4世代目となったレクサスLX600のエグゼクティブに試乗してきた。お伝えしているように、「エグゼクティブ」と「オフロード」という2つのキャラクターを新規設定し、エグゼクティブは4名乗車のショーファーとしても使えるゴージャスなモデルだ。車両本体価格は1800万円(税込)。
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テクニカルな情報は関連記事を見ていただきたい。試乗車は「LX600 EXECUTIVE」でダウンサイジングコンセプトのV6型3.5Lターボ(V35A-FTS型)エンジンに10速ATを組み合わせたAWDで、LX600はこのパワートレインの一択。海外ではディーゼルエンジン搭載モデルも存在しているが、国内では一択だ。
レクサスLXのメインマーケットはこれまで中東やロシア、北米になるが、中東が中心というのは変わらないもののロシアは縮小されるだろうし、北米では逆にこれまで以上に台数を伸ばせそうなモデルへと変わった。元々北米では台数はそれなりに販売されてきているが、マーケットが大きいだけに十分な台数ではなく、そうしたことを踏まえると期待できると感じた。それはこのエグゼクティブの登場でショーファーとしても使え、LSよりもゆったりと過ごせる大きさ、豪華さになっていることなどがある。
プラットフォームやサスペンション、ボディ、エンジンなどハードパーツの解説は関連記事で詳解しているので見てほしい。
ドライブモードはエコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+、カスタムと6つあり、モードに応じてステアリングの重さ、手応えが変化する。が、総じて軽めな設定で、フルサイズのSUVでは標準的な制御と言える。
サスペンションはリニアソレノイドバルブ方式のアダプティブ バリアブル サスペンションシステムで、路面状態に応じて細かく制御されている。LXの上質な乗り味を作るキーになるパーツだ。もちろんドライブモードにも連動して可変する。
その印象は全体的に鷹揚な動きで、ゆったりとした動きはフルサイズのSUVらしく高級感を感じさせ好ましい。が、スポーツやスポーツ+モードの時はもう少し引き締まりがあってもいいと感じた。車両は200kgの軽量化ができ慣性マスも踏まえた車両開発ということだが、ロールセンターなのか、重心高の影響なのか、重量物が上屋にあるため、下半身はしっかりしているものの、慣性マスをどこかで感じてしまうためだ。
レクサス最大の22インチサイズのタイヤを装着しているのだから、最大限にそのタイヤのパワーを使うようなセットアップを望みたくなった。もちろん中東の砂漠やオフロードなどではある程度の応答速度を落としたものがなければ走れないわけで、その動きは理解できるが。
そして静粛性では、路面状態の変化があってもダイレクトには室内に入り込まないので、高い静粛性を感じる。ツブザラ路面から綺麗な舗装に変わってもロードノイズ、タイヤからのノイズも侵入音は小さい。エンジン音の侵入はもう少し抑えられないだろうか。それはレクサス・ブランドだからこその期待値があがるためで、そこが抑えられるとさらに高級感が増すと感じた。
今回レクサスは「レクサス ドライビング シグネチャー」の中にフルサイズのLXも加えたい狙いがあるという。レクサスブランドで統一されたドライブフィールをLXにも、ということでさまざまなハードパーツの投入や改良が加えられているわけだ。
平たく言えばBMWのX3とX7で乗り比べても同じ駆け抜ける喜びがあり、感じさせ方の違いはあるがBMWであることがわかる、ということをレクサスでもやろうという狙いだ。
そこでいくと、乗り味、ダイナミック性能だけで同じブランドであることを感じさせるのはハードルが高いと感じ、エクステリアやインテリア、特にドライバーズシート周辺のデザイン性の統一感があればブランドを身近に感じられると思った。
LX単品でみれば、非常に豪華でラグジュアリーだが、LSとの共通ポイントはどこにあるのか見つけにくい。あるいは次世代レクサスとしての視点からはNXにつぐ第2弾なので、NXとの共通点を探すもそれも難しい。NXのインテイリアとは全く異なるデザインで、デザイン言語は同じなのだろうが、簡単には理解できないからだ。ちなみにNXは搭載するパワートレインの違いでダイナミック性能にも違いがあるとレポートしている。
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そうした違いを知るとダイナミック性能の目指す「レクサス ドライビング シグネチャー」が似ていたとしても違うように感じてしまうのではないかと。これは感じ方であるため個人によって異なってくると思うが、わかりやすい領域の話ではないのは間違いない。
ただ、単品で見ると前述したようにまさにエグゼクティブ御用達モデルとして豪華であり、魅力あふれる商品なのは間違いない。レクサスブランドの価値をどこで築き上げていくのか興味深く見ていきたい。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>