FCAジャパンは、アバルトブランド初のオープンスポーツモデルである新型「アバルト124スパイダー」を8月5日に発表、2016年10月8日(土)から販売開始する。
新型アバルト124スパイダーは、1960年代のデビューとともに多くの人を魅了したオリジナルの「124スパイダー」のオマージュとして現在に蘇った新型車で、本格的な2人乗りオープンカーの走りに加え、スリルとテクノロジー、安全性、イタリアンデザインを融合したモデルだ。
マツダ・ロードスターのアーキテクチャーをベースに、生産は同社が本社工場にて行ない、スタイリングデザイン、パワートレーン、室内装備・材料、サスペンションおよびステアリングフィールはFCA独自で開発した。マツダ・ロードスターとの比較記事はこちら。
また開発にあたっては、アバルト・レーシングチームの支援を得ており、パフォーマンス、クラフトマンシップ、技術的優位性というアバルトならではの価値を最高の形で表現している。
重量を前後アクスル間に集中させ、エンジンをフロントアクスルより後方に配置することで、最適なアジリティと優れたドライブフィールを実現。長年のレース活動から得た教訓を生かし、ムダな重量を1g単位で削り取る徹底した軽量化を実施。
高度なメカニズムと軽量素材の使用によって車両重量を1,150kg(オートマチックモデルの場合。マニュアルモデルは1,130kg)に抑えた結果、パワーウェイトレシオはクラストップの6.2kg/hp(乾燥重量1,060kgとして)を達成した。
また、最適な重量配分により優れたフィードバックとアジリティを確保しているのも特徴だ。
エンジンは最高出力170psを発揮する1.4Lマルチエア4気筒ターボエンジンを搭載。最大トルクは250Nmで、0〜100km/h加速は6.8秒(欧州仕様参考値)となっている。エキゾーストノートについてはエンジンの回転数に応じて排気経路が変わる、アバルト車ではお馴染みの「レコードモンツァ デュアルモードエキゾーストシステム」をアクセサリーで設定。心地よい深みのあるサウンドの獲得も可能というわけだ。
トランスミッションは6速マニュアルと6速オートマチックの2タイプを設定。マニュアルはストロークの短いダイレクトなレバーによる速やかで正確なシフトワークが特長で、トルクコンバーターを採用したオートマチックは丹念なチューニングを施したことで、エンジントルクをフルに活用するとともに本格的なレーシング感覚を実現する。
シフト操作は、センターコンソールのレバーでもステアリングホイールのパドルスイッチでも行なえる。そのほか機械式のセルフロッキングデファレンシャルを採用するなど、駆動系に関してもこだわりを注ぎ込んでいる。
サスペンションは、フロントにダブルウィッシュボーン式、リヤに5アームのマルチリンク式を採用し、コーナリング時や減速時の安定性を高めるよう特別なチューニングを施している。また、ステアリングのフィードバックは、パワーステアリングシステムに専用のスポーツ設定を採用することで最適化した。ビルシュタイン製のモノチューブショックアブソーバー、特別な設定のスプリング、オーバーサイズのアンチロールバーなど、最適なハンドリングと精度の高い走りを実現する装備を与えられている。
ブレーキに関してもフロントにブレンボ製システム(アルミニウム製4ピストン対向キャリパー)を採用することで、制動距離を最低限に抑えるとともに、ブレーキを長時間激しく使用した場合の耐フェード性にも優れており、常に快適かつ安全なブレーキフィールを確保した。
電子制御装置はドライブモードセレクターに統合されており、センターコンソールに設けたレバーを使って「ノーマル」と「スポーツ」の2つのパフォーマンスモードを切り替えられる。「ノーマル」は日常走行向き、「スポーツ」はスポーティな走りに最適に調整されたモード。このシステムが介入可能なパラメーターは多様で、アクセルペダルレスポンス、パワーステアリングのアシスト量、スタビリティコントロールおよびトラクションコントロールのしきい値など。オートマチック仕様ではシフトポイントやシフト速度も変更の対象になっている。
アバルトのDNAを忠実に表現するエクステリアデザインも魅力だ。長いボンネットで強大なパワーを持つエンジンの存在を強調するとともに、短いオーバーハングでアジリティを強調。そしてイメージだけでなく風洞実験を通してフロントバンパーの大型エアインテーク形状やリアのディフューザー、リヤスポイラー、ウィンドウスクリーン形状を検証している。
インテリアでは、シートをアルカンターラ/レザーまたはオールレザー(オプション設定)でサポート性と快適性を兼ね備えていると同時に、ドライバーがクルマのさまざまな動きを感じとることができるよう可能な限り後方に低くセッティングするなど、こちらもアバルトDNAを忠実に表現。ソフトトップは2層構造で高い遮音性能を実現するとともに、運転席から片手で簡単に開閉できるよう設計されている。
安全装備も充実していて、ABSはもちろん、EBD(電子制御制動力配分システム)、ESC (横滑り防止装置)を完備。なお、サーキットで走行する際は上記すべての機能を限定させることができる点もスパイダー124ならではの特徴。クルマのバランスと運動特性をフルに活用でき、スポーツカーらしい、純粋でダイレクトなドライブフィールを楽しむことが可能だ。
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