2011年10月27日、東京・青山のホンダ本社で開催されたフリード/フリードスパイク、インサイトのマイナーチェンジ発表会後のサプライズとして、ホンダの新たな軽自動車「Nシリーズ」のお披露目が用意されていた。さらに10月31日からは、同社のホームページでも先行公開を開始した。
具体的には、同社の峯川尚常務執行役員から、ホンダの次世代軽自動車「N BOX(エヌボックス)」の概要と原寸大モックアップが発表されたのだ。今回展示されたのはモックアップモデルだが、峯川役員は12月に開催される東京モーターショーにはNシリーズとして出展することも示唆。さらにN BOXについては、12月末には発売予定だという。
N BOXはエンジンやプラットフォーム、シャシーまですべてを刷新した次世代軽自動車として紹介され、きわめてコンパクトにまとめられたパワートレイン、燃料タンクのセンターレイアウトによる軽自動車トップの広い室内空間など、ホンダのMM思想を原点から問い直したモデルとなっている。そして、このN BOXを先頭に今後はNシリーズを展開するとしている。
なお今回採用した「N」の名称の由来だが、ホンダの軽自動車の原点であるN360のNをキーワードにしたという。このNの文字にはホンダが原点に立ち返り、これからの時代に新たな価値を生み出していく思いが込められているという。
ちなみに、これまでのホンダの軽自動車はすべて八千代工業が生産しており、社内的にも技術開発や投資が滞っていたことは否めず、市場でのシェアも低下傾向にあった。しかしホンダは新体制として、新しい軽自動車の生産は鈴鹿製作所で行うことを決定し、鈴鹿に軽自動車専用のラインを建造。2012年から本格稼動するとしている。
新たなNシリーズは新開発の軽自動車用エンジン、新CVT、アイドリングストップを装備し、クラストップの燃費性能を狙っているのは明らかだ。また大幅な軽量化や、コストダウン技術も盛り込まれていると考えられる。
ホンダの軽自動車、N360は1967年から1972年まで販売された軽自動車のベストセラーで、ホンダが2輪メーカーから自動車メーカーに成長する基礎を作った記念すべきクルマだ。もっとも、N360登場以前にスポーツカーのS360→S500、トラックのT360は販売されたが、いずれも量産モデルとしては大きな成功とはならなかった。N360は当時の2ストロークエンジンが主流の軽自動車にあって、圧倒的な高出力の4ストロークエンジンを搭載してデビューし、一躍ベストセラーになったのだ。
第1弾のN BOXはトールワゴンであるが、今後のホンダはこのプラットフォームを使用してNシリーズを展開していく路線だ。そして最終的には、ホンダの軽自動車のシェアを往年のレベルまで回復することを目標にしている。
なお、ホンダのホームページでは、10月31日から新型軽乗用車「N BOX」の情報を順次公開していく予定だ。先行情報ページのアドレスは以下。
http://www.honda.co.jp/N/