【ダイハツ】第3のエコカー、革新的軽自動車「ミラ e:S(イース)」を発売

ダイハツ工業は2011年9月20日、新型軽乗用車「ミラ e:S(イース)」を発表。同日より発売した。ミラ e:Sは、「第3のエコカー」というキャッチフレーズでティザーキャンペーンを行い、またe:Sテクノロジーの要素技術の概要を先行発表していたが、その原型は2009年東京モーターショーに出展された「e:Sコンセプト」に端を発している。

発売にあたり、車名はミラ e:Sと決定され、エコ(エコロジー+エコノミー)&スマート”をコンセプトに掲げて登場した。

↑全高1500mmはコペンに次いで2番目に背の低い軽自動車となる

全高1500mmには必然の理由と密かな狙いが…

ミラ e:Sのデザインはシンプル&クリーンをコンンセプトに、合理的・知的なエコイメージを感じさせることを目指した。フロントはバンパーとフードを大きくラウンドさせ、空気抵抗を低減しながら、彫りの深い立体的な表情とし、リヤはバンパーのサイド部にエアロコーナー型のデザインを採用することで同じく空気抵抗を低減している。リヤコンビネーションランプにはLEDを採用。またエンブレムは、e:S専用の「葉っぱ」をモチーフにしている。

↑ミラシリーズとは異なるインパネが与えられている

インテリアはシンプルで合理的なデザインの中に上質さ、新鮮さを表現。インストルメントパネルはベージュとブラックのツートーン(D、Lは除く)。シートは丸みのあるシンプルな形状で、肌触りの良いベージュのシート表皮をとなっている。

↑大人4人の居住空間としては十分なスペースを確保

パッケージング的には、全高を1500mmに抑えたところが最大のハイライトだ。燃費を稼ぐために空気抵抗を低減する効果はもちろんだが、これにより立体駐車場に余裕で入ることが可能になった。立体駐車場を意識したということは、従来のような地方市場だけでなく都市部の市場も狙っていることを意味する。最小回転半径も4.4mと小さく、日常での使いやすさを追求した設定になっている。

e:Sのプラットフォームはムーヴの改良版で、1920mmの室内長と1350mmのワイドな室内幅を実現。前後乗員間距離では930mmを確保し、大人4名がしっかり座れる十分な室内空間としている。


装備面ではオーディオには先進性を感じさせる自発光式デジタル表示や、金属調のフラッシュパネルを採用(Dを除く全車に標準装備)している。また車速に応じて、ワイパーの間欠スピードを自動調整する車速感応式フロント間欠ワイパーを標準装備(D、L除く)。安全面ではABSを全車標準装備とし、VSC(横滑り防止装置)もGとGfに標準装備されている。

驚異の燃費も革命ではなく、徹底的な磨き上げで実現

e:Sテクノロジー(Energy Saving Technology)を採用することで、ガソリン車トップとなる低燃費を実現しながら、最廉価モデルは79万5000円からという低価格を実現。もちろん4人がしっかり乗れる広さ、利便性、安全性を兼ね備えたクルマとしている。

その技術はパワートレインの進化、車両の軽量化を行い、より効率的なエネルギーマネージメントの観点から、既存技術を徹底的に磨き上げ、エネルギー効率を追求したものだ。

↑2005年12月のエッセに初めて搭載されたKF型の進化版だ

エンジンは従来型のKF型(3気筒DOHC・12バルブ)をベースに改良を加え、圧縮比の向上(10.8→11.3)やインジェクター噴霧微粒化などにより燃焼効率を高めている。最高出力は52ps/6800rpm、最大トルクは60Nm/5200rpm。イオン燃焼センサーを利用した「i-EGRシステム」を採用してポンピング損失を低減し、チェーン幅細化による張力低減、ピストンリングの低張力化、オイルシールの見直しなど、細部にわたる改善によりメカニカルロスを大幅に低減している。

またアイドリングストップシステム「ecoアイドル」を採用し、国産車では初のブレーキ減速で7km/h以下でエンジンストップするシステムとし、より燃料削減効果を高めているのが特徴だ。またブレーキエネルギー回収システムとして「エコ発電制御」も採用している。

↑さらに伝達効率を高めたCVTを搭載。これも燃費に貢献する

このエンジンに組み合わされるCVTは、高効率オイルポンプによるオイル排出量の向上やCVT制御圧の低圧化などにより、動力伝達効率を高めている。さらに走行抵抗の低減、車両の軽量化などを実現した上で変速ギア比ハイギア化も行っている。

ボディは骨格の合理化設計により、剛性など必要性能を確保しながら約30kgの軽量化を達成。内装は樹脂部品の薄肉化、シートの軽量化なども行い、コスト低減と軽量化を両立させている。

燃費は従来比で約40%向上。2WD全車でJC08モード=30.0km/L(10・15モードでは32.0km/L)というガソリン車トップの低燃費を実現し、全車エコカー減税の75%軽減レベルに適合している。

サスペンションはフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式(4WDモデルは3リンク式)、ブレーキはフロントがディスク、リヤがドラム式。タイヤは155/65SR14サイズを標準で装着している。

原点からの見直しで実現したプライス

低価格を実現するために、設計段階から徹底した合理化と部品の原価低減を推進。品質面・原価面で最も素質の良い図面を追求するとともに、車両特性にふさわしいサイズ・機能・品質など、仕様を一から見直すことで、部品点数の削減や軽量化による原価低減を実現したという。

↑大きく開く前後ドアはネイキッド以来の得意技

さらに購買政策でも海外を含む新規取引先の発掘や、ダイハツ九州工場で生産されることを前提に九州での現地調達率の向上により輸送コスト圧縮を図るなど、新しい試みにより原価の引き下げに挑戦している。最廉価モデル(オーディオレス、マニュアルエアコン、ホイールカバーなし、ドアハンドルやミラーに塗色なし、車体色はソリッドホワイトのみ)の「D」では、破格の79万5000円を実現した。ただしこのグレードは、価格訴求のためのシンボルモデルという存在でもある。

装備面で妥当なメイングレードは「X」で、価格は99万5000円。さらにフル装備の「G」が112万円となっている。それでも、従来の軽乗用車の価格水準との比較で約15〜20万円安いプライスを実現したと言える。

文:編集部 松本晴比古

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ダイハツ公式Web
http://www.daihatsu.co.jp/

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