ダイハツ 「ブーン」がフルモデルチェンジ 基本性能を向上させ軽自動車に匹敵する価格を実現

ブーン シルク
ブーン シルク Gパッケージ SAⅡ

2016年4月12日、ダイハツは3代目となる新型ブーンを発表、発売を開始した。ブーンの初代モデルは2004年にストーリアの後継モデルとして登場。トヨタとの共同開発モデルのためダイハツではブーン、トヨタではパッソとして発売された。2代目は2010年に登場しているが、今回6年振りのフルモデルチェンジを受け3代目として登場した。

3代目の開発コンセプトは、「街乗りスマートコンパクト」だ。現在ではブーンのようなAセグメント・ハッチバックは、コンパクトクラスのハイブリッド車と、大きな市場を誇る軽自動車の狭間に位置し、その存在価値が問われている。そのため新型ブーンは、ダウンサイーザーにとって「小は大をかねる」、軽自動車ユーザーには「やっぱり小型車はいい」と感じられるようなコンパクト・ハッチバックを目指して開発している。

■軽自動車技術を採用?!

ブーン シルク Gパッケージ SAⅡ
ブーン シルク Gパッケージ SAⅡ(ツートーンルーフ・オプション)
ブーン X Gパッケージ SAⅡ
ブーン X  Gパッケージ SAⅡ

新型ブーンは、従来型のプラットフォームを大幅に改良し、軽量・高剛性にした上で、軽自動車で開発されたe:S(イース)技術を採用。つまりダイハツの持つ軽自動車の技術を全面的に投入しているわけだ。

81.ブラックマイカメタリック×ダークエメラルドマイカ<XE3>77.ホワイト<W09>

ブーン シルク Gパッケージのインテリア
ブーン シルク Gパッケージのインテリア

4.Boon CiLQ Gパッケージ・SAⅡ シート

目指したのは、ガソリンエンジン車でNo1となる燃費性能28.0km/Lを実現。コンパクト・サイズを守りながらクラストップの室内の広さ、フラットで上質な乗り心地、そして走る、曲がる、止まるなど基本性能の向上、また、デザイン面では軽自動車と同様に2フェースを展開し、ベーシックな標準モデルと、より上質感のあるカスタムモデルを展開している。

車種は標準モデルのブーンと、よりスマートで質感の高いブーン・シルク(CILQ)の2車種をラインアップ。2WD、4WDをそれぞれに設定している。またベースグレード以上にはスマートアシストⅡを標準装備している。

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■軽自動車技術を採用?!

ボディサイズは全長3650mm(ブーン・シルクは3660mm)、全幅1665mm、全高1525mm(-10mm)、ホイールベースは2490mm(+50mm)。またフロント・トレッドは10mm拡大されている。パッケージングとしては、ホイールベースの延長、リヤシート位置の後退により前後シートの間隔が75mm拡大され、クラストップの室内空間を実現している。またフロントトレッドの拡大を生かしタイヤの切れ角を増大させ、最小回転半径4.6mと軽自動車に匹敵する小回り性を確保している。

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プラットフォームは従来型の改良版で、より軽量化と高剛性化を図ってる。アッパーボディの一体サイドパネルを高張力鋼板製にして骨格部の補強箇所を少なくしている。フロント・フェンダーやリヤハッチは樹脂(ポリプロピレン)で成型し構造内部はFRPとしている。

燃料タンクはコペンで採用した樹脂製とするなど、軽自動車で採用した技術を流用し軽量化、低コスト化を図っているのだ。車両重量は従来型と同じ910kgだが、約50kgの軽量化は剛性向上のために使用されている。

またボディ全体の空力性能も追求され、ボディ細部まで空気抵抗を抑えるデザインを徹底し、従来型よりCd値を低減させている。衝突安全性能は、日本での安全試験(JNCAP)で最高ランクとなるレベルとしている。

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■クラス最高の省燃費パワートレーン

エンジンは従来からの1.0L・3気筒の1KR-FE型だが、e:Sテクノロジーを全面導入し、従来型からのアトキンソンサイクルを継承しながら、吸気ポートをY型から完全独立デュアル・ポート/デュアルインジェクターに改良し、吸気抵抗の低減と吸気流速の向上、タンブル流の強化を図っている。また低中負荷時にはより大量のEGRを導入できるようにしていることもポイントだ。

圧縮比は12.5まで高め、最高出力69ps、最大トルク92Nmを発生。また4WD用は減速時に9km/h以下でエンジンが停止するアイドル・ストップを採用してエコカー減税対象車としている。燃費性能はFFモデルが28.0km/L、4WDは24.4km/Lとクラス最高で、ガソリン・エンジン車でNo1の低燃費を実現している。

トランスミッションは全車CVTを採用しているが、スロットル特性の改良、上り坂判定制御などを採用し、日常でストレスの少ない加速性能を引き出しているという。

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■シャシー

サスペンションはフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式だが、フロントダンパーはシリンダー径、ロッド径を拡大し乗り心地を向上。またFFモデルは前後にスタビライザーを装備し、さらにダンパーの減衰力、ばね定数、ブッシュのチューニングを行なうことで、ピッチングを抑え、フラットな乗り心地やふらつき感のない安定感のある走りを実現している。

また乗り心地に影響を及ぼすシート設計も、で採用した新シート構造をさらに改良し、サイドサポート性を高め、骨盤周りの支持性能を向上させることで、疲れにくい安定したドライビングポジションを作り出している。

ステアリング系は特に剛性感を向上させている。Aピラー間のメンバー剛性の向上、ステアリングコラムの支持剛性の向上、さらにコラムチューブの剛性を高めるなど大幅な見直しにより、走行中のステアリング振動を抑制し、操舵時の剛性感を高めている。

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室内の振動・騒音に対しては、特に発進加速や市街地走行時を重点的に対策。ボディ細部に遮音・吸音対策を行ない、車内騒音はクラストップレベルを達成している。

ドライバー支援システムは、すでにダイハツ車に採用されているレーザーセンサー、カメラ、ソナーを組合わせた「スマートアシストⅡ」をブーンにも新採用。衝突回避支援ブレーキ、車両、歩行者に対する衝突警報、車線逸脱警報、誤発進抑制制御、先行車発進通知という5つの機能を持っている。

35.マルチインフォメーションディスプレイ&エコインジケータ
マルチインフォメーション・ディスプレイ
シートリフター
シートリフター

新型ブーンは基本性能のレベルアップ、低燃費、ドライバー支援システムの採用、さらにデザイン・テイストの異なる2車系の展開といった商品力の向上を図りながら、エントリーモデルで115万円、最上級グレードで185万円とし、軽自動車に対する競争力を持ったコンパクトカーとしている。したがって、今後のコンパクトカー作りの新たな基準になる可能性を備えたニューモデルということができるだろう。

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