マツダは2021年10月7日、2022年以降に発売するクロスオーバーSUV商品の拡充計画を発表した。マツダはすでに2022年以降に直列6気筒エンジンを縦置きにしたFRベースのラージサイズSUVを販売すると発表しているが、今回はより明確なグローバルでの商品展開を発表した。
マツダはかねてからアメリカにおいて新工場を建設していたが、今回の発表によりそのアメリカの新工場で生産する「CX-50」と、新開発されるラージ商品群の「CX-60」、「CX-70」「CX-80」「CX-90」を2022年から23年にかけて導入し、グローバル市場に向けてSUV上級セグメントに本格参入するということを明確にした。
これら商品ラインアップの拡充は、ビルディングブロック戦略にしたがって積み上げてきたSKYACTIV技術、一括企画、フレキシブル生産などの開発、生産の技術資産を最大限に活用し、より低投資で効率的に実現し、中長期の経営目標を達成するとしている。
CX-50はアメリカ市場でSUVらしい存在感や、オフロード性能が求められることに合わせた新たなラインアップの中核に位置するクロスオーバーSUVだ。このCX-50はマツダ3やCX-30などと同じスモール商品群、つまりフロント横置きエンジン配置とし、アラバマ州ハンツビル市に建設したトヨタとの合弁新工場「マツダ トヨタ マニュファクチャリング, U.S.A., Inc.」(MTMUS)で2022年1月から生産を開始する予定だ。
ラージ商品群のCX-60、CX-70、CX-80、CX-90は、既存モデルのCX-5や追加されるCX-50より上の幅広い価格帯に位置するモデルとされ、2つの異なるボディタイプと2列と3列の2つのシートタイプを展開する。
道路や駐車場が比較的狭いヨーロッパや日本には2列シートのCX-60、3列シートのCX-80を、それより大きなサイズや存在感が求められる北米や中国などの市場には、ワイドボディ2列シートのCX-70、3列シートのCX-90を展開し、ミッドサイズのクロスオーバーSUVラインアップを拡充するとしている。
これらのラージ商品群は各国での電動化ロードマップに対応し、さまざまな電動化パワートレインの選択肢をラインアップする。電動化が進んでいるヨーロッパには、直列4気筒ガソリンエンジンとモーター駆動を組み合わせたプラグインハイブリッドを中心に、新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」やクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」を直列6気筒化し、48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせることで、出力性能と環境性能を高次元に両立させたモデルをラインアップ。
よりハイパワーが求められる北米市場には、ターボチャージャー搭載の直列6気筒ガソリンエンジンに加えて、プラグインハイブリッドを展開するとしている。一方、クリーンディーゼルエンジンの人気が根強い日本では、直列6気筒の「SKYACTIV-D」と48Vマイルドハイブリッドの組み合わせと、プラグインハイブリッドなどを導入する予定だ。
さらに、並行してマツダ初の量産EVであるMX-30の拡販、2022年前半からは横置き4気筒エンジンに組み合わせてロータリーエンジンを発電機として活用する、マルチ電動化技術を搭載したモデルの導入も行なうことになっている。
そして2025年頃からはEV専用プラットフォームの商品群を導入する計画。そしてマツダは2030年には生産する全てのモデルの電動化を完了させる予定としている。
マツダの今後の成長、飛躍は、新たに開発する縦置きエンジン搭載のラージ商品群の成功にかかっており、その実像は大いに気になるところである。