【ダイハツ】軽バンEV時代が来た e-アトレー試乗で見えた“働くEV”の実力

ダイハツ、トヨタ、スズキで共同開発した軽自動車企画の商用EVバンに注目してみたい。2026年2月2日にダイハツはe-ハイゼットカーゴとe-アトレーを発表し、同日トヨタはピクシス・バンEVを発表。スズキは3月9日にeエブリイを発表している。

EVシステムは、この3社の共同開発でボディ、シャシーなどはダイハツが製造する方式で作られている。詳細な情報は既報しているので、そちらの記事をご覧いただきたい。

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今回その実車を試乗し、エンジニアにも話を聞くことができたのでお伝えしたい。

まず、試乗したのはe-アトレーで都内を1時間ほどドライブ。途中、勾配20%の坂も登ってみることができた。アトレーは乗用、商用を兼用できるキャブオーバー型の軽自動車で、広い荷室を持つ軽自動車として人気が高いモデルだ。

バッテリーはLFPで床下に36.6kWhの容量を搭載しているので、全体に重量増となっているが、EV特有の、ひと転がりから最大トルクを発揮できる特性のため、車両重量の重さを感じる場面は少ない。エンジニアによればe-ハイゼットカーゴも350kgのフル積載で35%の勾配を走行できる性能を持たせたというように、パワフルな軽自動車なのだ。

バッテリーは床下にサイドメンバーで挟むように搭載

逆にアクセルを全開で踏み込むとドカンと加速するEV特有のトルクの出方は押さえ込まれており、エンジン車に似た加速にとどまっている。これもエンジニアによれば、荷崩れを考慮し急な加速はしないようにプログラムしたという。とはいえ、低速域や中間加速ではEVのメリットを活かしレスポンスの良いトルクフルな加速はするので、市街地や幹線道路でも運転しやすいのだ。

軽貨物車で積載した状態で加速させると、「エンジンが頑張ってるな」という印象になるが、EVになるとそうした印象はないというわけだ。

また軽貨物ゆえに、あえての制御としてパドルシフトやBモードなどの任意の回生ブレーキがないのだ。エンジニアによるとエンジン車からの乗り換え用として開発しているので、エンジン車と同じような加減速が望ましい、というのだ。

スペックで言うと0.13Gの減速Gでストップランプが点灯する規則があり、エンジン車のエンジンブレーキはおおむね0.05G。一方でe-アトレーは0.08Gに設定しているという。すなわち、2速、3速の中間くらいの減速Gのイメージだ。

また駆動モータをリヤアクスルに搭載しているため、回生ブレーキもリヤタイヤだけで行なわれるわけで、滑りやすい下り坂でフル積載といった状況から、リヤタイヤだけにブレーキがかかる状況では、車両姿勢が崩れやすくなる。それを避ける意味も含まれているという。

したがって、加減速のフィールはエンジン車に似た感じがありつつ、トルクは太く、力強さは比較にならない頼もしさはある。また静粛性も当然エンジンより静かであり、閑静な住宅街の早朝や夜間の集配業務でドライバーが騒音を気にする気遣いが不要になるといったこともメリットが出ているわけ。インテリアは商用ベースのため、EVとはいえ外からの音は入り込み、タントやムーブとの比較をするレベルにはない。

ちなみに摩擦ブレーキは、フロントは冷却性の高いベンチレーテッドへグレードアップし、リヤは12インチへサイズアップをしている。このブレーキシステムはなんと専用装備という力の入れようなのだ。

さて、車載バッテリーは36.6kWhで航続距離は257km。軽商用の1日の走行距離は80%が100km未満というデータがあり、ヒーターを使っても140kmは走行できるため、十分な後続距離という設定値としたわけだ。大きいバッテリーを搭載すれば距離は伸びるが、単純に価格が跳ね上がるわけで、ちょうどよいってことだ。

さて、その駆動システムは、ESU(エレクトリック・サプライ・ユニット)=電力供給ユニットとインバータ、減速機、駆動モータが一体になった3 in 1ユニットになっている。それとLFPバッテリーで構成されており、ダイハツでは「e-スマートエレクトリック」としている。ちなみに3 in 1はデンソーとアイシンで電動駆動システムの企画開発を行なっているブルーe-ネクサス社から供給されている。

そうした駆動領域がエンジンからEVへと変更されたe-ハイゼットカーゴ、e-アトレーだが、商用としての機能も損なうことなく製造されている。例えば荷室容量はエンジン車と同一でフロアから地面までの高さも共通としている。そのため、エンジン車用にしつらえたアイテムをそのままスライド搭載することも可能になっているのだ。

便利機能で注目なのは100Vのアウトレットだ。インパネに100Vのコンセントがあり、すぐに車両の電源が利用できるのは使い勝手が良い。電動工具やファン付き作業着の充電やPC、スマホといった充電にも使えるため、働くクルマに欠かせない100Vコンセントを装備というわけ。

またケーブルを外に出せるようにサイドウインドウに装着するアダプターも開発されており、ドアロックしても電力だけ取り出すことができるのだ。もちろんV2Hにも対応できる仕様になっている。

車両価格においては、フリート向け補助金が2026年度は未定のため、詳細はないが前年度の例で行けば、黒ナンバー登録の場合、55万円の補助金のほかエンジン車との差分の2/3が補助金とされていたので、結果的にエンジン車と同等で購入が可能になるというのだ。そしてランニングコストは圧倒的にEVが有利なため、商用軽自動車はEVへのシフトが賢い選択ということになる。

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