエンジン負荷とバッテリー充電状態に応じて発電を制御。下り坂などのエンジンブレーキ時や減速時に最大限の発電をするようにして、通常走行時の発電負荷を減らしている。またリヤボディ上部に太陽光パネル30枚を設置。オルタネーターによる発電量を低減して、燃費を向上している。
さらに運転手の仮眠時にアイドリングストップを行う「パーキングクーラー/燃焼式ヒーター」を採用することで、冷暖房での燃料消費を低減している。これはアイドリングが厳しく規制されているヨーロッパの一部ではすでに大型トラックなどで義務化され、日本国内でもキャンピングカーで普及しつつあるアイテムだ。