トヨタ自動車は2016年1月15日、ドイツで5月26日〜29日に開催される第44回ニュルブルクリンク24時間耐久レースに、TOYOTA GAZOO Racingとして、トヨタC-HR Racing/レクサスRC/レクサスRC Fの3台体制で参戦すると発表した。「過酷なレースを通じて人を鍛え、クルマを鍛える」活動としてGAZOO Racingの名称で2007年に開始したニュルブルクリンクへの挑戦は、多くの方々に支えられ10年の節目を迎えることになった。
最大の注目は、2016年3月開催のジュネーブモーターショーにおいて公開予定である「トヨタC-HR Concept」の市販想定モデルをベースに競技車両として仕立てた「トヨタC-HR Racing」での参戦だ。純粋なスポーツ車両ではないクロスオーバーコンセプト車両を活用した「もっといいクルマづくり」へのチャレンジとなる。こうした新たな車両で新たな経験を積み重ねることで、ヒトづくりやクルマづくりを加速して、将来の車両開発に生かすとしている。チーフメカニックはトヨタ社員の大阪晃弘氏が務め、ドライバーは影山正彦と佐藤久実の2選手が決定している。
2台目はレクサスRCで、2015年に続く2年目の参戦となる。前年鍛え上げた信頼性と品質に、さらなる改善と新技術アイテムを織り込み、ヒトづくりとクルマづくりの双方を深化することを目指すとのことだ。こちらのチーフメカニックもトヨタ社員の高木 実氏が担当し、ドライバーは木下隆之と蒲生尚弥の2選手が決定している。
そして3台目のレクサスRC Fは、TOYOTA GAZOO Racing with TOM’Sというチーム名での参戦。長年にわたってトヨタ車でのレース参戦のキャリアを誇るトムスが、開発に参画するとともにレースを指揮する。経験豊富なトムスの熟練メカニックから受ける刺激やノウハウを学ぶことで、トヨタのヒトづくりのさらなる促進を図ることが狙いだ。ドライバーは土屋武士、大嶋和也、井口卓人、松井孝允の4選手となる。
トヨタ自動車の社長でもある豊田章男チーム代表は、これまでの活動を振り返って次のように述べた。「2007年にGAZOO Racingとして初めてアルテッツァでニュルブルクリンクに挑戦したことを昨日のことのように思い出します。毎年、天候によっても表情を変えるニュルの道との対話、新しい仲間との出会い、かけがえのない仲間との別れ。さまざまな想いを胸にこれまで走り続けてきました。しかし、いつの時代も変わらないことがあります。それは、ニュルという過酷なコースがクルマを鍛え、レースという厳しい環境が人を育てるということです。過去9回のニュルブルクリンクへの挑戦で私自身、そのことを強く実感しています。私どもがモータースポーツに取り組む意義は、そこにあります。そして、そうした環境に真剣に向き合う姿に、お客様にも感動いただけるものと考えます。今後も、私どもトヨタ自動車は、TOYOTA GAZOO Racingの傘のもと、もっといいクルマをつくるため、そしてクルマファンを増やし、お客様に笑顔になっていただくため、心をひとつにして、モータースポーツ活動に永続的に取り組んでまいります」。
なおトヨタ自動車は2015年4月に、GAZOO Racing、TOYOTA Racing、LEXUS Racingの活動を一本化し、「TOYOTA GAZOO Racing」として新たに始動。モータースポーツ活動を「ヒトづくり」「クルマづくり」「クルマファンづくり」を軸とし、さらなる「いいクルマづくり」の実現に向けて邁進するとしている。