マツダ3e-スカイアクティブ X試乗記 トップグレードエンジンの進化

マツダ3は2020年にいくつかの商品改良を行なっており、その中でe-スカイアクティブ X搭載車とスカイアクティブ-D1.8を搭載するモデルに試乗できたのでお伝えしよう。

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商品改良の中味

2020年の商品改良の概要は、スカイアクティブ-G2.0搭載モデルに6速MTを追加、ワールドカーアワード・デザイン部門の受賞記念モデル発売、車両ダイナミクス性能の進化、予防安全性能進化といったものがあり、その中でe-スカイアクティブ Xと1.8Lディーゼルの走りの進化という項目もある。

まず、e-スカイアクティブ Xだが、もともとスカイアクティブ Xには電動モーターを搭載するマイルドハイブリッド(24V)だったが、今回の商品改良では出力を上げ、名称も「e-skyactiv X」へと変更。電動化モデルであることをアピールしている。

そのe-スカイアクティブ Xの走りの進化だが、エンジン制御ソフトの変更で出力アップを行なっている。180ps/224Nmから190ps/240Nmへと変更され、1500rpm以下の低回転からトルクは太り、全回転領域で従来モデルより高トルクになっている。

アップデートされたe-スカイアクティブ Xは、シリンダー内の圧力センサーによる燃焼フィードバック制御の精度を高め応答性を向上させている。また大量のEGR再循環をさせているe-スカイアクティブ Xは、さらにEGR量の精度を高めて、より多くのフレッシュエアを取り込むことを可能としトルク出力を向上させている。

またエンジンとAT応答制御の最適化も図り、アクセルの踏み込み量、踏み込む速度などのデータ解析に基づき、エンジンへ、より速やかに過給し、速く変速するようにシフトレスポンスを上げている。

明確に異なるレスポンスと力強さ

その結果、現行車との違いは、試乗した横浜の市街地、高速道路でも明確にわかるようになっていた。

トルクが太くなったことは出足や、加速、高速での中間加速、合流や車線変更からの再加速などで力強さが増していることが感じ取れる。さらに、磨きがかかったのはクルマの反応がよくなったことだ。

ほんの僅かのアクセル操作に対してもクルマがしっかりレスポンスすることだ。もともとスカイアクティブ-Xのレスポンスは良く、不満は感じられないのだが、改良モデルはさらに微小なアクセル操作にも反応し、その反応もリニア。ほんの僅かにアクセルを開けると、クルマもほんの僅かに動くというイメージで、過敏な反応とは違うリニア感が増しているのだ。

もうひとつ新機能も増えていた。スポーツモードを選択したときにGVCプラスがよりタイヤ荷重を増す方向の設定に変わっているのだ。GVCプラスとは、エンジン出力の瞬間的な制御により接地荷重や旋回Gをコントロールする技術で、車両安定という部分と乗員にかかるGの軽減とった部分もある先進の制御技術である。

グリル内にシャッターを設け、エンジンの温度管理をしている

もともとe-スカイアクティブ Xは、エンジン本体の温度管理が重要なエンジンで、そのためフロントグリルの内部にシャッターを設けている。温度が上がればシャッターを空けて外気を取り入れ、温度が下がればシャッターを閉じる。このとき、エンジン房内の空気の流れが車両下部へ流れるが、それが揚力となり、接地荷重が減ってしまい、車両操安に影響するということが考えられる。

これまでのGVCプラスは、グリルシャッターの開閉に伴う揚力、ダウンフォースには関与せず稼働していた。そのため、理論上、もしシャッターの開閉がコーナリング中に起きたとすると、接地荷重は変化しステアフィールに影響が出るということになる。

それを今回の商品改良で、車両運動のパラメーターを組み込み、グリルシャッターの開閉にともなう空力変化に連動するGVCプラスへと進化したのだ。

さらに、その連動させる技術を応用し、ノーマルモードとスポーツモード時でもGVCプラス効果に差をつけることが可能となり、ドライバーがスポーツモードを選択するとすぐにタイヤの接地荷重が増し、感触としてはステアリングのしっかり感、ボディのしっかり感が増し、安定した走行に感じ取れるようになっているのだ。

スポーツモード自体が他のスカイアクティブエンジンに無いため、e-スカイアクティブ Xだけの特別装備というわけだ。

さらに嬉しい情報として、今回のe-skactiv Xのアップデートを、すでに購入済みのユーザーに対しても無償でアップデートが可能というサービスを行なう。e-スカイアクティブ Xのオーナーはぜひディーラーへ。

1.8Dもトルクアップ

スカイアクティブ-D1.8のディーゼルエンジンも商品改良が行なわれ、同様に制御ソフトの変更により約12%程度パワーアップしている。出力は116psから130psとなっているが、主に4000rpm付近でのパワーアップのため、常用域で使っている限りその違いはあまり感じない。だが、加速応答性やトルク追従性といった点では改良の違いは感じられる。

加速応答では従来、要求トルクに対して加速度データで呼応していたものを、加速度の変化率(ジャーク)によって呼応することで、より精緻な出力コントロールができるようになったという。ドライバーのアクセル操作に連動して思い通りに加速するように変化しているというわけだ。

もっともトルクバンドが1600rpm付近からなので、トルクバンド内では改良効果が感じられるものの、それ以下の回転数では従来どおりという印象だった。

全車共通のサスペンションの見直し

今回の商品改良では車両のフラット感を向上させるため、バネとダンパーの見直しを行なっている。内容としてはバネ上の挙動をフラットにするため、前後のバネバランスを改良。フロントはばね定数をアップし、特性の変更も行なっている。またダンパーも前後とも減衰特性を変更し、伸び側の減衰の立ち上がりを速くしている。

そしてバンプストッパーの特性変更も行ない、初期入力のいなし感をだすような変更を行なっているが、おそらくゴム製からウレタン製へと材質変更を行なったことが推測できる。

これらの変更は全モデルに対応し、よりフラットライドになるように仕上げているが、e-スカイアクティブ Xで試乗したときはGVCプラス効果が際立ち、サスペンションの変更は黒子的な存在としての印象になってしまった。またスカイアクティブ-Dの試乗では、2万kmほど走行したモデルとの比較であるため、程よくこなれた印象と新車との違いが随所にあり、とくにシートのヘタリ具合などもあり、今回の改良がどの程度なのか判断しにくいものではあった。

グレードのヒエラルキー

マツダ3ではガソリンモデルとディーゼル、そしてe-スカイアクティブ Xというエンジンラインアップになったが、今回の改良で車両の応答性を始め、意のままに操れるという視点では、間違いなくe-スカイアクティブ Xがトップグレードのエンジンになった。もともとトップグレードに位置付けられてはいたものの、その価値が感じにくいという声があったことも事実だが、今回の改良でだれもが納得のトップエンジンという印象を持つだろう。これで、ますますクルマ選びが楽しく、悩ましくなったことは間違いない。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

価格

マツダ3(ファストバック/セダン):222万1389円~368万8463円(税込み)


The Mortor Weekly

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