【マツダ】アクセラ 2.0 SKYACTIVは、国内敵なしの存在に!

マニアック評価vol66
マツダは2011年9月27日より、ビッグマイナーチェンジされた新型アクセラのデリバリーを開始した。最大の特徴は新開発の2.0L、SKYACTIVエンジンと、これまた新開発の6速ATのSKYACTIV-Dを搭載したことだ。箱根で開催された試乗会での走りをご報告したいと思う。

↑動画インプレッションの担当は、ラジオ番組でコメンテーターを務められたモータージャーナリストの石井昌道氏

アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像

このマイナーチェンジモデルの開発コンセプトは、「エキサイティング・エフィシェントスポーツ・コンパクト」。目指したのはデザインと空力性能のグレードアップ、洗練された統一感のある走り、そして燃費の大幅な向上である。

 

実は初代から、目標はVWゴルフだった

アクセラは2003年に登場した初代から、フォード・フォーカス、ボルボS40と共通のプラットフォームを採用し、シャシーの部品も欧州フォードの部品と共通化するなど、フォードの世界戦略的な要素を盛り込んだグローバルCセグメントカーという異色の存在で、当時のベンチマークであったゴルフを目標にして開発されてきた。そして、今回マイナーチェンジを受けた2代目も初代と同じプラットフォームを継承している。
今回のビッグマイナーチェンジでは、これまでの路線を継承しながら、より洗練・熟成させることがテーマであり、マツダのスローガンであるZOOM ZOOMを盛り込み、よりスポーティな味を強めたのが特徴となっている。
1.3LのSKYACTIVエンジンを搭載して先に発売されたデミオが燃費チャンピオンカーを目標としたのに対し、アクセラはあくまでスポーティなCセグメントカーを目指し、走りと燃費性能をバランスさせたとしている。ベンチマークは初代からの流れを踏襲し、フォルクスワーゲンのゴルフとなっている。

アクセラ 2.0 SKYACTIV
↑バンパー形状の変更を含めて、空力性能は大幅に改善された

室内外も念入りにリファインし、質感も向上

エクステリアではフロントバンパーやグリルのデザインが変更され、特にフロントバンパー形状と床下のカバーを徹底することで空力性能を高めており、このカテゴリーではトップレベルだ。

アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像

インテリアに目を移すと、シートはスポーティなデザインで、座り心地もしっかりしてアクセラのキャラクターによくマッチしている。またメーターパネルは2.0LのSKYACTIV専用で、表示色がホワイトに統一されたほか、ECOゲージやスムーズな運転をガイドするインテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)も装備。内装色もブラックをベースに、シルバーのアクセントを付けている。質感も向上し、特に最上級となるセダンの20-Eグレードではそれが顕著に感じられた。

 

スムーズさは好ましく、i-stopも進化

さて、新型のSKYACTIVエンジンだが、低負荷域ではミラーサイクル運転を行い、燃費を高めると同時に従来型2.0Lよりトルクを向上している。しかし、今回の試乗場所である箱根のワインディングにおいて、特に急加速するようなシーンでは、アクセルのレスポンスがやや大人しめに感じられた。

もっともアクセルの開度特性をこれまでの早開きから、リニア特性に変更したことも多少は影響しているのだろう。また、エンジンの回りかたはスムーズで、回転が上がっても極端な音質の変化がない点は好ましいが、多用する3000rpmあたりでもう少しトルク感が欲しいと感じた。

アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像

i-stop、いわゆるアイドリングストップは大幅に進化し、制御が改善されている。止まるべき条件下では、即座にエンジンストップするようになっているし、もちろん再始動もストレスなく行われている点は好ましい。

 

ハンドリングでのベストマッチは17インチタイヤ

パワーステアリングは、従来通りの電動油圧式で、滑らかさや手応えの良さは一般的な電動式よりかなり優れている。ステアリングの効きとボディとの反応具合はかなり改善されている。マツダが目指したつながり感の統一開発活動が反映され、ステアリングの切れ方、旋回の様子やロールの仕方などに違和感がないので、誰にでも運転がしやすいと感じられるはずだ。

アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像
↑オプションの205/50R17タイヤを履くSPORTの20S-SKYACTIV
アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像
↑オプションの205/55R16タイヤを履くセダンの20E-SKYACTIV

タイヤとのマッチングでは、操舵の手応えや路面からのインフォメーションなどでSPORTにオプション設定の17インチタイヤが最良で、スポーティさも感じられる。SPORTの20Sでは標準装着となる16インチサイズのタイヤでは予想以上に操舵感が薄れ、路面の当たりもきつ目だった。セダンに標準となる15インチタイヤは燃費を重視したスペシャル仕様で、これもステアリングの手応えは16インチタイヤと同レベルにある。

言い換えれば、かなりタイヤに影響されるシャシーということになる。もうひとつ。少し表面のザラついた路面ではロードノイズがいきなり高まる傾向にあった。表面が滑らかな路面では十分に静粛なのだが…。

 

DCT的なフィーリングの6速AT

新開発の6速ATは最新のコンセプトを取り入れ、ロックアップの領域を大幅に拡大し、発進後すぐに直結されるようになった。特に低速域において従来のATはロックアップ機構は滑り制御を多用するのに対して、新型はわずかな滑り制御の後に完全ロックアップされるため、DCT的なフィーリングとなる。

 

アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像
↑新開発6速ATは、なかなかの実力の持ち主だった

ワインディングでは変速のつながり、また早さなども、さすがに新世代だと実感させられる。またDレンジでのアダプティブ制御も適切で、上り下りのある山道でも煩雑な変速過多となる場面はなかった。ただその一方で、パドルを使用したマニュアル変速では電光石火と言えるほどではなかった。このあたりは変速ショックを嫌ったのか、変速品質重視と感じられる。

 

滑らかさは今ひとつも、総合力はトップレベル

アクセラの乗り心地は全体的に固めで、一面ではスポーティさを演出しているといえるが、その反面でストローク感や乗り心地の滑らかさ、ボディのしっかり感がもう少し欲しい気がした。

総合的には狙い通りのスポーティな雰囲気が感じられ、ドライビングのしやすさなども巧みにまとめられており、それでいて実用燃費でもクラストップレベルで、もはや国産車の中ではライバルなしの存在と言ってよいだろう。

アクセラ 2.0 SKYACTIVの画像

文:編集部 松本晴比古

試乗動画解説:石井昌道氏(モータージャーナリスト)

 

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マツダ公式Web

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