ホンダシビック試乗記(1.5L VTECターボ+CVT、6MT FF)

ホンダシビックが11代目にフルモデルチェンジをし、CVT、6MTに試乗してきたので早速お伝えしよう。

6MTも用意された新型シビック

シビックは約50年まえから続くホンダの老舗ブランドで、軽自動車を少し大きくした大衆車としてデビュー。しかしながらスポーティなRSモデルも設定し、スポーツドライブも楽しめるホンダブランドを表現するモデルとして人気を博してきた。

その後、フィットの誕生でそのポジションを譲り少しサイズアップしたシビックは、北米での人気も高まり主に北米中心での販売という時期もあった。しかし先代の10代目シビックからは国内販売を復帰し、そして今回の11代目フルモデルチェンジを迎えたわけだ。

1.5Lターボエンジン搭載

試乗したモデルはいずれも1.5L VTECターボのパワーユニットにCVTと6MTを搭載したモデルで、2022年にはe:HEVとType Rの発売が予定されている。つまり今回試乗したモデルは、ベーシックモデルなのだが、MT車をラインアップしているところがシビックらしいとも言えるのだ。

だからシビックは走りが自慢で、実用性を兼ね備えたハッチバックという位置づけだ。ボディサイズは全長4550mm、全幅1800mm、全高1415mm、ホイールベース2735mmで、Cセグメントプラスの大きさになる。

さて、試乗したエリアは八ヶ岳周辺のワインディング・ロードと高速道路。CVTは全開加速ステップアップシフトやブレーキング時のステップダウンシフト制御などが入り、CVTのネガな部分はほとんど感じることはない。パドルシフトを使い、スポーツモードでのドライブはステップATと同等と感じるレベルだ。一方6MTはショートストロークでシャカシャカとシフトが決まり小気味よい。

ワインディング走行で最も気持ちよく感じたのは操舵フィールだ。ステア操作に対して無駄な動きのない旋回は爽快だ。少しの操舵で回頭が始まりジワリと切り戻すときの車両の追従性の高さ、リヤタイヤの接地感を感じさせる味付けも加わり、コーナリングが気持ちいい。

こうした特徴はまさにスポーティドライブを得意とするモデルならではなのだが、シビックという大衆車カテゴリーでもそうした味をもたせているのがホンダらしさと言えるのかもしれない。

どことなくメカメカしさ雰囲気がある新型シビック

そのためなのか、サスペンションはハイスピードコーナリングでは気持ちよく狙い通りのライントレースを満喫できるが、40km/h付近での常用域では乗り心地が硬いと感じる。ここは意見の分かれるところで、ヒョコヒョコした動きを「らしさ」として捉えるドライバーであれば「ちょうどいい具合」と評価するだろう。だが、助手席や後席では硬さやヒョコヒョコする動きは歓迎されない。どのあたりが落とし所なのか判断が難しいと思うが、シビックはやはり走りを大切にしたという仕上げだ。

そうしたスポーティさを持ちながら静粛性は高くキープされている。高回転まで回したときでもエンジン音の入り込みは少なくまた、音質もソフトに感じる音なので気分良く走行できる。そしてしっとりとした乗り心地も場面場面で感じることができる。とりわけ高速道路では静かにしっとりとした乗り心地を提供し、長距離移動が得意なコンパクトサイズという一面も確認できた。

Z世代に響くか

インテリアではハニカムデザインの空調口が新鮮で、カッコいい。また乗り込んですぐに感じるのはドラポジの低さだ。FFのコンパクトサイズの場合、アップライトなシートポジションをとり、スペース確保につなげていくのが常套手段。が、走りを考えればより低くが理想であり、フェンダー後端を下げて低いポジションとしても前方視界がよくなる工夫を取り入れている。

ハニカムデザインがコクピットの水平基調を強調する

そのためフロントウインドウ越しの視界はクリアで、ワイパーブレードも視界には入らず邪魔なものが一切ないすっきりした視界が確保できている。もっともこの視界に対する考え方はホンダ車全般に言えることで、視界の良さも安全ドライブの要因と考えているホンダらしさと言えるだろう。このスポーティな走りを持ち味とするなら、シートはもう少しスポーティ仕様が好ましいとも感じた。

エクステリアはハッチバックスタイルというよりファストバックデザインだ。リヤハッチが開く5ドアスタイルで、非常にスタイリッシュに見える。標準装着される18インチサイズのタイヤもホイールも走りを予感させ、スポーティな印象だ。

ライバルとなるであろうゴルフ8と比較してみれば、スポーティ度はシビックだ。ゴルフはエントリークラスで16インチ、上級グレードでも17インチであり、前述のヒョコヒョコした動きはまったくない。反面、操舵フィールやライントレースの気持ちよさという点ではシビックのほうが爽快感はあった。

安全装備や運転支援システムではレベル2のアシストを試してみた。が、交通量が少なく前車への追従性や車線変更をしたときの加減速のレスポンス、違和感などのテストはできなかった。そのため単独走行での運転支援機能テストになったが、安定した走行をし、単調なドライブシーンでは大いに役立つことは実感できた。もちろん、システムとしてはアダプティブドライビング ビームやオートハイビームなどを備えた最新のホンダセンシングは搭載されている。

CVT。スポーティに走りラバーバンドフィールを感じるこはない

新型シビックのグランドコンセプトは「爽快」、カスタマーターゲットは「Z世代」。爽快なのは走りで明確に体感。デザインでも同様に感じることができると思う。そしてZ世代に響くのか。SNSやスマホがデフォルトであり、DX(デジタルトランスフォーメーション)への期待も高い世代だ。初代RSデビュー時、免許取得年齢に満たない筆者には響いた。時代は繰り返せるか。<レポート:髙橋明/Akira Takahshi>

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今回の記事は、 FMヨコハマの番組「THE MOTOR WEEKLY」でもピックアップ。

radikoでも 10月2日まで お聴きいただけます。

https://radiko.jp/share/?sid=YFM&t=20210925200000

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