2013年3月29日、ホンダは今年中に発売される新型モデルに採用される安全関連技術を発表した。その内容は、新型アコード・ハイブリッドに採用されるインターナビを使用した「緊急通報システム」、新型フィットに採用されるインターナビを使用した「安全運転コーチング」、同じく新型フィットに採用される「事故回避支援システム」だ。
■緊急通報システム
「緊急通報システム」は2013年夏に発売予定の新型アコード・ハイブリッドから採用され、今後は他車種にも拡大させるとしている。このシステムは事故の衝撃でエアバッグが作動した時、救急救命に役立つ情報をHELPNETに通報し、専門のオペレーターが迅速に消防や警察に出動を要請するというもの。
ホンダの緊急通報システムは、GPSの位置情報に加え、開いたエアバッグの種類、何km/h減速したか、多重衝突であるのかも通報する。事故状況の詳細の伝達が迅速かつ正確になり、ドライバーからの口頭説明と合わせることで、より的確な救急救命につなげるシステムだ。
ナビ画面上での操作により手動でも通報できるため、急病など事故以外の緊急事態時にも使用できる。従来は高級車にのみ装備されていたシステムだが、ホンダはインターナビを利用してより幅広い車種に展開するようだ。なお、このシステムはインターナビ・リンク プレミアムクラブ会員登録が必要となっている。
■安全運転コーチング
自動車の人身交通事故のうち、人的要因による事故は安全不確認など危険の過小評価によるものが全体の半分以上を占める。そのため、「安全運転コーチング」は、フローティングカーデータを活用して検出された急減速が多発している信号機のない交差点に接近すると、それをドライバーに事前に知らせ、安全確認を促すことにより、交通事故の防止を目指すというものだ。また、交差点を通過した際の運転診断結果をスマートフォンやパソコンでいつでも詳しく振り返ることができる機能も持ち、安全運転の習得を支援するという。
安全運転コーチングは、車載用ホンダ純正ナビとスマートフォン用アプリの両方で使用することができる。
この「安全運転コーチング」というスマートフォン用アプリでは、交差点における潜在的な危険性を事前に知らせるため、危険性のある交差点への接近速度に応じて音声でドライバーに注意を促すアプリだ。また、安全運転に対する意識の向上を促すため、危険性のある交差点を通過する際に運転診断を行い、一時停止とスムーズな加減速を行った場合には安全への配慮ができた運転であることをドライバーに音声で知らせる。その運転診断は、スマートフォンで検知した速度や加減速の情報を用いて行うようになっている。
車載用ホンダ純正ナビでは、インターナビ・ルート誘導中に危険性のある交差点へ近付いたとき、音声とディスプレイ上の表示でドライバーに知らせる。
なお危険性のある交差点は、ホンダ・インターナビのフローティングカーデータから検出された急減速の確率が高く、信号機のない交差点が登録されている。
また安全運転に対する意識の向上を促すため、乗車中に限らずいつでもスマートフォンやパソコンで交差点における走行実績の評価と運転アドバイスを確認し、採点機能で自分の運転を詳しく振り返ることができたり、アドバイス機能も備えている。
■事故回避支援システム「City-Brake Active System」
ホンダは、ぶつからないクルマ、つまり予防安全技術の事故回避支援システム「City-Brake Active System」を開発した。このシステムを、乗車定員保護技術であるサイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグと合わせて、安全装備を充実させた「Safety Package」(仮称)として設定し、2013年発売予定の新型「フィット」に適用するという。
City-Brake Active Systemは、フロントウインドウ上部に設置したレーザーレーダーが前方車両を認識し、約30km/h以下で走行中に追突の危険性が高いと判断した場合は、ブザーとメーター内のインジケーター表示が点滅して警告。ドライバーが減速しなかった場合には自動的にブレーキがかかり、追突を回避もしくは追突時の衝撃を軽減するシステムだ。
また、停止中や約10km/h以下での走行時には、前方約4m以内に障害物がある状況でアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いなどによって必要以上にアクセルペダルを踏み込んだとシステムが判断した場合、ブザーとともにメーター内のインジケーター表示が点滅し、警告を促し、エンジン出力を制御して発進を抑制する誤発進抑制機能も備えている。
■インターナビ「SAFETY MAP」
ホンダは3月29日から、インターナビから収集した急ブレーキ多発地点データと、交通事故情報および地域住民などから投稿される危険スポット情報を地図上に掲載した「SAFETY MAP」を一般公開した。
SAFETY MAPは地域住民、小・中学校や企業などの団体が地域の安全活動に活用できることを目的としたソーシャルマップで、急ブレーキ多発地点や事故多発エリア、危険ゾーンなどの情報に加え、「見通しが悪い」、「飛び出しが多い」など一般投稿された危険スポット情報を地図上に掲載するものだ。