2014年9月29日、ダイハツは、2014４年11月に発表予定の新型軽乗用車「ウルトラハイトワゴン」の技術概要を発表した。このウルトラハイトワゴンは、2009年、2013年の東京モーターショーにコンセプトカーとして出展した「DECA DECA（デカデカ）」をベースに開発したクルマだ。
ダイハツは、軽の本質をベースに車両特性に合わせた付加価値を追求しており、軽自動車の可能性を拡大すべく、「もっと軽にできること」をキーワードに、日常用途はもちろん、レジャー用途など多用途に使える新ジャンルの軽自動車を企画・開発した。
開発コンセプトは、軽自動車最大の室内スペース「ウルトラ･スペース」、見晴らしの良いドライビングポジション「ファインビジョン」、高さを感じさせない安心･安全な基本性能「ファン&リラックスドライブ･コンセプト」、圧倒的な荷室の使い勝手の良さ「ミラクルラゲージ」だ。
この新開発車は、スーパーハイトワゴン「タント」をベースにしているが、全高を1835mmとし、室内スペースは室内長2215mm、室内幅1345mm、室内高1455mm（室内高は軽自動車トップ）を実現している。この室内高のため、大人4人がゆったりと乗車でき、レジャー使用時に大人が車内で着替えるときにも、窮屈に感じることなく着替えができる。また地上からドア開口高までを1700mmとして、子供でも楽に乗り降りでき、大人も腰を曲げずに、ラクな姿勢で乗り込むことができるわけだ。
またドライビングシートの着座ポイントは、地上からの計測でタントより60mmアップし、より見下ろし感のある前方視界としている。視線の高さは1387mm（JM50:身長170cm）。フロントがよりアップライトになったため、フロントシートとリヤシートの間隔は20mm向上している。
ボディはタントのような左側センターピラーレスではなく、ピラー付きの両側スライドドアを採用。コンセプト的にタントは子育て世代向け、新型車はダウンサイザー向けの多用途車という違いがその理由だという。
エンジンはタント用と共通のターボと自然吸気版がラインアップされる。
サスペンションやボディ構造を進化させ、高さを感じさせない操縦安定性や乗り心地、さらに上質な室内空間とするため優れた静粛性を実現しているという。サスペンションはフロントダンパーロッドやリヤダンパーのサイズアップ、ウレタンバンプスプリングの採用やスタビライザーの標準装備などでロールを抑制している。
もちろんこの他に、ルーフパネルなどの板厚を薄くした他、外板の樹脂化で重心より上の部品を軽量化し、タントと比較して、全高85mmアップに関わらず、重心高は約10mmのアップにとどめている。さらにドアミラー基部と、テールランプ側部に空力フィンを採用し、直進安定性を向上させている。
パッケージングでは、リヤシート後方の大容量ラゲージアンダートランクを新設定している。リヤのアンダーフロア位置を下げることで約90Lの大容量ラゲージアンダートランクとし、350ccのビール缶24本入りのビール箱が2箱が積載でき、高い室内高と合わせれば、ベビーカーを縦に積むなど、リヤシートを畳むことなく、長尺物を積載することができるようになっている。
また荷室側からもリヤシートのスライド操作が可能なスライドレバーを設定。シート生地は撥水加工のフルファブリックシートを採用し、さらにリヤシート背面は塩化ビニール加工で、水濡れや汚れも簡単に拭き取りできるなど、レジャー用途にも配慮している。
この新型車の商品コンセプトは、ミニバン、コンパクトハッチバック･クラスからのダウンサイザーを想定した、日常の生活にもレジャーにも使うことができる多用途車だ。そしてダウンサイザーに不満が出ないように上級セグメント車を越える質感、静粛性、乗り心地など実現することが目標となっている。拡大を続ける軽自動車市場の中におけるウルトラ･ハイトワゴンという新たな提案モデルということで、大いに話題を集めそうだ。
