ホンダは2022年4月27日、モビリティサービスの新たな取り組みとして、ホンダ・ジェットを含む様々なモビリティを活用し、国内の中長距離移動をより便利で快適にする事業の検討を開始すると発表した。今後ユーザーの受容性検証や事業化に向けた課題抽出を目的として、2022年中にデモフライトを含む概念実証を開始する計画だ。
新たなモビリティサービスは、従来のクルマを中心としたモビリティの範囲を超えた本当のMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に対する挑戦だ。ホンダ・ジェットなどビジネスジェットは、移動時間の短縮や自由なスケジュール設定、プライベート空間の確保が可能なことから、ビジネスシーンなどで広く活用されており、利便性が高い移動手段として世界的に認知されている。
一方、日本ではビジネスジェットに対する社会的認知の低さやインフラ・サービスの未発達により、アメリカなどの欧米諸国と比較して規模が小さく、発展途上にある。そうした中、自由な移動の喜びの拡大を目指すホンダは、これまでグループで培ってきた航空関連事業に関する知見に加え、2輪・4輪ビジネスでの豊富な経験を活かした新たなモビリティサービスの検討を開始したのだ。
日本には、定期航空路や長距離鉄道などの公共交通による移動が不便な地方都市の組み合わせが多く存在するが、そうした都市間を、ホンダ・ジェットを活用しながら結ぶことで、移動の大幅な効率化や地方活性化、遠隔地医療への対応などにも貢献することが可能と考えられている。
また、ホンダ単独ではなくモビリティサービスに関連する事業者や地方自治体などと連携し、陸上移動や目的地でのアクティビティを含む、一貫した移動体験を可能にすることも検討されている。
「所有」から「利用」へとビジネスジェットの可能性を広げ、出発地から目的地までの移動に必要な諸手続きの手間の削減、モビリティ間の乗り継ぎの非効率さなどを改善し、より自由で快適な移動の実現を目指す新たなアプローチだ。
こうしたサービスの事業化検討を加速させるために、関連事業者や地方自治体などの事業パートナーと連携し、主にビジネスユースを想定した、デモフライトを含む概念実証を2022年中に開始するとしている。