フィアット 広島・マツダ製造の「124スパイダー」がベールを脱いだ

フィアット 新型124スパイダー

2015年11月17日~29日にわたって開催されたロサンゼルス・オートショーで、FCAはついにフィアット・ブランドの2座席スポーツカー「124スパイダー」のワールドプレミアを行なった。

言うまでもなく新型「124スパイダー」はマツダとの共同開発で、マツダで生産されるスポーツカーだ。このコラボレーション企画は2012年5月23日に正式発表されている。この時点では新型ロードスターをベースにアルファロメオ・ブランドでのスポーツカーが開発されるとされていた。

しかしその後、フィアット側の事情により、フィアット・ブランドに変更されたのだ。その理由は、アルファロメオはより高出力、高性能なスポーツカー・ブランドと位置付けられ、ポピュラーなオープンスポーツカーはフィアット・ブランドの方がふさわしいと判断され、1967年~1985年まで生産された「124スパイダー」の後継モデルという位置付けになった。

フィアット 新型124スパイダー

マツダ・ロードスターの開発の過程で、デザイン上のハードポイント(パッケージング/メカ的な寸法諸元)がフィアット側に連絡され、フィアット側のデザインがスタートしており、当然ながらマツダのデザイナーとは独立したデザインとなっている。

フィアットは、往年の124スパイダーの車名を復活させることを決定し、そのDNAを受け継ぐクラシックでアイコニックなイタリアン・デザインを採用した。そしてイタリアのロードスターにふさわしいドライビング感覚と、最新の安全性や利便性を融合させている。

デザインはトリノのデザインセンターデュアルで行なわれ、1966年モデルの124スパイダーをもとに現代的な解釈を加えている。クラシックともいえるフラットなボディサイドのライン、バランスの取れたボンネットとキャビンの比率を生かしたプロポーション、ハニカムパターンのフロントグリル、そしてボンネットのパワードーム、シャープな水平処理されたリヤランプなどにより、かつての124スパイダーの記憶を呼び起こすデザイン要素が盛り込まれている。

インテリアは高級なソフト素材を採用し、ステアリング、ペダル、シフト操作は人間工学的に極められている。インテリア全体はイタリアン・クラフトマンシップが直感できるように仕上げられている。メーター部は中央に大型タコメーター、右側にスピードメーター、左側にインフォメーションディスプレイを配置している。

フィアット 新型124スパイダー

オプションで7インチ・タッチディスプレイと3Dナビ、リヤカメラがセットで設定される。またボイスコントロールを標準装備し、ナビやスマホ、音楽演奏などが操作できる。オーディオはオプションでボーズ9スピーカー・プレミアムシステムも選択できる。

124スパイダーのボディサイズは、マツダ・ロードスターに比べ、全長が139mm長く、全幅は5mmワイド、全高は2mm低く、もちろんホイールベースは共通の2310mmだ。また車両重量も同等の1050kgとなっている。この他に燃料タンクがマツダは40Lであるが124スパイダーは45Lとしている。

グレードは124スパイダー、ルッソ(ラグジュアリー)の2機種でそれぞれが8色のボディカラーを設定。ロッソ・パッシオーネ(赤)、ビアンコ・ジェラート(白)、ネルベスビオ(ブラックメタリック)などだ。

なお、新型124スパイダーの復活を記念する124台限定の「リミテッドエディション・アニバーサリー」も設定される。このスペシャルモデルはシリアルナンバープレート、専用バッジ、ロッソパッシオーネのボディカラー、最高級本革シートなどが装備される。

フィアット 新型124スパイダー
世界限定124台となる「リミテッドエディション・アニバーサリー」。ボディカラーはロッソ・パッシオーネで、専用装備が採用される

搭載エンジンは初の縦置きとなる1.4L・マルチエア(可変吸気&リフト)ターボで、トランスミッションは6速MTのみの設定だ。1.4マルチエアは140ps/5000rpm、240Nm/2250rpmを発生する。ちなみにマツダ・ロードスターは1.5Lの自然吸気で131ps/150Nmなので、124スパイダーは大トルクであることがわかる。もちろんこの1.4マルチエア・エンジンはイタリアで組み立てられてから広島に輸送される。

この1.4マルチエア・エンジンは、大トルクと低振動で滑らかに回り、同時に実用域での優れた燃費を実現している。なお大型インタークーラーがフロントにマウントされ、これによりフロントのオーバーハングがマツダ・ロードスターより長くなっている。

124スパイダーのボディ骨格、アッパーボディの構成はマツダ・ロードスターと共通で、ソフトトップの開閉システムも同じになっている。もちろん、サスペンション、デュアルピニオン式電動パワーステアリングも共通だ。リヤ・サスペンションはダンパーのレバー比がほぼ1.0で、サスペンションがストロークしてもタイヤのグリップは安定しており、横力に対してはサスペンションリンクはトーインに変化し、コーナリングでの安定性を高めている。

フィアット 新型124スパイダーフィアット 新型124スパイダー

パワーステアリングは、レスポンスのよさとリニアな効きを両立させており、最適な路面フィードバックが得られるようにチューニングされている。乗り心地に関しては、NVHの低減を徹底し、静粛で快適な乗り心地を追求。

マツダ・ロードスターとは異なる124スパイダーのオリジナル装備は、GPS受信機、アダプティブ・ヘッドライト、デイタイム・ライトなどだ。

この注目の124スパイダーは2016年夏から2017年モデルとして市場に投入される計画で、現在は細部の煮詰め、走りのチューニングが行なわれている。また、より高出力バージョンがアバルト・ブランドで登場するという噂も流れている。

フィアット124スパイダー諸元表

 

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