2015年7月21日、フォルクスワーゲン・ジャパンはゴルフ・シリーズでは初の本格的なクロスオーバー4WDのステーションワゴン、「ゴルフ オールトラック」を発表し、同日から発売した。
日本におけるCセグメントのステーションワゴン市場は国産車が90%のシェアを占めているが、ゴルフ オールトラック 4Motionはベースグレードが347万円、アップグレードパッケージ・グレードが367万円と、価格的なインパクトを打ち出している。この価格はCセグメントの輸入4WDモデルの中で最も低価格で、輸入車の中で高い競争力を備えているのはもちろん、国産車からの乗り替えを促進する戦略的な価格設定となっている。
ゴルフ オールトラックのベースは2014年1月から発売されているゴルフ ヴァリアントだが、4WDモデルとなったオールトラックでも、ラゲッジ容量は605L/1620Lはヴァリアントと同等で、高いユーティリティを備えている。
ゴルフ オールトラックはクロスオーバー4WDモデルらしい専用装備を採用している。前後の専用バンパーは、マットシルバーをアクセントに用い、ボディサイドの下部には黒いサイドシル、ホイールアーチを取り囲む黒いホイールハウス・エクステンションを装着する。
最低地上高はベースモデルのヴァリアントに比べ、25mm高い165㎜とし、タイヤも205/55 R16から205/55R17と大径とし、視覚的にもタフなクロスオーバーのイメージとしている。インテリアは専用デコラティブパネル、ドアシルプレート、シートバックに「Alltrack」のロゴが入った専用のファブリックシートを採用している。
搭載するエンジンは、ゴルフ・シリーズで初となる1.8L TSIだ。最高出力、トルクは180ps/280Nm。組み合わされるトランスミッションは高トルクに対応した湿式6速DSG。この1.8 TSIエンジンはオートスタート&ストップ、ブレーキエネルギー回生システムも装備している。また4WDシステムはボルグワーナー・ハルデックス(第5世代)を採用し、瞬時に100:0~0:100の駆動トルクを配分できる。
最新世代の「ハルデックス5」カップリングは、車両の瞬間的な運転状況を把握するためのプロアクティブな制御システムを採用し、車輪がスリップを始める前からシステムが反応する。またエンジンの負荷が比較的小さい時や、アクセルオフで空走(コースティング)するような状況では、リヤアクスルを駆動系から切り離し、フロントアクスルだけで駆動し、燃費性能を高めている。ハルデックス・カップリングは走行状態から演算されるリヤの駆動トルクを供給するため、電子制御の高油圧式オイルポンプを採用し、瞬時に作動する特徴を備えている。
また左右方向の駆動トルク配分はESPの機能の一つであるEDS電子制御デファレンシャルロック)が担当し、さらに前後アクスルにはXDSも装着しており、タイトコーナーを高速で走り抜けるような場合、必要に応じて自動的にブレーキが介入しトルクベクタリングを行なうようになっている。
ゴルフ オールトラックは、クロスオーバー4WDモデルとしてラフロード走行での走破性も考慮した専用サスペンションを標準装備。165㎜の最低地上高に加え、アプローチアングル14.5度、デパーチャーアングル17.3度、ランプブレークオーバーアングル9.4度というボディ諸元により、悪路走破性も確保されている。
またゴルフ オールトラックは、ドライビング・プロファイル機能に、通常の「ノーマル」、「エコ」、「スポーツ」、「カスタム」に加え、オールトラック専用に開発された「オフロード」モードを追加。オフロードモードでは、自動的にABSのオフロード用に調整され、下り坂ではヒルディセントアシストが作動し、アクセルペダルの特性もより微妙なコントロールができるように変更される。
ドライバー支援システムは、プリクラッシュ・ブレーキ、ドライバー疲労検知、アダプティブクルーズコントロールなどを標準装備。アップグレードパッケージ・モデルはレーンキープ・アシストも標準装備となる。