2014年7月18日、7年ぶりにフルモデルチェンジし、スカイアクティブ技術を採用するBセグメントカー、新型デミオ(海外名称:マツダ2)の概要が発表された。またこの新型デミオの生産が防府第1工場で開始された。
7月18日に、エクステリア、スペックなどが世界初公開となり、プロトタイプの試乗もクローズドコースで行なわれた(試乗レポートはこちら)。新型デミオは、CX-5、アテンザ、アクセラに続き、SKYACTIV技術とデザインテーマ「魂動(こどう)」を全面的に採用した新世代商品の第4弾となり、2014年秋に日本から順次グローバルに導入を開始する予定だ。
新型デミオの開発テーマは「クラスの概念」を打ち破る、である。他のマツダ車と同様にデミオもグローバルな市場を前提としているため、日本国内の同セグメント車と戦うというより、グローバルでのBセグメントの中で強い存在感が求められる。現在のヨーロッパ系Bセグメントは、Cセグメントに肉薄するほどレベルアップされており、新型デミオはその中で戦いを挑むことになる。
具体的には、デザインと品質感、走りのよさと燃費の両立、Bセグメントでありながらロングドライブでも疲れにくさと運転の楽しさの両立である。また走りのコンセプトはマツダが一貫して唱える人馬一体感覚の実現で、意のままの走り、軽やかさ、気持ちよさ、しなやかさを感じることができる走りを追求したという。
特にこだわった部分は、より正確で運転しやすいドライビングポジション、疲れにくい優れたシート、運転操作に対して滑らかにGが繋がる気持ちよい走り、優れた直進安定性だという。
デザインは、一貫したテーマである「魂動」をベースにして、アテンザやアクセラのような伸びやかな動感に対してコンパクトに凝縮したダイナミック感を強調。ボディサイズは、全長4060mm、全幅1695mm、全高1500mm、ホイールベース2570mmで、従来型より全長、全高がわずかに大きく、ホイールベースは80mm延長されている。またキャビンのパッケージングは、あえてスペースの寸法競争をせず、デザインを優先している点も独自のスタンスと言える。
搭載するエンジンは、従来からのスカイアクティブG 1.3と、新開発の1.5LのスカイアクティブD(ディーゼル)の2機種だ。ガソリン1.3L(P3-VPS型)は、これまでの直噴、ミラーサイクルを採用しながらも圧縮比を14.0から12.0に下げることで、より燃焼速度を高め92ps(従来は84ps)と出力をアップし、最大トルクは121Nm(従来は112Nm)としている。最高出力回転数は6000rpmで、6000rpmオーバーまで気持ちよく吹け上がる特性も重視している。
新開発された1.5Lディーゼルは、既存の2.2Lの技術を採用しながら、よりコンパクトなディーゼル専用の新技術を採用した。圧縮比は14.8と従来の2.2ディーゼルよりやや高め。コモンレール/ソレノイド式インジェクター、可変ジオメトリー式シングルターボを採用。細部では、エッグシェイプ・ピストン冠面、吸気マニホールド一体型水冷インタークーラー、樹脂製ウォータージャケットスペーサー、電動水温制御システム、高圧・低圧2重EGRなども新採用している。
希薄・低温燃焼を実現することで、NOxの発生を抑え、DPF/酸化触媒のみでポスト新長期規制、ユーロ6規制をクリアしている。出力は105ps、最大トルクは220Nmで、自然吸気ガソリンエンジンの2.5Lクラス並みのトルクを実現している。
▲左から2.2D用の、1.5試作、1.5量産仕様ピストン ▲エッグシェイプ冠面ピストン
なお低温始動時の燃焼室温度を確保するため、2.2Lディーゼルでは排気可変バルブリフトシステムを採用していたが、1.5ディーゼルは可変ジオメトリーターボの可変翼を閉じることで、排ガスは燃焼室に逆流することで着火性を確保している。
トランスミッションは、1.3G用は5速MT/6速AT、1.5D用は6速MT/6速ATと組み合わされる。ディーゼルの6速MT仕様は燃費でクラストップを狙うという。
ボディは、新骨格を採用し、従来型比で22%の剛性を向上している。そのためストレートな骨格と環状フレームを組み合わせ、高張力鋼板の採用比率をアップ。さらに主要な接合部に構造用接着剤を新採用し、スポット溶接点数も増大させている。
サスペンションは、フロントがストラット式、リヤがトーションビーム式。フロントのストランスミッションとは直進安定性を高めるためにキャスター角を増し、キャスタートレール量も増大させている。またリヤのトーションビームは、取り付け点のアップによりアンチリフト特性を強め、かつ段差乗り越え時の入力を低減させている。