【レクサス】スピンドルグリルの新型RX。走りもさらなる進化を遂げていた!

マニアック評価vol106
2012年4月12日にRX450h、RX350、RX270がマイナーチェンジされ、試乗する機会があった。レクサスRXは2009年に現行モデルを発表し、これまで年次改良を続けてきているが、今回は新たなグレードも加わるマイナーチェンジが行われた。そしてレクサスでは試乗会ごとにテーマを決め、タイトルをつけ、より訴求ポイントを明確なものにするということを始めた。今回の試乗会テーマは「The new RX, Let Adventure Begin」というタイトルであった。

モデルラインアップを整理するとRX450h、RX350、RX270があり、RX450hは3.5L+ハイブリッドモデルで豪華装備の「バージョンL」とそのバージョンLエにエアサスペンションが装備されたモデル、スポーティなサスペンションを持つ「Fスポーツ」、それと標準車の4グレードという構成で、それぞれに4WDとFFモデルがある。RX350は3.5Lガソリンエンジンを搭載し、同じく、標準車と豪華装備の「バージョンL」とスポーティサスペンションの「Fスポーツ」がある。同じように4WDとFFモデルが設定されている。RX270は標準車と「バージョンL」の2グレードでFFのみという構成になる。

ちなみに、搭載されるパワーユニットに変更はなく、従来と同様でRX450hとRX350に搭載されるエンジンはともにV型6気筒の3.5L。ハイブリッドモデルは型式2GR-FXEでアトキンソンサイクル運転をするエンジンにリダクションギヤ付きE-CVT。一方RX350の型式は2GR-FX+6ATで、通常の運転をするガソリンエンジンである。RX270は直列4気筒の2.7LのNAエンジン+6ATを搭載している。

レクサスRX350Fスポーツの画像

注目は、先のGSのマイナーチェンジから採用された新たなレクサスのフェイスとなるスピンドルグリルの採用で、ルックスからの印象が大きく変化し、強い存在感をもつイメージへと変化したことと、RX450hとRX350にスポーティバージョンの「Fスポーツ」が設定されたことだ。さらに、今回のMCですべてのグレードにわたってボディの剛性を高めているということだ。

FスポーツにはCT200hにも採用している、ボディのたわみや振動を吸収するパフォーマンスダンパーをボディの前後に装着し、専用にチューニングされたサスペンションも装備されている。また、Fスポーツは他のモデルのボディ剛性アップに、さらなるボディ補強も加え、スポーティな走りを実現したモデルとなっている。

レクサスRXの画像レクサスRXの画像

↑Fスポーツに装備されるパフォーマンスダンパー

このFスポーツというグレードは、既にマイナーチェンジを受けたレクサスGSにも設定されているが、RXのFスポーツとは内容が異なる。GSのFスポーツにはLDH(レクサスダイナミックハンドリング・システム)が採用され、その特徴はリヤタイヤの切れ角を制御するDRS(ダイナミック・リヤ・ステアリング)で姿勢制御をする。しかし、このRXシリーズのFスポーツには装備されず、リヤはトレーリングアーム式のダブルウイッシュボーン・レイアウトのサスペンションとなっている。なお、フロントはストラット形式である。

レクサスRXの画像レクサスRX350Fスポーツの画像

→Fスポーツには専用のグリルが付く

エクステリア&インテリア

エクステリアでは、全モデルにレクサスを象徴するスピンドルグリルが装備され、独自性、存在感をアピールするデザインへと変更されている。他に、LEDヘッドランプも全車標準装備とし、L字型LEDクリアランスランプ・テールランプへ変更している。同時に外板色にプラチナムシルバーメタリック、ガーネットレッドマイカ、ファイアーゲートマイカメタリック、ラピスラズリマイカの4色が新設定され、全10色のラインアップとしている。

レクサスRXの画像レクサスRXの画像

レクサスRXの画像レクサスRXの画像

インテリアはRXの持つスポーティな、そして華やかな空間とイメージを継続して持たせるために、新デザインのステアリングを採用している。そして、シートにアクセントステッチを追加し、シートカラーにガーネットとサドルタンの2色を追加。Fスポーツグレードには専用のカラーも用意し全5色の展開となった。また、ナビゲーションシステムも一新され、オーディオも含めマウス感覚で操作できる第2世代リモートタッチ式を採用して、より使いやすさを追求したものになっている。ヘッドアップディスプレイにはシフトインジケーターが追加され、より使い勝手、安心感につながる装備となった。

レクサスRXの画像レクサスRXの画像

RXシリーズはレクサスの中でもトップセールスのモデルであり、レクサス全体で40%以上の販売という。その人気の秘密に、走りのよさも高く評価されている。それは速くそして安心感のある走りなのだが、今回のMCではその走りのよさも見直しをしている。

走りの基本となるボディ自体も剛性を上げ、ステアリング操舵に対する反応や電動アシストのパワーステアリング制御の見直し、ショックアブソーバーの全面的な見直しも全グレードで行われている。そして新たに走りを洗練させたグレードFスポーツが設定された。

RX450hとRX350Fsport

試乗できたのは、RX450hのバージョンLエアサスペンションとRX350Fスポーツで両方とも4WDである。まず、RX450hだが、エアサスペンション仕様の4WD。RXシリーズでもっとも豪華はハイエンドグレードになる。19インチのタイヤとマークレビンソンのオーディオにムーンルーフが付くので、車重は2tを超え、2140kgと重い。一方、もう1台の試乗車RX350Fスポーツは 1950kgで、その差は190kgも車重が違うことになる。

当然、その差はハンドリングにも現れ、RX450hは重厚な走行フィールとなる。搭載されるハイブリッドシステムは走り出しでモーター走行をし、その後V6型3.5Lエンジンが始動する。高級ブランドのレクサスに相応しい、滑らかで静かな走行だ。そしてエアサスペンションは乗り心地もソフトで上質な乗り味を造っている。しかしワインディングでのコーナリングでは、車重が影響するのかロールが続くフィーリングになる。こちらはゆったりとした乗り味の好きなユーザーに好まれるだろう。

反対にRX350のFスポーツは名前のとおりスポーティな走りができる。前後に装着されたパフォーマンスダンパーの働きなのか、ある一定のロールまでくると、そこでロールは収まり、旋回Gをしっかり受け止めながらコーナリングする。だから、安心感のある走りといえる。そして6速ATにはパドルシフトがあるので、ワインディングでも軽快な走りが楽しめ、同じRXでもかなり印象の違ったものになる。また、高速でも安定感がしっかりあり、レーンチェンジや直進性といったものも動いたあとの収まりがよく、ふらつきとは無縁だ。

高速走行などでの直進安定性はどちらのモデルもしっかりしたもので、安心感がある。そのため長距離・高速移動をしたとしても疲れにくいだろう。また、レーンチェンジなどの小舵角の反応は、適度にゆるやかで穏やかである。背の高いSUVだけにあまり反応が良いと逆に不安に感じてしまうこともあるので、ちょうどいいフィーリングだと思う。

また動力性能は両者ともに申し分のないパワー/トルク感があり、高速道路での追い越し、合流など瞬間的な要求にもレスポンス良く反応し、力強い加速もしてくれる。ちなにみ、RX450hは183kw(249ps)/6000rpm、317Nmでフロントモーターの出力が123kw(167ps)/335Nm、リヤモーターが50kw(68ps)/139Nmというスペックになる。トヨタのハイブリッドは1軸上にエンジンとモーターがあるタイプではないので、出力を単純に合算してもシステム出力にはならない。また、RX350は206kw(280ps)/6200rpm、348Nm/4700rpmというスペックになる。

搭載されるミッションだが、ハイブリッドモデルのRX450hはリダクション機構付きのE-CVTで、トヨタでは電気式無段変速機と呼んでいるタイプだ。またRX350は通常の6速ATが搭載される。このように異なる形式のトランスミッションを搭載しているが、運転してもその違いを意識させられることはまったくない。どちらも変速が滑らかであり、スムーズである。

理論的にその違いを説明すれば、E-CVTはレクサスLSやGSにも採用されてきているタイプで、いわば高速側と低速側があり、車速によって切り替わっている。モーターのトルクを増幅するための減速機なのだが、RXの場合、フロントモーターの駆動力を、回転数を落としてタイヤに伝えることでトルクを増幅して大きな駆動力を発生させるという方法を取っている。体感的には80km/hあたりでローギヤからハイギヤに変わるので、エンジンの回転はいったん落ち、変速したことが理解できる。6速ATはいわゆる通常のATであり、ワイドレンジの設定でクロスレシオになっているため、ワインディングでも扱いやすい。また、ナビゲーションと連動して最適なシフト制御を行う「ナビAI シフト」もRX450hのFFモデルを除き、全モデルに標準装備されている。

欧州のプレミアムSUVであるBMWのX5、メルセデスのMクラス、アウディQ5もやはり北米をターゲットに開発され、ボディも大型化している。走りというポイントではドイツ車らしいしっかりした剛性感をもち、直進安定性にも強い安心感がある。このフィーリングは好ましいのだが、インテリアの造りこみというポイントでは、なぜか硬い印象というのか、剛性というのか、しっかりしたインテリアの印象というのがドイツ車には共通している。

そうしたポイントを比較すると、インテリアのおちつきや、もてなし、といったキーワードにピンと反応できるのはRXであり、力強いしっかりした走行性能と穏やかで落ち着きのあるインテリアを持ったモデルといえる。強いて言えば、日本人の食感で使われる歯ざわり、舌触り、など味とは違った味覚表現が、インテリアからは感じることができるからだ。これのフィールを北米や欧州の人たちが求めているとすれば、X5やQ5、メルセデスのMクラスを超える人気となるのではないだろうか。

このようにRXシリーズは走りの質も磨きこまれ、レクサスブランドらしい品質がしっかり盛り込まれたマイナーチェンジが行われているモデルといえよう。さらに、試乗会場にはレクサスの新たなデザイン言語の一部となるスピンドルグリルの顔をもつ輸出モデルのESとLXも展示され、スピンドル4兄弟が展示され、今後もスピンドルラインでのつながりを感じさせるものだった。

レクサス輸出モデル
左からLX、ES、GS、RXと現在4モデルがあたらしいスピンドルフェイスになっている

↓450h諸元表    →350/270諸元表

レクサスRXの画像レクサスRXの画像

レクサスRXの画像

レクサス公式サイト

COTY
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