マツダ 国内ビジネス構造変革の方針を発表 ブランド価値経営を軸に変革

マツダは2025年6月19日、日本市場のビジネス基盤を強化し、再成長を図る「国内ビジネス構造変革の方針」を発表した。

この改革では「ブランド価値経営を軸に、お客さまに選ばれ続けるブランドを目指し改革を加速」というテーマを掲げている。その上で「ブランド育成に向けた成長投資」、「優先地域の特定(都市圈戦略)」、「店舗体験の向上に向けた現場支援の徹底」という3つの柱を設定している。

この新たな取り組みを通じて、より多くのユーザーに選ばれ続けるブランドになることで、国内販売20万台という目標を早期に実現できるビジネス基盤の構築を図るとしている。

マツダの2025年3月期通期の国内販売台数は15万2000台。2020年以来、20万台を割り込む年が続いており、市場シェアも2015年の6.1%をピークに右肩下がりとなっている。2024年は3.3%にまで低下しており、今回発表の事業構造の変革によって販売台数20万台を目指すわけだ。

マツダは過去に、より多く販売するため、値引きを強調する販売戦略を行なっていたが、それによって「マツダ=値引き」のイメージがユーザーに定着し、中古車価格の下落する傾向が強かった。その後、CX-5を皮切りに新世代商品の投入、スカイアクティブ技術の訴求により販売台数は増加。同時にブランド価値の向上にも積極的に取り組んできた。

しかし、既存ユーザーの代替え需要が向上するなどの成長は実現したものの、トータルでの販売台数を伸ばしたとまではいえないレベルにとどまっている。

そのため、今後は国内事業の立て直し戦略をより明確にし、ブランド価値経営をより重視する営業政策の採用を決定している。

つまり、マツダ車ユーザーや取り引き先、株主、従業員や家族、地域の住民などマツダに関わるすべての人が誇りを持てるマツダ・ブランドとすることを目指し、これを背景により多くのユーザーに選ばれるブランドへと進化、成長させることにしている。

具体的には、ユーザーとマツダとの直接接点である店舗の現場が、ユーザーケアに全力で当たれる仕組みを採用し、メーカーとして徹底的な現場支援を行なう。同時並行的にブランド価値経営を推進する、こうした手法はアメリカ市場で奏功した取り組みであり、これを日本市場に取り入れるということだ。

また同時に、アメリカ市場ではブランド再構築にあたっては、地域や店舗を絞り込み、マーケティング・リソースを重点的に投入して効果を発揮したという。そのため、日本においても、今まで全国一律、全国共通の戦略としていたところを優先地域を決めた「特定都市圏戦略」として、そこに選択と集中で投資を実施する計画としているのだ。

具体的には、安定的な需要が見込める東京や大阪をはじめとした10都市を重点市場に位置づけ、これら都市圏での新世代店舗に集中的に投資していく方針としている。

またマーケティング戦略では、これまでは個別のクルマの機能や技術について伝えるメッセージを重視していたが、今後はマツダ・ブランドに焦点を当てたコミュニケーションを優先し、マツダ車のユーザーはもちろん、マツダ車に乗ったことがない新規ユーザーに対してのアピール力を高めることを目指している。

その象徴として、2025年2月にオープンした「MAZDA TRANS AOYAMA」だ。この施設はマツブランド発信拠点として東京の南青山に設立し、マツダ車ユーザーだけでなく、まだマツダに触れたことのない人も来場したことも成功体験となっている。

また、店舗へのブランド価値浸透の仕組みや体制を構築し、顧客満足度の向上を図る。販売時やサービス入庫時のカスタマーの期待を起点に、それに対する模範的な対応を「ブランドスタンダード」として策定。これらを各ディーラーに浸透させるためのブランドアカデミーやスーパーバイザーを導入するとしている。

こうした販売店での新たな取組を支援するために、2025年1月30日に設立した新会社「マツダビジネスパートナー」(東京都板橋区)に販売会社本部と各店舗の管理サポート業務を集約。本部は店舗の支援に、店舗はカスタマーケアに集中できる環境を構築するとしている。

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