2013年12月19日、ホンダはSUV、クーペ、ミニバンの要素を融合した小型クロスオーバーカー「VEZEL(ヴェゼル)」を12月20日から発売を開始すると発表した。
VEZELは、SUVの力強さ、クーペ的なスタイリング、ミニバンの使いやすさ、さらに優れた燃費など、ジャンルの枠を超えるクロスオーバーカーで、ハイブリッド車とガソリン車をラインアップし、それぞれに4WDを設定している。なおVEZELという車名は宝石のカットした面を表すBEZELとビークル(Vehicle)を合成した造語。
ヴェゼルは小型クロスオーバーカーで、Cセグメントの日産デュアリスやスバルXVがライバルとなる。ヴェゼルのプラットフォームは「フィット」と共通で、グローバル市場をターゲットとした新型車だ。なお同じプラットフォームを使用する4ドアセダン「シティ」(国内未導入)もグローバルモデルの一角、特にアジア市場を担う役割も受け持っている。なおアジアンカーの4代目「シティ」は11月末にインドで発表されている。
エクステリアのデザインはSUVの力強さと、クーペのあでやかさを上質に磨き上げたとしている。「Dynamic Cross Solid」をコンセプトに、SUVの安定感のあるロアボディとクーペライクなアッパーボディという、二つの塊を融合させ独自の存在感を主張する。
上級グレードのヘッドライトは片側2灯のLEDを採用。さらに、ハイブリッド全車のリヤコンビネーションランプにLED導光ストライプを採用し、ワイド感を高める先進的で上質な表現になっている。
またクーペライクなデザインのためリヤのドアハンドルは、ウインドウ部に設けているのも日本車では珍しい。ボディサイズは、全長4295mm、全幅1770mmで、Cセグメントとしてジャストサイズにしているが全高は1605mmで立体駐車場には適合していない。また最低地上高は185mm(FF)、170mm(4WD)で、日産デュアリス(205mm)、スバルXV(200mm)と比べSUVとしては少し低めの設定としている。
インテリアは「Expansible Cockpit」をコンセプトに、広さとパーソナル感、質感の高さを追求している。
手に触れるほとんどの箇所にソフト素材を採用し、要所にはクラフトマンシップを感じさせるステッチラインを施している。また、全タイプのフロントマップランプとルームランプにLEDを採用するなど、クラスを超えた質感を徹底的に追求している。
ハイデッキセンターコンソールにはドリンクの長さに応じて、底面を押し下げることで深さを可変できる、マルチユーティリティ・ドリンクホルダーを設置。 リヤ席は ミニバン並みの膝まわりの空間を確保。 上級セダンと同等の座面長としたシートバック角度を最適化など、安心感が高く、ロングドライブでも疲れにくい着座姿勢を実現している。
また、都市部での取り回しの良さを追求し、競合車と同じ最小回転半径5.3mとしている。 フロントの着座位置は見晴らしがよく安心感がある絶妙なアイポイントの高さに設定し、フロントピラーの幅と角度を最適化することで広い視野角としている。
ラゲッジルームは、低く広くスクエアなフロアとすることで、優れた使い勝手を実現。荷室容量は404Lを確保し、またリヤ席を使用している状態で一般的なゴルフバッグを3個まで横積みで搭載できる。
ボディは骨格構造にアウターパネルを溶接するインナーブレーム式を採用。更にテールゲート開口部や前後サスペンション取り付け部、ダッシュロアクロスメンバーなどの補強を行ない、走りの質感を高めている。ボディ材料には52%が高張力鋼板を、その内20%は超高張力鋼板とし、軽量化と高剛性を両立させている。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤはFFがトーションビーム式、4WDはドデュオン式としている。フロント・ダンパーは振幅感応型で、入力に応じてリニアな減衰力を発生するタイプで、さらにリバウンドスプリング内蔵式を採用し、伸び側の浮き上がり感を抑制している。
運転システムでは、電子制御パーキングブレーキを全タイプに標準装備している。スイッチを押すとブレーキペダルをリリースしてもホールドし、アクセルペダルを踏み込むと自動的に解除するようになっている。また燃費によい運転をアクセルペダルで知らせるリアクティブフォースペダルを、ハイブリッド車の全タイプに標準装備している。アクセルの踏み込み過ぎをペダルの反力を通じて抑制するというものだ。
パワートレーンはハイブリッド車には、新世代ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID(スポーツ ハイブリッド) i-DCD」を搭載し、1.5L直噴エンジン(132ps)と高出力モーター(29.5ps)との組み合わせで2.0Lエンジンに匹敵するパワーを実現している。燃費も1300kgの車重を切るベースグレードは27.0km/L(上級グレードは21.6~23.2km/L)と国内クラス最高燃費を達成している。
ガソリンエンジン車は1.5L直噴エンジン(131ps)+新世代CVTの組み合わせで、燃費は19.0km/L~20.6km/Lと高いレベルになっている。
また、電子制御により緻密に前後輪のトルク配分をコントロールする4WDシステム「リアルタイムAWD」をガソリン車、ハイブリッド車に設定。ホンダとしてはハイブリッド車には初搭載となる。