【レクサス】GS450h試乗記 ハイパワー&省燃費を両立。かつてないプレミアム・スポーツセダンの実力

マニアック評価vol108
レクサスGSは2012年3月上旬にフルモデルチェンジをしたが、ハイブリッドモデルの発売はやや遅れ、ようやく試乗する機会に恵まれた。この日はマイナーチェンジされたレクサスRXの試乗会と併催され、箱根周辺、新東名高速での試乗となった。

レクサスGS450hの画像

先代GSの販売比率でもハイブリッドとノーマルとは6:4の需要だったという。それほど多くのユーザーから支持を受けていたのだから、新型450hは待ちに待ったという人も多いことだろう。今回のフルモデルチェンジでは、トヨタのハイブリッドモデルに相応しい省燃費としながらも、プレミアム・スポーツセダンとしての性能と品質の確保にあるだろう。インテリアや外観など新型GSについては既にレポートしているので、そちらを読んで頂きたい。

さて、トヨタのハイブリッドは燃費への訴求というものが、ユーザーからは厳しく求められる傾向にある。というのは、プリウスという大ヒットしたハイブリッドモデルがあるために、ハイブリッド=省燃費という図式がユーザーに定着しているからだ。しかしながら、欧州の大型クラスのプレミアムセダンやSUVなどのハイブリッドは省燃費というイメージではなく、従来のガソリンエンジンより、燃費が良く、ディーゼルとは違った新しいアプローチで省燃費と出力を持つモデル、というイメージで捉えられている。あるいは、ダウンサイジングした際のパワーの補完をターボではなくモーターで行っている、という認識だ。だから、排気量をダウンしているので低燃費にはなるのだが、日本人が言う低燃費とは少し印象が異なる。日本人が求めるハイブリッド車の燃費とは、これまでの常識とはかけ離れた超低燃費を指している場合が多い。

レクサスGS450h透視図の画像

したがって、日本ではハイブリッド=超低燃費なので、先代GSのハイブリッドでは、14.2km/Lという優れたモード燃費でありながら「意外と燃費が良くない」というユーザーからの指摘をうけていたそうだ。(チーフエンジニア 金森善彦氏:談)実際、BMWの5シリーズやメルセデスベンツのEクラスのそれぞれのガソリン車と比較しても遜色のない数値であったにも関わらずなのだ。

そこで、新型のGSには従来どおり4.5L並みのパワーと出力を確保しながら、超低燃費のハイブリッドという要求は必然ということになるわけで、日本人ユーザーは世界一燃費に厳しいのかもしれない。具体的には搭載されるユニットの変更や空力などの見直しが行われ、新型GS450hの燃費は10・15モードで20.5km/Lという、プレミアム・スポーツセダンとしては突出した燃費性能を実現している。実際、今回の試乗では実用域での燃費だが、タイトなワインディング、東名高速を走って、メーター読みで14km/L以上を示していた。

 

レクサスGS450hのV6+HV画像
エンジンはV型6気筒3.5Lだが、アトキンソンサイクル運転するエンジンへと変更された

搭載されるエンジンは、V型6気筒3.5Lエンジンで、型式は2GR-FXE。アトキンソンサイクル運転をするエンジンに変更されている。旧型との主な違いは、圧縮比が11.5から13.0へと大幅に上げられ、またトランスミッションの制御見直しや、回生制御を変更するなどしている。エンジン単体で6%の燃費改善がみられ、その結果、車両全体では約40%燃費改善され、10・15モードの燃費は旧型の14.2km/Lから20.5km/Lにまで向上が見られる。一見、エンジンの型式から見るとRX450hと同じユニットに思えるが、制御も出力も異なる別なパワートレーンということになる。

もうひとつ注目したいのは、ハイブリッドユニットのE-CVTの採用である。GSの前モデル、LSにも既に採用しているが、FRであるGSは縦置きのハイブリッドユニットであり、2段変速リダクション機能の付いた電気式無段変速機の制御を見直すことで省燃費へとつなげていることだ。プリウスなどに搭載しているタイプは、1段のリダクションギヤ式でハイギヤ、ローギヤの切り替えはない。

レクサスGS450hの画像レクサスGS450hの画像

簡単にその違いを説明すれば、モーターのトルクを増幅するための減速機なのだが、モーターの駆動力を、モーターの回転数を落としてタイヤに伝えることでトルクを増幅し、大きな駆動力を発生させるという方法だ。体感的には80km/hあたりでローギヤからハイギヤに変わるので、エンジンの回転はいったん落ち、変速したことがメータ視認と微妙な変化をわずかに体感できる。こうして新型GSには高い省燃費性能が与えられ、多くのユーザーからの支持は得られるだろう。

さて、気になる走りっぷりだが、豪華装備のバージョンLと電子デバイスで制御されるFスポーツについてレポートした。まず、新型GS450hバージョンLのハンドリングは、微小舵角のときにクルマが動きすぎる印象があった。アジリティを追求した結果なのか。ハイパワーなモデルだけに、余計に敏感と感じたのかも知れない。また、全閉から少しアクセルをあけた時のフィールが、実際の開度よりも加速してしまうように感じる、ということもフィーリングに影響したのではないだろうか。

レクサスGS450hの画像レクサスGS450hの画像

このあたりはクルマのポテンシャルというより、制御の範囲なので意図された設計だろうし、個々で感じるフィーリングの違いであることは付け加えておく。特に北米ではゼロスタート時の加速感を問うユーザーは、日本の比ではない。そうした事実を加味すれば、味付けという部分で、少し北米風味なのかもしれない。

このフィールはLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング)を搭載するFスポーツでも似たような印象であった。すでにFスポーツはレポートしているが、GS450hにもこのFスポーツが設定されている。こちらは、切りはじめの動きに少しあれ?と思う瞬間がある。敏感というのではなく、微小舵角時、ゆっくりとステアしたときに、そのリヤのデバイスの動きを感じるのだ。60km/h〜70km/h程度までは逆位相でリヤタイヤが切れ、それ以上の速度だと同位相に切れる動きをするというDRS(ダイナミック・リヤ・ステアリング)やVGRS(ギヤ比可変ステアリング)、EPS(ステアリング・アシスト・トルク制御)などが働くからだ。もっとも、速度領域は関係なく操舵が極小さい時だけリヤの動きを感じてしまうのだが、前回のレポートに書いたように、これはレクサスの新たなドライビングプレジャーを提案してきた証でもあるのだ。

レクサスGS450hの画像

一方、タイトなワインディングでは、このFスポーツは逆に回頭性の良さに脱帽する。自分のテクニック以上の旋回性を持って走行することができる。また、高速コーナーでは非常に安定したコーナリングをする。リヤのタイヤが操舵することで、リヤタイヤにかかる横Gが減り、その分、縦Gが加わり安定方向にグリップする。だから、上手くなった気分にもなれるのだ。このあたりも、制御の世界であり、技術的には完成している領域なのだろう。

同じようにバージョンLでも、ステアリングを切り込んでいくと素直で回頭性も高い。こちらのモデルにはLDHは装備されず、コンベンショナルなボディとシャシーという構成である。しかしながら、安心感があり、ダイレクト感もあり、やや敏感だが、俊敏性にも優れたハンドリンと評価できる。

レクサスGS450hの画像

だから、基本的なボディやシャシーという点では非常にレベルの高い仕上がりだということだろう。剛性感もあり、どっしりとした感じも伝わってくる。サスペンションも良く動いていた印象がある。したがって、レクサスGSはどのグレードでも似たような味付けがしてあり、豪華なインテリアを持つプレミアム・スポーツセダンというカテゴリーにふさわしいモデルと言えるだろう。

さらに言えば、LDHというシステムは、プレミアム・スポーツセダンというカテゴリーにおいて、コーナリング時に横Gに耐えながらクリアしていくスタイルは、果たしてプレミアムなのかという根底からの概念を変えていると思う。それは、LDHによってリヤタイヤにかかる荷重が横方向から縦方向へと変化し、安定方向へとクルマの動きはシフトする。だからコーナリングのスタイル自体が横Gに耐えながら頑張って曲がるものではなく、もっとさりげなくクリアしていくものだ、というのがLDHであり、新しいプレミアム・スポーツセダンの走りのスタイルだと考える。

 

 

■レクサスGS250/350/450h主要諸元

●全長4850mm×1840mm×1455mm(4WD1470mm)、WB2850mm ●GS250=V型6気筒 2.5L+6AT GS350=V型6気筒 3.5L+6AT GS450h=V型6気筒 3.5L+モーター 電気式無段変速機 ●JC08モード燃費 GS250=10.8km/L GS350=9.4km/L〜9.9km/L GS450h=18.2km/L ●GS250=最大出力158kw(215ps)/6400rpm、最大トルク260Nm/3800rpm GS350=234kw(318ps)/6400rpm、最大トルク380Nm/4800rpm GS450h=217kw(295ps)/6000rpm+147kw(200ps)、最大トルク356Nm/4500rpm+275Nm

レクサスGS450hの画像

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