初代ゴルフ GTIの再来「up! GTI」|フォルクスワーゲンGTI研究(1/3)

フォルクスワーゲンGTI研究

2018年6月8日、フォルクスワーゲン・グループジャパンは、初めての試みとして、「ゴルフGTI」「ポロGTI」「up! GTI」の3モデルを一挙に発表した。この3モデルは『GTIシリーズ』とされるが、ゴルフGTI、ポロGTIは従来から設定されている。が、Aセグメントの超コンパクトモデル up!のGTIモデルは初登場だ。
※参考:フォルクスワーゲン GTIシリーズに「ポロ」「up!」「ゴルフ」の3モデル登場

フォルクスワーゲンGTI研究 ティル・シェアフォルクスワーゲングループジャパン社長
発表会でGTIブランドに付いて語るティル・シェアVGJ社長

そこで、フォルクスワーゲンの新GTIシリーズについて、その個性的な特長を各モデル毎にみてみよう。

フォルクスワーゲンGTI研究 ゴルフGTIダイナミック ポロGTI up!GTI
左からゴルフ GTIダイナミック、ポロ GTI、up! GTI

フォルクスワーゲンの「GTI」は、1976年に登場した。ゴルフ1をベースにしたスポーツモデルで、1.6LのSOHCエンジンから110psを発生した。82年には1.8Lに排気量をアップ。その後は、よりパワフルなエンジンを搭載した。

ゴルフ GTIのコンセプトは明快で、アウトバーンやヨーロッパの地方道でメルセデス・ベンツやBMWをブチ抜くことだった。ちなみにゴルフ1は、全長3705mm、全幅1610mm、全高1395mmというサイズで、車両重量は810kgと、現在でいえばBセグメント以下という小ささで、この小さいボディのハッチバックで、大排気量のボディサイズの大きな上級車を追い回すというわけだ。

フォルクスワーゲンGTI研究 初代ゴルフGTI
初代ゴルフ GTI

ゴルフ1 GTIの最高速は182km/h、0-100km/h加速はで9.2秒であった。 1.8LのGTIは111psに出力が向上し最高速190km/h、0-100 km/hで9秒に向上している。当時のGTIの価格は、1万3850マルク、現在の貨幣価値に換算して228万円ほど。1986年に登場したゴルフ2 GTIは270万円だった。

なお、GTIのアイデンティティは、コンパクトカーをベースにしたスポーツモデルというだけでなく、ベース車が持っている機能性、利便性はそのままで、日常での使い勝手にも優れ、スポーツ走行のための特別モデルではないという点にもある。

■up! GTI:初代ゴルフ GTIの再来

フォルクスワーゲンのラインアップの中で最小のモデル、up!にもついにGTIモデルが設定された。up! GTIは2017年5月に発表され、生産は2018年1月から開始されている。このup! GTIの登場により、フォルクスワーゲンとして3車系のGTIシリーズが完成したことになる。

フォルクスワーゲンGTI研究 初代ゴルフGTI up!GTI
初代ゴルフ GTIと、新型up! GTI。そのサイズ感は同等だ

またフォルクスワーゲンは、新登場のup! GTIは初代ゴルフ1 GTIのオマージュ的な存在でもある。up! GTIのボディは全長3625mm、全幅1650mm、全高1485mm、車両重量1000kgで、全高と車両重量以外はほぼ初代のサイズだ。さらにエンジン出力も116psで、初代のGTIと同等レベル。そういう意味で、初代GTIが姿を変えて現代に蘇ったとも言うことができる。このスモールGTIは、若いドライバーの夢を叶える一方で、中高年ドライバーのかつての記憶を呼び覚ますモデルになるだろう。

フォルクスワーゲンGTI研究 UP!GTI 走行風景

up!GTIのパフォーマンスは最高速196km/h、0-100km/h加速は8.8秒。スポーツ・サスペンションとクイックなギヤレシオを採用した電動パワーステアリングを装備し、ハンドリングの俊敏性が高められている。またサウンド・アクチュエーターを装備し、エンジンサウンドは車内ではスポーティに響くようになっている。

フォルクスワーゲンGTI研究 UP!GTI インテリア

搭載されるエンジンは、EA211型ファミリーに属し、ベース車の3気筒1.0L TSI直噴ターボを流用して専用にチューニングされる。吸排気カムは可変タイミング制御、電動ウエストゲート付きターボ、専用のピストン、インタークーラー一体式吸気マニホールド、シリンダーヘッド一体式のエキゾーストマニホールドを装備。さらに従来より高圧の350barの燃圧とし、5穴ピエゾインジェクターを採用。出力は116ps/200Nmを発生する。パワーは初代GTIと同等レベルだがトルクは初代の140Nmと比べ遥かに強力だ。なおこのエンジンは6速MTのみの設定となる。

フォルクスワーゲンGTI研究 UP!GTI DKR型1.0L3気筒エンジン
DKR型1.0L 3気筒エンジン。116ps/200Nm

またこのエンジンは最新の排ガス対策仕様になっており、従来の3元触媒+ガソリン粒子フィルター(フォルクスワーゲンはこれを4元触媒と呼ぶ)を装備し、ユーロ6AGと呼ばれるPM規制やRDE(実走行)での排ガス規制を前提とした新排ガス基準に適合しているのだ。

この結果、このエンジンは2018年「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」で、1.0L以下のクラスでカテゴリー賞を獲得している。

なおup! GTIは2ドアボディの6MTのみで、日本では600台の限定販売となる。右ハンドル仕様のGTIはこの台数しか確保できなかったという。

up! GTI 装備・諸元表
フォルクスワーゲンGTI研究 UP!GTI 価格表

フォルクスワーゲン GTI 特設サイト

■関連記事
最新のライトサイジング・エンジンを搭載した「ポロ GTI」|フォルクスワーゲンGTI研究(2/3)
「ゴルフ GTI ダイナミック」はWebから購入|フォルクスワーゲンGTI研究(3/3)

フォルクスワーゲン up! 関連情報
フォルクスワーゲン 関連情報
フォルクスワーゲン・ジャパン公式サイト

ページのトップに戻る