F1レースに挑む20歳 角田裕毅選手がオンライン会見

今シーズン、アルファ・タウリ・チームに所属しF1選手権シリーズに初参戦する注目の角田裕毅(つのだゆうき)選手が、レース開幕を前に初めてのオンライン会見を行ないました。

角田裕毅選手は、3月12日~15日の3日間にわたって開催されたバーレーン・サーキットでのプレシーズン公式テストでは、レッドブル・レーシング・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手につぐ2番手のタイムを記録して、注目を浴びました。

3月16日に、2021年シーズン用の新開発エンジンについて会見した、ホンダのF1プロジェクト責任者浅木LPLは、公式テストにおける角田選手の健闘について、「速いドライバーは、われわれの精神構造と違うものがきっとあるので分からないが、やはり言ったことをやって来ているところ(実績)を見ると、これまでの日本人のF1ドライバーではなかなか見たことがないような結果を出してくれそうだし、実力もあると考えています」と答えています。

角田裕毅選手の経歴

角田裕毅選手は2000年生まれで神奈川県の出身です。幼少期からカートレースに出場し、4輪レースのライセンスを取得後、2016年に16歳で鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS-フォーミュラ アドバンス)に入校し、スカラシップを獲得。デビュー戦のスーパーFJ岡山シリーズに初出場し、初優勝。スーパーFJ日本一決定戦、ドリームカップFJレースでも優勝を果たしています。同時にFIA-F4選手権にも参戦。

2017年は、FIA-F4選手権にステップアップし、シリーズ3位となりました。2018年からはホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)の育成ドライバーとなり、FIA-F4選手権シリーズでシリーズ・チャンピオンを獲得。そしてハンガリーで開催されたF3合同テストに参加し、トップタイムを記録したため、レッドブル・ジュニアチーム所属選手に選抜されています。

その結果、2019年からは新たに発足したFIA F3選手権(FIA-F3)シリーズにヨーロッパのチームに所属して参戦し、シリーズ9位に。そして2020年はさらに上位のFIA F2選手権にステップアップ。F2シリーズではポールポジション4回、優勝3回を記録してシリーズ総合3位となっています。

そして2020年11月には、アルファ・タウリでF1ルーキーテストに招待されました。旧型F1マシンに乗り、F1のフリー走行へエントリーするために必要な条件である合計300kmを走破し、F1に乗ることができる資格を獲得。F1ドライバーのライセンス資格である「スーパーライセンス」を取得しました。

これらの資格を得たことで、12月16日に正式にアルファ・タウリ・チームから2021年シーズンのF1出場が決定しました。7年ぶりの日本人F1ドライバーであり、しかも20歳という若さでの夢の実現です。ちなみに現在のF1ドライバーの中でも角田裕毅選手は最も若いドライバーとなっています。

角田裕毅選手は語る

バーレーンでの公式テストを終えた角田裕毅選手は、イギリスのロンドンの近郊に位置するミルトンキーンズの自宅からオンラインで会見に臨みました。ちなみにミルトンキーンズは、ロンドンの北西80kmに位置し、シルバーストン・サーキットも近い距離にあり、レッドブル・レーシングの本拠地、ホンダのF1活動を支えるHRD-UKも所在しています。

角田選手も、「普段はレッドブルのシミュレーターに通うので、近い場所ということでここに決めました」と語っています。現在のF1レースは、チーム独自でのテスト走行は禁止されているため、シミュレーターを駆使してマシンの開発やセッティングを行なっています。言い換えれば、シミュレーター装置と直結するマシンのデータベースが機能していないとF1マシン開発は不可能というわけです。

さて、公式テストの様子を語ってもらいました。

「3日間のテストで、1日目と2日目は新しいマシンに慣れることを目指していましたが、1日目は燃料タンクのトラブルが出て少ししか走れず、2日めもマイナートラブルが出て、満足に走れませんでした。そして3日めはやっと走り込みができ、決勝レース、予選を想定した走りができました」

●マシンのフィーリングに関して。

「今年の新しいクルマに乗ってすぐ感じたのはステアリングがパワステで、ノンパワステのクルマに比べてタイヤのグリップやダウンフォースなどが伝わりにくく、ハンドルを曲げすぎてしまう感じでした。チームに改善するようにお願いして、ステアリングのフィーリングは良くなりました」

●結果的に最終日で全車中の2番手のラップタイムを記録。

「テストとはいえトップ3に入れたのはうれしいし、自信にもつながる。でも他のチームはどの燃料を使うかなど、チームによってやってることが違うので、一概に喜んでばかりではないです。自分としては走るたびにペースを上げていくことができ、走りに集中できました」

●テスト走行を通しての感想。

「バーレーンのサーキットの特長として風が強く、その風がF1には大きく影響することがわかりました。他のサーキットはそんなに風が強いことはないのですが、バーレーンではコーナーに進入する時に向かい風だとグリップが増えるが、コーナーの出口で追い風だとダウンフォースが抜けて滑り気味になってしまう。だからコーナーごとに走り方を変えていく必要があり、アクセルワークに気をつけないといけなといったことが課題です」

●レースに出場する角田選手自身の特長について。

「長所はブレーキングとオーバーテイク(追い抜き)だと思っています。コーナーの入りもブレーキから始まるのでブレーキングは重要だと思います。オーバーテイクは公式テストで1回だけ決勝シミュレーションでやることができました。DRSの効き方やブレーキングもこれまでのマシンとは違いますが、体験できたことで自信を持ってオーバーテイクできます」

●他のフォーミュラカーとは比較にならないほどF1は強大な横Gが加わり、ドライバーの身体にダメージを与えますが、どのようなトレーニングしているのか?

「身体系のトレーニングでは特に首を重点的にやっています。初めてF1に乗ったときは負荷がかかって20周とかで疲れを感じるほどでした。そこで体幹と首を鍛え、バーレーンのテストではそこまで疲れなかったです。バーレーンでは54周連続走行しましたが、体力面での問題は感じなかったです。ただ、バーレーンは首にもそんなに負荷がないコースなので、他のサーキットを考えるとこれからもトレーニングは必要です」

もう一つの興味深い点は、オフタムの過ごし方です。イギリスは新型コロナウイルスの影響で街がロックダウンされています。

「オフのときは日本の友達とオンラインゲームをやっています。ウェイクボードとかゴルフとか好きだけど、ロックダウンで外に行けないので、ゲームしかしていないです。あとはずっとトレーニングです」

●興味深いのは、友達たちとチームプレイのオンラインゲームをやっていること。

「レースでもよく予選で自分がプッシュしてアタックしている周にミスしたり、前にじゃまなクルマが出てタイムを出せなかった時にに熱くなりやすく、無線で叫んだりしてしまうのですが、ゲームでもうまく行かないと叫んだり、コントローラーを投げたりしてしまう。だから、できるだけ、自分をコントロールすることを心がけながらゲームをしていて、より集中力を高めることを目指しています」

●さて、いよいよ迎える本番について。

「開幕戦の目標は特にないけど、ポイントを取れるようにがんばるしかない。まだF1でのレース経験がないので、今持っているパフォーマンスを出し切って、ミスを恐れず攻めていきたいし、そこでミスをするとは思うけど、それを第2戦以降で改善していく。今持ってるパフォーマンスを出し切れるようにしてプッシュして走っていきたいと思っています。また、鈴鹿は自分は知り尽くしているところなので、良い結果が出ることを楽しみにしています」

角田裕毅選手は、最も若い年齢で、驚くほど順調に4年間でステップアップし、F1にまで短時間での登り詰めている。そういう意味で他のドライバーとは別格といえます。ただ逆に言えば、逆境や厳しい状態を経験していないのは、ある意味でハンデなのかもしれません。

また自分でもある程度認識しているようですが、攻撃的なドライビングスタイルで、それがうまくできなかった時のカッとなる反応は、若いからこそともいえますが、1時間半にわたって自分一人で走り切るF1では、やはりレース全体の流れを読む戦略眼が求められます。周囲の期待はきわめて高く、そうした期待を背負いながら、いち早くF1グランプリの世界に溶け込むことを願いたいところです。

レッドブル・レーシング 公式サイト


The Mortor Weekly

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