トヨタ・グループは2025年10月29日、「ジャパンモビリティショー 2025」において従来の取り組みを大幅に変更し、「トヨタ」、「レクサス」、新ブランド「センチュリー」、「ダイハツ」をすべて統合した「トヨタ・グループ」としての展示を行ない、5ブランドでの展開をアピールした。
なお、今回の会場では「GR」を除いた4ブランドの各種コンセプトカーが展示され、もう一つのブランドである「GR」は2026年の「東京オートサロン」で大々的に存在を主張することになっている。

こうした背景もあって、10月29日のメディア向け発表会場では佐藤恒治社長がトヨタとダイハツのブランド性やコンセプトカーを紹介し、ブランド構築担当のサイモン・ハンフリーズ取締役がレクサス・ブランドの今後の方向性を改めて紹介した。
そしてセンチュリーのパートは豊田章男会長が登壇して、センチュリー・ブランドの意義を語っている。
【トヨタ】
カローラ・コンセプト
次期型カローラというよりはコンセプト・スタディ・モデルである。プラットフォームは多様なパワートレインが搭載できるようにフレキシブルなプラットフォームとしている。

パワートレインは、EV、PHEV、プラグイン、ハイブリッド、内燃エンジンのいずれもが搭載できるという。ボンネット高が低く、ワイド・スタンスを強調したフォルムに仕上げられている。

内燃エンジン、PHEV、ハイブリッドように搭載されるのが新開発のN15型と呼ぶ1.5Lの4気筒エンジンだ。つまり従来のメイン・エンジンであるロングストロークの1.5Lの3気筒エンジンから4気筒に基本骨格を変更するのだ。
この結果、ショートストローク化されることでエンジン全高を低くでき、しかもより軽量・コンパクトなエンジン体積としているという。

バリエーションとしては、1.5LのN15型を基準に、1.8L、2.5Lなどのバリエーションを展開し、ターボ過給仕様も想定され、現在までのダイナミックフォース・エンジンシリーズに代わるユニットとなる。
またこのエンジンは、ハイブリッド、PHEVとの組み合わせが主用途となるため、その特性に合わせた高熱効率化のための技術が投入されている。具体的には超希薄燃焼と大量EGR導入、さらにアトキンソンサイクルを組み合わせると推測されている。

カローラ・コンセプトは、インテリアも超未来志向のデザイン・スタディでまとめられている。
その他のコンセプトカー
コンセプトカーとしては、「ハイエース・コンセプト」、配送業務用「KAYOIBAKO(通い箱)」、新興国向けIMVをベースにした多用途輸送車「IMV オリジン」、近距離配送用「coms-X」など超小型商用ビークル、パーソナル・モビリティなど多数が展示されている。




【レクサス】
トヨタ・グループ内で新たにフラッグシップ・ブランドとして「センチュリー」が新規に登場したため、レクサス・ブランドも再定義が行なわれている。
LSコンセプト
新たなレクサス像は、パイオニア、革新的、冒険的、と定義されている。その象徴が、今回展示されたミニバン・スタイルの「LSコンセプト」だ。「LS」はラグジュアリー・セダンでもラグジュアリーSUVでもなく、ラグジュアリー・スペースを指向するとしている。つまり、次世代のショーファー(専属運転手付き)カーのコンセプトカーである。

従来の大型ミニバンは、現在ではVIPが乗るショーファーカーとして使用されているが、元来はミニバンであるため制約も少なくない。「LSコンセプト」はそうした従来のミニバンの制約を払拭し、VIPがより快適に乗ることができる機能を突き詰めている。

そのため、ボディ側面の7割が開口部という巨大なスライドドアが採用され。その結果2列目と3列目に同時に乗り込めるようになっている。つまり従来の2列目シートだけでなく3列目シートもラグジュアリー・スペースとしているのだ。

そして3列目シートもスペースを最大化するため、ホイールハウスを縮小するためにリヤ・タイヤを大幅に小径化し、荷重を分散するため2軸化。結果的に6輪車となっている。


室内は、高級な書斎といった趣とし内装トリムに竹を使用するなど、従来のような自動車らしさを抑えた仕上げとなっている。
LSクーペ・コンセプト
「LSクーペコンセプト」は観音開き4ドアのクーペ風セダンだ。そのため、クーペ風のボディながら乗り降りがしやすく、その一方で高級セダンの車内空間と、ドライバーズカーとしてのドライビングプレジャーも合わせて追求し、未来のラグジュアリー4ドアカーという位置づけになっている。

インテリアは3つのワイドなディスプレイが配置されている。ドライバー用が2つ、助手席用が1つ(折りたたみ式)で、次世代インフォテインメント・シスムを搭載。また、操縦桿タイプのステアリングホイールは、RZで採用されたステア・バイ・ワイヤとしている。

後席では、自動展開式アームレストと前席シートバック一体型の縦長スクリーンを備えている。従来の高級セダンと同等のスペースを確保しているのだ。

レクサス・スポーツ・コンセプト
「レクサス・スポーツ・コンセプト」は2025年のカルフォルニア州ペブルビーチで開催された「モントレー・カー・ウィー2025」で初公開され日本では初公開となる。

スポーツ・クーペのスタイルを採用しているが、これまでのV8エンジンではなく、全固体電池を搭載するEVスポーツカーと推測できる。
今回は、車両そのものよりソニーグループとの協業によりVR Cockpitと組み合わせている。車両の前面に超大型160型のLEDディスプレイを用意。停車している実車のステアリングやアクセルを操作することで、PlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ7」が稼働し、車両がリアルに走行しているように感じさせるバーチャルドライビング・システムとなっている。

レクサスはこの他に、トヨタが出資するアメリカのベンチャー企業、JOBY社製の空飛ぶクルマ(eVTOL)である「JOBY」やレクサスの先進住宅「ハウス」、先進クルーザー・ヨット「カタマラン」なども展示した。


まるでかつてのダイムラーベンツのように、陸、空、海の領域でラグジュアリー・ライフを追求することの宣言であるように見える。
【センチュリー】
新たなフラッグシップ・ブランド「センチュリー」は、今回がブランド立ち上げの場となった。もちろん意図するところは、グローバル市場で超ラグジュアリーなブランドとして認知されることであろう。

フォルクスワーゲン・グループがベントレー、BMWグループがロールスロイスを、そしてメルセデス・ベンツがマイバッハを所有しているのと同様に、トヨタにはセンチュリーがある、ということだ。ただし、ベントレーもロールスロイスも長い歴史があり、そのブランドの強固さは世界的に確立されているが、センチュリーは世界的には未知のブランドというのが現実だ。

そのため、センチュリー・ブランドは日本を背負う「ジャパン・プライド」であり、次の100年に向かう革新的で象徴的なブランドと位置づけられている。しかし、こうした超高価なスーパーラグジュアリーカーは、手作りの極少量生産であり、トヨタ・グループの収益の点では寄与率は大きくないが、世界ナンバーワン・メーカーとしてのプライドを体現したブランドということができる。

今回初披露されたのは、「クーペ」だ。このクーペの追加により、従来のセダン、SUVと3車種を展開することになる。ロールスロイスでいえば、ファントム、カリナン、レイスと同様のラインアップということになる。

このクーペはボディサイズは全長約5000mm、全幅1990mm、全高1430mmで、3人乗りとなっいる。ショーファーがハンドルを握り、助手席にVIPが乗り込む。後席は秘書が乗るという想定だ。
乗り降りの利便性を高めるために左側のドアは2枚構成で、2枚のドアは外側に一旦張り出したあと、前後方向にそれぞれスライドする仕組みだ。これにより広いドア開口とし、さらに助手席は回転して乗り降りしやすくしている。

またショーファーカーらしく、運転席と助手席の間に仕切り板が配置されている。
ただし、今回のコンセプトカーが実際に市販化段階では4人乗り、ドアも通常のスイングドアとなる可能性が高い。
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