2014年1月14日、レクサスはデトロイトショーで、新型高性能クーペ「RC F」を正式発表した。「RC F」は、2013年11月に東京モーターショーで発表したスポーツクーペRCをベースに、LEXUSスポーツ”F”の中核モデルと位置付けられ“F”ブランドのイメージを更に強化するために開発。デトロイトショーに出展する第1報に続き、正式発表によりさらに詳細が明らかになった。
「RC-F」は5.0L・V8の高出力エンジンやトランスミッション、サスペンション、空力パーツなど、数多くの専用装備を採用。非日常的なドライビングプレジャーを提供し、レクサスのエモーショナルな走りを象徴するモデルとなっている。ポジショニングとしてはBMW Mモデルに相当するこの「RC F」の発売は2014年後半を予定しているという。
「RC-F」の主要な特徴は、コーナリング時に後輪の駆動力を最適に制御し、理想的な車両挙動を実現する新開発の車両制御機構「TVD(トルクベクタリング・デフ)」をFR車として世界初採用している。またドライブモードは「STANDARD」、「SLALOM」、「CIRCUIT」の3モードを設定し、一般道からサーキットまで様々な走行シーンで意のままにクルマを操ることができるという。
また車両挙動の統合制御システムVDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management)、つまりVSCやABS、トラクションコントロールなどの統合制御は、IS F以降、“F”に採用されている「Sport」モードの制御を改良。LFA開発の経験を生かしてサーキット走行を想定した運転の楽しさを追求するとともに、一般道を想定した「Normal」モードでは、高い車両安定性と予防安全性能を確保するようにしている。
パワートレーンには、デュアル直噴のD-4Sを搭載した新型V型8気筒5.0L(2UR-GSE型)エンジンを採用。IS Fに搭載されている2UR-GSEをベースに、チタンバルブ、鍛造コンロッド、シリンダーヘッドなどの新設計部品を採用。また、排気系も改良し、出力を大幅に向上させ、圧倒的な動力性能を確保しながら、自然吸気エンジンならではのリニア感やレスポンスの良さを実現した。定常走行域ではアトキンソン化により燃費・環境性能も向上している。
トランスミッションは8速 SPDS(スポーツダイレクトシフト)を採用し、多段ATならではの滑らかな加速と、任意のギヤを選択できるMポジションでのダイレクトな操作感を両立。
ドライバーの好みや走行シーンに応じてモードを選択できるドライブモードセレクトは、「SPORT+」選択時の制御プログラムを改良。アクセル操作への応答性を高め、Dレンジのままでもサーキット走行を楽しむことができるようにしているという。
ボディは「レーザースクリューウェルディング」や「構造用接着剤」など、レクサス最新の生産技術や、スポット溶接打点の追加により実現した軽量・高剛性ボディとしている。
またボディパーツにはスポーティイメージをさらに際立たせる「カーボンパッケージ」を設定。エンジンフード、ルーフ、リヤウイングなどにカーボンパーツを採用し、約10kgの軽量化を実現。これらの部品の一部はLFA工房で製造されるという。
エクステリアは究極の機能美を表現し、クーペならではの低く構えたワイドスタンスを生かし、アグレッシブな走りを予感させるスタイリングをで、エンジンフード上のエアアウトレットや、速度に応じて制御されるアクティブリヤウイングを採用するなど、空力性能にも配慮している。
レクサスのデザインアイコン「スピンドルグリル」は、グリル内部のメッシュパターンが下部に向かうにつれ、“F”字型を形成する新たなデザインとしている。ボディカラーは“F”を象徴するカラーとして、新規開発のブルー、オレンジの2色を含む全8色を設定。
インテリアはスポーティさと高い操作性を実現した。表皮一体発泡工法により、アスリートのボディスーツをモチーフとしたスポーティなデザインで、高いホールド性を実現した専用シートや、踏み込み時の足の動きを考慮して滑り止めのスリットを配した新デザインのペダルなど、スポーツ走行のためのデザインとしている。またインスツルメントパネルは航空機のグラスコックピットをモチーフに、水温、油温、走行中のG、後輪トルク配分など、スポーツ走行をサポートする情報をインストルメントパネル内に表示する専用メーターを新たに採用。細部では専用グリップ断面のステアリングホイールやシフトノブなど運転操作に関わる部位にアクセントステッチを加えるなど、“F”ならではの個性を際立たせるデザインで、さらに新開発のカーボン加飾を採用し、スポーティさと質感の高さを両立させている。
レクサスの”F”はフラッグシップを意味しており、「RC-F」は2013年春からのレクサスの独立会社化により、いよいよブランド強化路線が軌道に乗ってきた象徴と考えることができる。