2015年9月15日、フォルクスワーゲンはフランクフルトモーターショーで、新型ティグアンのワールドプレミアを行なった。従来のティグアンは2007年に発売されたモデルで、8年振りのフルモデルチェンジを受けたことになる。
新型ティグアンは、MQBモジュラーコンセプトを採用して開発された初のSUVとなるが、フォルクスワーゲンは今後、MQBを活用することで、さらに多様なSUVを、特にアメリカ、中国の市場向けに送り出す戦略だという。
もちろん、この新型ティグアンもアメリカ、中国の市場を重視しており、2種類のホイールベースが設定されており、ティグアン・ロングは2017年には追加される予定だという。
新型ティグアンはMQBモジュールを採用することで、多くの点で性能向上を果たしている。ボディのプロポーションは、より伸びやかでスポーティになり、デザインは洗練された。そして車両重量は、先代と比べると50kg以上も軽量化され、ボディ剛性も高められている。
ボディサイズはC/Dセグメント(アメリカではスモールSUVのポジション)のど真ん中を狙い、全長4486mm(+60mm)、全幅1839mm(+30mm)、全高1632mm(-33mm:FF駆動モデル)、ホイールベースは2681mm (+77mm)とひと回り大きくなっている。さらに空力性能ではCd=0.31と、セグメントでトップレベルを達成している。
パッケージングも改善され、室内とラゲッジスペースはより拡大されている。例えば、荷室容量は615Lで、リヤシートを折り畳むと最大1655Lの荷室容量(従来型比+145L)を実現している。インテリアはスポーティさを前面に打ち出し、ドライバー中心のメーターパネル(オプションでフルデジタルのアクティブ・インフォディスプレイも設定)と、インフォテイメント・システムもドライバー側に向けられている。またインテリアの質感も大幅に高められている。
搭載されるエンジンは合計8種類で、115psから240psまでをカバーしている。4種類のTSIガソリンエンジンは、125ps、150ps、180ps、220ps。4種類のTDIディーゼルエンジンは、115ps、150ps、190ps、240psをラインアップしている。フラッグシップとなる240psの2.0L・TDIエンジンはツインターボ仕様とし、セグメントトップの出力を誇る。従来型エンジンと比べると、いずれのモデルもよりパワフルになっているにもかかわらず、燃料消費量は最大24%も削減されている。
4WDシステムは、4モーション・アクティブコントロールシステム(第5世代ハルデックス)を採用。前輪がスリップするより速く後輪にトルクを伝達。これまで以上にさまざまな走行条件での走破性能を高めている。牽引能力は最大2500kg。4モーション・モデルの地上高は200mm(FFモデルは189mm)で、ラフロードでの走行性能を確保している。
また運転支援システムはシティエマージェンシー・ブレーキ、歩行者検知機能付フロントアシスト、レーンアシスト、ポストコリジョンブレーキシステムなどを標準装備化し、より安全性も向上。
インフォテイメントでは。Appコネクトにより、AppleとAndroidのスマートフォンを車載のインフォテイメント・システムの機能と統合できる。またMedia Controlアプリによって、タブレット端末もクルマと一体化された機能のひとつとして利用できるようになっている。
ティグアンのグレード展開は、ラフロード性能も備えた標準タイプのティグアンと都市型のRラインの2種類。さらにプラグインハイブリッド・モデルのGTEコンセプトも発表した。標準ティグアンは2016年春からヨーロッパをはじめ順次各国に導入されるが、GTEは少し遅れて市場に投入されるはずだ。
MQBの採用により、プラグインハイブリッドの開発も標準モデルと同時並行で行なわれた。GTEコンセプトはエンジンとモーターにより218psのシステムパワーを発生する。「E モード」では50kmのEV走行ができ、欧州複合モードでの燃料消費量は1.9L/100km、CO2排出量は42g/kmとしている。
搭載するバッテリーは13.0kWhの容量を持ち、ゴルフGTEやパサートGTEよりかなり大きくなっている。また世界初となるルーフに内蔵されたソーラー発電モジュールを備え、航続距離の伸延に役立っている。