【マツダ】アクセラ事前試乗会で2Lエンジンと6速ATの新SKYACTIVコンビの実力を初体験

雑誌に載らない話vol32
マツダの技術革新であるスカイアクティブの第2弾となるのがアクセラだ。2011年9月27日に行われるマイナーチェンジに先駆けて、山口県美祢にある同社試験場(旧MINEサーキット)で新型アクセラに試乗する機会が得られたので、すぐには雑誌に載らないその模様を早速ご報告しよう。

10・15モード20km/Lを実現しつつパワーもアップ

発表・発売を間近に控えた9月第2週という時期に開催された事前試乗会には、24のメディアが集められていた。今回のアクセラのハイライトは、スカイGエンジンの2.0L仕様が搭載されたことと同時に、スカイアクティブドライブ(ミッション)が初めて搭載されたことだ。

↑今回はこのSKYACTIV以外のエンジンはとくに変更なし。

エンジンは2.0Lの排気量でありながら、10・15モードで20km/Lの省燃費性能を持ち、これは1.5LクラスCVT搭載車に匹敵する実力に相当する。さらに最高出力を150ps(110kW)/6200rpmから154ps(113kW)/6000rpmへ、最大トルクを19.0kgm(186Nm)/4500rpmから19.8kgm(194Nm)/4100rpmへと実力の底上げも実現している

しかしながら、スカイGエンジンの特徴のひとつである4→2→1の排気レイアウトは、前回のデミオに引き続いて採用されていない。これはマイナーチェンジでの搭載では、それに必要なスペースを確保できなかったとのこと。フル・スカイアクティブのマツダCX-5からの採用になるものと思われる。

箱根で行われた前回のスカイアクティブ・デミオの初めての公道試乗会の時と同様、省燃費をメインとしながら、運動性能をテストしやすい環境での試乗会だった。したがってマツダの狙いとしては、「クルマの変化」がメインであり、燃費はそのうちのひとつである、ということと想像できる。

つまり、スカイアクティブは、省燃費技術ばかりが注目されるのだが、実際は走る、止まる、曲がる、の基本性能がもう1ランク上の性能となっていることの進化を象徴するものという主張だ。なお、価格についての発表は今回はなかった。

↑全長が30mm短くなった以外、ボディサイズは従来と同じ。
↑ハッチバック車はリヤバンパーの形状が変更されている。

スカイアクティブ・ドライブはダイレクト感が印象的

スカイアクティブ・ドライブは新開発の6速ATであり、DSG並みの変速スピードとダイレクト感が味わえるミッションだ。発進時はトルコンを生かし、滑らかにスタートし、全速ロックアップ機構を備えるため、シフトアップはDSGのように素早く変速する。もちろん、ダウンシフトでも同じようにクイックなシフトダウンをするので、従来のATとは大きく異なるフィールを得ることができる。

パドルシフトを備えるアクセラで、ダウンスイッチを押した(ポルシェと同じく、シフトアップは手前に引き、ダウンはスイッチを押すタイプ)瞬間、タコメーターの針は跳ね上がり、エンジンブレーキがかかる。通常のATのようにクラッチが滑っているかのようなフィール時間はほとんどない。

↑すべての種類の変速機のトップ性能を網羅したと豪語する自信のミッションだ。

また加速領域では、通常のトルコンの場合、エンジン回転の上昇と車速の伸びには若干のズレが生じており、リニア感に欠けているというのが一般的。そこをロックアップ機構を備えることで、トルコン領域を減らし、ダイレクト感のある加速フィールとなるわけだ。

フル加速をしてみると顕著にわかるのだが、通常シフトアップした瞬間、エンジンの回転は一度下がり、そこから上昇を始める。しかしその時、車速はエンジン回転の上昇よりやや遅れて加速していくというのが、これまでのATである。ここでクラッチの滑りを感じるというのか、トルコンの特性が顔を出す瞬間でもある。

しかし、このスカイアクティブ・・ドライブは、全速ロックアップなので、発進時以外はトルコンを使わず、ダイレクトにシフトアップするため、クラッチの滑りだとか、加速とエンジン回転の上昇のズレを感じることなく、DSGのような、またマニュアルシフトのようなダイレクトなフィーリングを同じように感じることができた。

↑フェイスリフトは受けたが、セダンの方は全長などスリーサイズは変更なし。
↑ボディカラーはSKYACTIV搭載車専用の新色スカイブルーマイカ。

ドライバーの意思とつながった加減速を見せる

旧来のアクセラはいわゆるアクセルの早開きがされていたが、今回のマイナーチェンジではリニアなアクセルレスポンスとなっていた。自分では少ししかアクセルを開いていないのに、予想以上にアクセルが開いた加速をするという現象がなくなり、ドライバーの意思とつながったアクセル開度となった。

このことはアクセルを閉じる場合でもリニアになる。つまり、アクセルを抜く操作で、いきなり全閉とはならず、じわっと閉じさせることが可能となるため、実用面ではパーシャル操作がリニアになり、スポーツ感あふれるドライブが可能になるというわけだ。

↑ブルーグラデーションメーターやシフトノブ形状などはSKYACTIV専用だ。

実際のエンジンフィールでは、確かに、扱いやすさやレスポンスのリニア感は改善されたように感じるがトルク感というのはまた別のフィールで、乗り比べてしまうと、パンチがなくなったという印象になる。しかしそれも、乗り比べをしなければ気づくレベルではない。

他にもボディ補強が行われており、シャシー底面には補強用のブレースが取り付けられている。その効果は、路面にアンジュレーションがあるときに、ボディのねじれを抑え、タイヤの接地荷重をより均一に保つことができ、コーナリングを滑らかに行うことができる効果がある。

↑バンパーは空力重視で変更し、ブルーリング付きのヘッドライトはSKY専用。

同じタイヤでの接地感が明らかに改善されている

ステアリングを握ったフィーリングは、ボディの剛性感が向上したという部分を感じ取ることができるので、安心してコーナーを攻めることができる。とりわけ、リヤの接地感が高いためにヨーモーメントをすぐに感じとることができ、回頭性が高くより高いレベルでのコーナリングができた。

ちなみに、旧型も試乗できたのだが、同じ17インチでタイヤ銘柄も同じというモデルでの試乗では、同じタイヤだと思えないほどの違いを感じた。つまり、タイヤの接地感が明らかにマイナーチェンジ後のアクセラの方がよく、タイヤから伝わる路面情報を得やすいという違いがあった。

また、サスペンションのチューニングや、ステアリング制御の見直し、ブレーキなどのチューニングも行われているが、そのあたりのフィーリングについては次回の報告を待ちたい。

↑アクセラの開発責任者である猿渡健一郎主査。

↑試乗の舞台となったマツダ美祢試験場は、かつてのMINEサーキットだ。

文:編集部 髙橋 明

関連記事:新エンジン「SKYACTIV-G 2.0」と新変速機「SKYACTIV-DRIVE」搭載のアクセラが生産開始

マツダ公式Web

ページのトップに戻る